Souzoku 不動産を相続された方へ
相続税だけではなく登記やその後の管理など、不動産を相続した際に考慮すべきことは多岐にわたります。そのうえ相続人が複数いる場合、相続した不動産の扱いについて話し合いがまとまらないケースは珍しくありません。それまで仲の良かった家族が相続で揉めてしまう理由の1つに不動産相続の知識が不足していることが考えられます。
相続の手続きを理解して計画的に対処することで、労力とコストを最小限に抑えられるうえに、トラブルを未然に防ぐことも可能です。ここでは年間約2,000件の売買実績がある東海住宅が、不動産相続に関する基礎知識をわかりやすく解説します。
不動産相続に関する
よくあるお悩み
不動産の相続では、以下のようなお悩みがよく見受けられます。
- 実家を相続したが使う予定がなく空き家になっている
- 相続人同士で不動産の活用について意見が割れている
- 高額な相続税の支払いが難しい
- 不動産の分割方法について意見が対立している
- 次の代の相続も考えて対策しておきたい
親族同士の争いを避けるためにも、なるべく早めに相続の経験が豊富な専門家に相談しましょう。
生前にできる相続税対策
将来の相続に備えて生前に適切な対策をしておくことで、トラブルの回避や節税など多くのメリットがあります。特に、認知症などで判断能力を失ってしまった場合にも財産を管理・運用できる状態にしておくことが重要です。
不動産を生前贈与する
不動産を生前贈与するメリットは節税対策だけでなく、希望通りの相手に財産を残せることや遺産分割トラブルが避けられるなどがあげられます。生前贈与で利用できる制度は、以下の通りです。
※表は左右にスクロールして確認することができます
制度 | 内容 |
---|---|
暦年贈与制度 | 相続人1人あたり年間110万円まで非課税 |
生前贈与加算 | 相続開始前3~7年以内の贈与は、相続税の計算対象となる |
相続時精算課税制度 |
|
早めに計画を立て、適切な方法で生前贈与を進めることをおすすめします。
遺言書を作成する
遺言書があれば、遺産の分配方法や相続人を明確に指定できるため、取り分をめぐって争いに発展する可能性が低くなります。遺言書には3種類あり、それぞれ以下のような特徴があります。
※表は左右にスクロールして確認することができます
遺言書の種類 | 特徴 |
---|---|
自筆証書遺言 |
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公正証書遺言 |
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秘密証書遺言 |
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自筆証書遺言は1人で作成できますが、法律で定められた形式でないと無効となります。さらに偽造や改ざん・紛失のリスクがあり、予定通りに分割できないケースがあります。そこで法務局より「自筆証書遺言書保管制度」が開始されたことで、遺言書の保管に関する不安が軽減されるだけでなく、検認が不要になりました。
認知症に備えて家族信託を行う
被相続人が認知症を患うと契約を結ぶための判断能力がないと見なされるため、不動産の売却は難しいです。また配偶者など相続人が認知症の場合は遺産分割協議が成立せず、相続財産の処分や分配ができなくなるリスクがあります。
家族信託とは、財産の管理運用を信頼できる家族に委ねる仕組みです。後見制度に比べると手続きが簡潔で、信託の内容や管理者の選定、財産の分配方法などの柔軟性が高いという特徴があります。家族で話し合って決めた信託契約に基づいて、財産の運用や分配を行うことができ、被相続人の判断能力が低下した場合でもスムーズな財産管理が可能です。
不動産相続手続きの流れ
相続が発生したら、定められた期限までに手続きを完了する必要があります。ここでは相続手続きの流れを説明します。
遺言書の有無や相続人の確認
まずは遺言書の有無を確認しましょう。自宅のほかに以下の場所で保管されているケースがあります。
- 法務局「自筆証書遺言書保管制度」
- 公証役場「公正証書遺言の検索システム」
遺言書がない場合は、法定相続人が財産を受け継ぎます。法定相続人は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を全て取得し、親族関係を明確にする必要があります。
遺産分割協議を行い不動産の
分割方法を決める
相続人が確定したら、財産を確認し遺産分割協議を行います。不動産の分割方法は現物分割・換価分割・代償分割の3つと、複数の相続人で受け継ぐ共有名義があります。
※表は左右にスクロールして確認することができます
分割方法 | 内容 |
---|---|
現物分割 |
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換価分割 | 不動産を売却して現金を分ける方法 |
代償分割 | 1人が相続し、他の相続人には代償金を支払う方法 |
