建築基準法の基礎ポイント(後編)



前回に引き続き建築基準法について取り上げます。



高さ制限


高さ制限とは、日影や通風など環境保全のため、建てられる建物の高さの上限を制限するものです。高さの制限の種類には3つあり、それぞれ立地条件や用途地域などによって、どのような制限を受けるか異なっています。

〔絶対高さの制限〕
地面から建築物の一番高いところまでの高さを制限するものです。低層住居専用地域では、良好な住環境の確保のため、絶対的な高さが10mまたは12mのいずれかに制限されています。

〔斜線制限(各部の高さ制限)〕
地面から一定の基準で斜線を引き、建物がその斜線内に収まるように建てます。マンションやオフィスビルで、上の方の階の部分が三角柱状に切り取られたような部分を見ることがあると思いますが、主に通風や採光・日照等の確保のための規制です。斜線制限には、すべての用途地域に適用される道路斜線制限、低層住居専用地域以外に適用される隣地斜線制限、住居専用地域だけに適用される北側斜線制限の3種類があります。

〔日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)〕
冬至の日に太陽が真南に来た時を12時とし(真太陽時)、午前8時から午後4時(北海道では午前9時から午後3時)の間に建物によって発生する日影の量をもとに建物の形態を制限するもので、「周辺への日影は1日○時間以内」という形で規制します。
低層住居専用地域では地上3階建て以上または軒の高さが7mを超える建物が対象になります。そして残りの住居系の用途地域と近隣商業地域、準工業地域では高さが10mを超える場合が規制の対象になります。なお、商業地域、工業地域、工業専用地域はこの規制の対象から除外されます。



建築確認


建築基準法に基づき、建築物などの建築計画が建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかを着工前に審査します。また、建設途中に受けなければならない検査がある場合や完成後の検査もあり、こうした一連の行為を確認検査といいます。

〔建築確認が必要なケース〕
建物を新築したり増改築したりする場合、その建物が以下のいずれかの基準に当てはまる場合は事前に建築確認を受ける必要があります。ただし、増改築移転部分の床面積が10㎡以内のものは除きます。

・用途に供する床面積の合計が100㎡を超える特殊建築物(劇場、映画館、病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、学校、百貨店、マーケット、展示場、倉庫、自動車車庫など)
・3階建て以上か、延べ床面積が500㎡を超えるか、高さが13mを超えるか、軒の高さが9mを超える木造建築物
・2階建て以上か、延べ床面積が200㎡を超える木造以外の建築物
・都市計画区域か準都市計画区域で新築や増改築移転(増改築移転部分の床面積が10㎡以内のものを除く)する場合
・防火地域か準防火地域で新築や増改築移転(増改築移転部分の床面積が10㎡以内のものも含む)する場合

〔審査〕
建築確認の審査を取扱うのは、以前は地方自治体の建築主事だけでした。しかし、平成11年の改正建築基準法の施行により指定確認検査機関に属する建築基準適合判定資格者が同等の権限を持ち審査を行うようになりました。建築主事を置く役所は特に「特定行政庁と呼ばれ、建築許可など建築基準法に基づく他の行政行為を行っています。

〔確認申請〕
建築審査は、設計図書に基づいて建築確認を申請し、確認済証の交付を受けます。確認済証の交付を受けなければ、工事を始めることができません。建築主事は、建築確認申請書を受理したら計画が建築基準関連規定に合致するときは、必ず確認済証を交付しなければなりません。不動産会社は、未完成の物件を販売する場合、この建築確認を受けるまで販売行為だけでなく、広告することもできません。ただし賃貸借契約であれば建築確認前でも契約締結は可能です。なお、建築確認が認められなかった場合、建築審査会に対して審査請求することができます。

〔中間検査〕
確認済証を受けると、工事に取りかかりますが、施工の不備が原因で建築物に被害およぶのを防ぐため、施工段階での検査の重要性が求められるようになりました。そこで中間検査制度が設けられています。検査の対象となる建築物や工程は、特定行政庁ごとに特定工程として指定されています。特定工程を要する建物の場合、建築主はその特定工程にかかる工事を終えた日から4日以内に到達するように建築主事の中間検査を申請するか、4日が経過する日までに指定確認検査機関に中間検査を引き受けさせなければなりません。そして特定工程後の工程にかかる工事は、中間検査合格証の交付を受けた後でなければ施工できません。

〔完了検査〕
建物の使用を開始する前に、建築確認申請通りに施工されたことを確認する検査です。建築主は、工事完了の日から4日以内に建築主事に到達するように完了検査を申請するか、4日が経過する日までに指定確認検査機関に完了検査を引き受けさせなければなりません。この検査に合格しなければ、原則としてその建物を使用することはできません。建築確認から完了検査までの手続きをきちんと行い、検査済証を取得しないと住宅ローンの融資をしない金融機関が多くなっています。


不動産取引は専門性が高く、一般の方々が意識されないでも事が進んでしまうこともありますが、何か問題が生じた際に事態を把握できるよう、上で述べたような建築に関する諸規定も頭の片隅に置いておいて頂ければと思います。






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