住宅ローンのセーフティネット 団体信用生命保険の基礎知識

長い付き合いとなる住宅ローン。なかには返済中に不測の事態に陥ることもあります。今回はそうした場合に備える団体信用生命保険についてお話します。

団体信用生命保険とは

団体信用生命保険(以下、団信)は、住宅ローンを組んで住まいを購入した人だけが加入できる生命保険で、金融機関が保険契約者でありかつ保険金受取人、生命保険会社が保険者、ローンの借り手が被保険者とする保険契約です。住宅ローンは数十年の長期に渡って返済するもので、その途中で不測の事態が発生する可能性もあります。団信は、万一死亡や高度障害となった場合、保険金から残りの住宅ローンを一括返済し、家族をローンの負担から解放するものです。民間では原則として、住宅ローン契約者に団信への加入が融資の条件となっており、ほぼ強制的です。住宅ローンを契約する際に同時に団信への加入手続きをします。別途団信だけ加入することはできません。保険料は年齢に関係なくおよそローン金額の0.3%が年間の団信保険料相当額になります。しかし、毎月支払う利子の中にこの保険料が組み込まれているため、契約時に別途保険料を支払う必要はありません。

団信に入れない場合

一般の生命保険と異なり、健康診断の提出は不要です。しかし、一定以上の借入額になると医師の診断書が必要な場合もあります。この団信は生命保険であるため、健康状態その他の理由で加入ができないと、住宅ローン自体を組むことができなくなります。これは当初の借入の時だけでなく、ローンの借換えの際も同様に団信への加入を融資の条件とされます。このコラムの最初でも述べましたが、健康であることは何よりの信用であり担保なのです。

もし健康などの理由から団信に加入できない場合でも、フラット35や住宅金融支援機構を通じて申し込む財形住宅融資(機構直接融資)では団信への加入は任意です。これは国主導で運営していた旧住宅金融公庫では団信への加入が任意だったことに由来しています。しかし、フラット35等を利用する場合であっても、不測の事態に備えて必ず加入しておくべ きでしょう。フラット35等を利用する場合の団信の保険料は特約料と呼ばれ、特約料は契約時の年齢に関係なくローン金額の0.36%程度となります。特約料は年一回口座振替によって支払われ、ローン残高に対して計算されるので、ローンの返済が進むと特約料も安くなります。特約料を滞納すると団信は失効し、保障を受けることはできなくなってしまうので注意しましょう。また、この特約料は所得税等の生命保険料控除の対象にはなりません。自己負担になりますが、民間の住宅ローンを組めない人でも団信を利用できることは大きなメリットといえるでしょう。

意外とある選択肢

団信に加入するには民間の住宅ローンの場合は「申込書兼告知書兼同意書」が、フラット35等の場合は「債務弁済充当契約申込書」と「申込書兼告知書」という書類を提出します。最近では契約者の3大疾病や7大疾病といった病気をカバーするものや、リストラや倒産などの理由で収入が途絶える場合に対応するものも見受けられるようになりました。また、団信よりも一般の生命保険の方が保険料が安い場合もあります。若い世代であれば、任意で団信に加入する場合より、民間の生命保険会社の逓減定期保険や収入保障保険で住宅ローン残債よりも多くの保険金をかけた死亡保険に加入する方が保険料は安く済む場合があります。その理由は、任意の団信の場合は年齢や性別にかかわらずローン金額に応じて共通の保険料がかかるため、リスクが細分化されておらず、年齢に関係なく加入者が相互の死亡リスクを分担していることになるのです。そのため年齢によって細分化されたリスク負担に対応した民間生保の死亡保険に加入する方が若い方は少ない保険料負担で済むのです。このように団信への加入が任意の場合は、よく比較してリスクに備えるようにしましょう。

もうひとつの団信

健康などの理由で団信に加入できない場合に最近ではもう一つ選択肢があります。それが「ワイド団信」です。ワイド団信は従来よりも引受範囲を拡大した団体信用生命保険で、大手銀行を中心に扱う金融機関が増えてきています。高血圧、糖尿病、肝機能障害などで健康上に不安のある方が住宅ローンを安心して利用する手段として注目されています。

前述したように一般的な団信では保険料は本体の住宅ローンの金利に含まれています。これはワイド団信の場合も同じで、毎月支払う利子の中にこの保険料が組み込まれており、契約時に別途保険料を支払う必要はありません。しかしワイド団信の場合は、適用金利に上乗せが生じます。金融機関によって異なりますが、この上乗せ金利は大体0.3%程度で、通常の適用金利と上乗せ金利の合計が適用金利となります。また、多くの場合ワイド団信の利用は50歳までとする金融機関が多く、それ以上の年齢の方が住宅ローンを組む際、ワイド団 信を利用するのは難しいのが原状のようです。しかし、中には満65歳未満という年齢制限を設けている金融機関もありますので、一度お問い合わせされてみることをお勧めします。

団信によって、万一の場合に家族を住宅ローンの負担に備えることはできます。しかし、あくまで保険。何より大切なのは健康で、住宅ローンの返済計画を無理なくこなしていくことです。

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