現場では当たり前? ちょっと気になる「家作りにまつわる言い伝え」その1



子どもの頃、「夜、口笛を吹くと蛇が来る」「食べてすぐに寝ると牛になる」「雷が鳴っている時にお腹を出していると、雷様におへそを取られる」といった話を、祖父母、曽祖父母といった身近なお年寄りや親から聞いたことはありませんか? その当時は、素直に従ったかしれませんが、中学生くらいになれば「決定的な根拠がない」ことに疑問を抱き、「俗信・迷信(俗信のうち、合理的根拠のないもの。社会生活に支障を来すことの多いとされる俗信を指す)」だと片づけてしまう人も多いでしょう。

たとえば「夜、口笛を吹くと蛇が来る」という理由にはいくつかあり、ひとつは「妖怪や鬼を呼び寄せる」というもの。さすがに非現実ですが、他には「泥棒を招く」という理由もあるようです。それは、泥棒が口笛でやり取りをしていたから。つまり口笛を吹くと、「その家が標的」だと伝わり、間違って襲われるためだといいます。

荒唐無稽である一方で、現実的な教訓も含む俗信や言い伝えは数多く残っており、建築業界でも、いまだに信じられているケースは少なくありません。今回は家作りの現場にかんする言い伝えやしきたりについて調べてみました。



「お盆を過ぎたら海で泳がない」には科学的根拠があった?


よく聞く言い伝えに「お盆がすぎたら、海で泳いではいけない」があります。「お盆には地獄の釜が開き、あの世に連れて行かれてしまうから」といったオカルト的な解釈が有名ですが、本当にそれだけなのでしょうか? 

実はこの言い伝え、お盆(それ以降)の海水浴が「危険」であること示唆しており、主に次のような理由があるのです。

・土用波:この時期は台風の発生が多く、突然予想もしない大波「土用波」が来ることも。高波にさらわれる可能性が高いことに警鐘を鳴らしている。
・離岸流:膝くらいの深さでも巻き込まれて引っ張られてしまうことのある波。土用波の発生などで、離岸流(海岸の波打ち際から沖合に向かってできる流れ)の発生が多くなる。
・海草:お盆時期には、海草が大量発生することがある。そのため、海藻に脚を取られたり、バランスを崩して溺れてしまうことも。
・クラゲ:お盆の期間は海水温が高くなり、クラゲの生育が進む。さらに土用波に乗ったクラゲが海岸に近づくことも多いため、刺されてしまう可能性が増える。
・海の温度差:お盆以降は、温かい海水と冷たい潮の流れが混ざり合うので、温度差が激しくなる。そのため急に冷たい海水に触れると、心臓発作や筋肉の痙攣が起きやすく、溺れる危険性が高まる。

昔の人は、以上のような理由から、「お盆を過ぎたら海で泳がない」という言い伝えを残したのでしょう。「霊に足を引っ張られる」という表現もあるのは、「海藻に足を取られた」「強い波に土用波に飲まれた」時、そう感じたからだと思われます。



建築の現場にもある、理にかなった習慣やしきたり


建築の現場にも、様ざまなしきたりや俗信が伝わっています。よく知られているのは、陰陽五行説に基づく「風水」、「気学」を取り入れながら、日本の気候や文化、慣習などに沿った形で独自の発展を遂げた「家相」でしょう。近年は風水ブームも手伝って、家相に興味を持つ人も多く、家づくりや部屋選びの際、家相を採り入れる人も少なくないようです。

家相で良く知られているのは、「鬼門に玄関やトイレは作らない」「裏鬼門に台所や浴室といった、水回りのものを作るとよくない」などです。鬼門(表鬼門)・裏鬼門というのは、それぞれ北東(艮)と南西(坤)の方角を指し、前者は鬼の入ってくる方角だといわれており、後者も忌むべき方角とされています。そのため、このしきたりに逆らうと「住む人に災いが起こる」「(裏鬼門に台所があると)妻(女性)に難がおよぶ」と伝わっていることから、特に大工や職人さんたちは、今でもこの方角にトイレや玄関、浴室を作るのを避けるそうです。

ただ、鬼門や裏鬼門に水回りを作らないのには、それなりの理由があります。というのも、北東は太陽が当たりにくく、冬は寒く、雨が降ればいつもまでもジメジメ状態。そういう場所にトイレや浴室を作ると身体が冷えますし、衛生的にも良い環境とはいえません。対する南西は夏の日差しが強く、西日も入り、部屋の気温が上がりやすくなります。ここに台所を作れば、食物が腐りやすくなるでしょう。このように鬼門・裏鬼門にかんするしきたりには、季節に応じて快適に暮らすための知恵も含まれているのです。

また、いい意味にも悪い意味にもなる俗信もあります。たとえば、「逆柱(材木の根もとを上にして柱を立てること)」を使うと、家鳴り(家や家具が軋み、音を発したり揺れたりする怪異)が起こったり、火災や不吉な出来事を引き起こすとされ、昔から禁忌となっています。その一方で、日光東照宮の陽明門は、建物があまりに完全過ぎることを恐れ、建物の柱の一本をあえて逆柱にしているそうです。これには、魔除けの目的もあるといわれています。






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