土地探し、家作りにまつわる不思議な話 その1





夏になると、有名怪談師のライブをはじめ、テレビやネットで様ざまなオカルト番組を目にします。最近人気なのは、タクシーでいわくつきの場所をめぐる「心霊スポット巡礼ツアー」というイベント。今年は関東4ヵ所で行われるそうで、参加には抽選予約が必要なほど盛況です。


巡礼先には、土地や家屋にまつわる場所や話もあり、日本にはそれに似たような怪談が、昔から伝えられています。不可解なことが起こるようになった原因には、家作りが絡んでいるものも少なくありません。


そこで今回は、土地と家にかかわる真面目でちょっと涼しくなる(?)話をしましょう。



世の中にある「不可解な」場所の謎



「先祖が神様の祠を壊したから、家が傾いた」「建物を作ってはいけない場所に家を建てたから、変なことが起きる」といった、たたりによる怪異譚は、オカルト好きの間では、よく聞く話です。世間一般では「創作された怪談で、本当にあった話じゃない」という人がほとんどでしょう。


しかし、世の中には不可解なものが少なからず存在します。たとえば、真ん中に大きな木が立ち、二股に別れている道路があります。「ドライバーも運転しにくいだろうから、木を伐採してまっすぐな道路を敷設すればいいのに……」と思うのが普通ですが、このような場所は意外と多いのです。


なぜ、このような道路があるのでしょうか? 調べてみると、「この場所はもともと寺社仏閣で、道路を作る際、御神木を切ろうとしたら工事関係者に怪異が起こった」という話が多く伝わっています。中には「ケガを負った」「急死した」という洒落にならないケースもあったそうで、当時の関係者がどうして樹を切らなかったのかがわかります。


同様の話で有名なのは羽田空港の近くにある穴守稲荷神社の赤鳥居でしょう。ここは明治、大正、昭和、そして現在まで人々の信仰を集めている神社ですが、第二次世界大戦後の1945年(昭和20年)、米軍(GHQ)の命令で、強制退去を迫られることになったのです。


社殿や他の鳥居はGHQによって壊されましたが、門前にあった赤鳥居を撤去しようとしたところ、引きずり倒そうと張ったロープが切れ、作業員が怪我をしたため、工事は一時中止。また、再開したときには、工事責任者が病死するというような変事が続いたため、「穴守さまのたたり」という噂が流れたといいます、何度やっても撤去できないので、さすがのGHQも赤鳥居をそのまま残すことになったのだそうです(京浜急行電鉄『京急グループ110年史 最近の10年』(2008年)「羽田飛行場の始まりと穴守線強制接収」より)


現在、穴守稲荷神社の赤鳥居は羽田空港の沖合展開事業により、1999年(平成11年)、弁天橋のたもとに移設されています。この時も急に天気が変わったそうですが、工事は滞りなく終了しました。その際、鳥居がとても頑丈にできており、ロープで引きずり倒せるようなものではないことがわかったそうです。このことから、移設できなかったのは、頑丈な造りが原因だったとも考えられます。ただ、いくら敗戦国とはいえ、日本の歴史や文化を伝える寺社仏閣が破壊されて行くのを見て、八百万の神様が警告したのかもしれません。



家が栄えないのは、龍神様のたたり……!?



穴守稲荷神社や真ん中に樹木のある二股道路のような話は、意外と私たちの身近にも流布しています。よく聞くのは、「井戸のあった場所には、家を建ててはいけない(建てない方がよい)」というものでしょう。具体的なものとしては、「井戸の上に建物を作ると家運が傾く」「一族に不幸が起こる」といった言い伝えがあります。その原因のひとつは、「井戸を守る龍神様をないがしろにした」ことに対するたたりです。


というのも、昔から井戸には龍神様(水の神様)が棲んでいるとされ、井戸を壊し、埋め立て、家屋を建てたりすると、龍神様がお怒りになると信じられていました。そこで何らかの理由で井戸を埋め立てる場合、今まで水を守ってくださったことを感謝し、儀式や「息抜き(気抜け)」を行ってきたのです。そのため、儀式を行わなかった人の家にけが人や病人が出たり、事故があったりすると、「神様をないがしろにしたからだ」とされるのでしょう。



「息抜き」は井戸の大切さ土地の記憶を知らせるためのもの?



今でも井戸を塞ぐ(ふたをする。使用をやめる)、埋め戻す時には、お祓いや「息抜き」が行われます。息抜きというのは、「井戸に宿る龍神様(神様)が呼吸できるよう、また行き来できるように、井戸のあったところに目抜き竹(節を抜いてパイプ状にした竹筒)を差し込むことです。また、「井戸から発生するガスが抜くため」ともいわれていますが、科学的な根拠はないといわれています。


ただ、息抜きがあれば、「ここに井戸がある(あった)」ことがわかりますから、建物を建てる際に注意を促すことができます。さらに井戸は水を汲み上げていた場所ですから、地盤沈下(不同沈下)が起こりやすく、それを知らせる意味で行われたとも考えられます。


水道をひねればきれいな水が出る現代とは違い、昔の人にとって、水は貴重であり、それを供給してくれる井戸は生活に欠かせないものでした。それだけ大切なものだったわけですから、粗略に扱えなかったのは想像に難くありません。









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