共有名義 |
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遺産分割協議は相続人全員が参加して協議の結果を文書にまとめ、相続人全員が署名・捺印します。
相続登記を行う
不動産の名義変更である「相続登記」を行います。手続きが煩雑なため司法書士に依頼することが多いです。
相続税の申告・納付
相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、税務署へ相続税の申告・納税を行って、相続の手続きが完了です。
不動産の相続にかかる費用
不動産の相続税評価額やその他の税金、諸費用について説明します。
相続税評価額
不動産の相続税評価額は、土地と建物で評価方法が異なります。
※表は左右にスクロールして確認することができます
評価方法 | 求め方 | |
---|---|---|
土地 | 路線価方式 | 路線価が定められている都市部などでは、土地が面する道路に設定された1㎡当たりの路線価に土地の面積をかけて評価額を求める |
倍率方式 | 路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に地域ごとに定められた倍率を掛けて評価額を算出する | |
建物 | 固定資産税評価額 | 市区町村が決定した固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となる |
これらの方法によって、相続税を計算する際の不動産評価額が決定されます。
固定資産税、都市計画税
毎年1月1日時点の所有者に固定資産税と都市計画税が課されます。相続後も毎年継続して支払う必要があります。
登録免許税(印紙税)
登記申請時に固定資産税評価額の0.4%分の登録免許税がかかり、印紙を貼付して納める仕組みです。
登記申請に必要な書類と取得費用
登記の申請時には戸籍謄本や住民票などの書類が必要で、数千円程度の費用がかかります。
司法書士・税理士への依頼料
不動産登記は司法書士、相続税などの税務申告は税理士に依頼することが一般的です。依頼内容によって費用は異なりますが、登記手続きは5~10万円、相続税の申告は10~20万円が目安です。
相続した不動産を売却する際に
押さえておくべきポイント
相続した不動産を売却する際に注意すべきポイントと、適用できる特例について解説します。
共有名義の不動産売却は
全員の同意が必要
共有名義で相続した不動産は、名義人全員から売ることへの同意と価格の同意が必要となります。
代表者の単独登記で売却する時は
贈与にならないよう注意
代表者が単独登記してから売却すると契約がスムーズに進みます。しかし、売却後に得た代金を他の相続人に分配すると贈与とみなされる恐れがあるため、あらかじめ遺産分割協議書にどのように分配するかを明記しておくと安心です。
相続した不動産の売却時に使える
2つの特例
所有期間によって税率が異なる「譲渡所得税」と「取得費加算の特例」を適用することで、税金の負担を軽減できます。
※表は左右にスクロールして確認することができます
所有期間 | 譲渡所得税等の合計 | |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以内 | 約39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 約20.315% |
取得費加算の特例は、支払った相続税額の一部を売却時に取得費に加算できる制度です。
相続に関する手続きの期限
相続には手続きごとに期限があり「相続の開始があったことを知った日」が起点です。
※表は左右にスクロールして確認することができます
期限 | 手続き | 対応する人・場所 |
---|---|---|
速やかに | 相続遺産調査 | 個人または司法書士 |
相続人の確定 | 個人または司法書士 | |
遺産分割協議 | 相続人全員 | |
3ヶ月以内 | 相続放棄、限定承認 | 家庭裁判所 |
4ヶ月以内 | 準確定申告 | 税務署 |
10ヶ月以内 | 遺産分割協議書の作成 | 任意 |
相続税の申告、納付 | 税務署 | |
3年以内 | 不動産登記 | 法務局 |
相続した不動産でお困りなら
東海住宅へ
不動産相続のトラブルは富裕層だけの問題で「わが家には起こらない」と考えている方が多いです。しかし、司法統計年報によると2023年の遺産分割調停の申し立て件数のうち、遺産の総額が5,000万円以下である事例が全体の約78%を占め、そのうち1,000万円以下のケースは約34%に達しています。
専門家が適切なアドバイスをすることで、相続が円満に進むことがよくあります。東海住宅は創業53年の実績があり、弁護士・司法書士・税理士などとの強固なネットワークで、解決したい問題に合わせて専門家チームを編成して問題解決に取り組みます。それぞれの社員が「自分がお客様だったら?」という視点でご提案をしますので、お気軽にご相談ください。