不動産広告の読み方(後編)
前回は不動産広告の基本的なチェックポイントについて取り上げました。今回は続編として、不動産広告でよく目にする用語を説明したいと思います。
土地に関する用語
〔地形〕
土地のかたち、形状のこと
〔法面〕
宅地として使用できない斜面部分のことで、崖などの自然の地形のほか、傾斜地造成のために土砂崩れを防ぐためにつくられることもあります。
〔私道負担〕
土地の一部に私道の敷地が含まれている場合に、その部分を道路して負担することです。その私道負担部分には建物は建てることはできません。
〔セットバック〕
建築基準法第43条では都市計画区域および準都市計画区域内における建物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上間口が接している必要があります。そのため前面道路が、建築基準法第42条2項に該当する道路で幅員が4m未満の場合、4m幅員を確保するため道路境界から一定距離を後退して敷地の一部を道路部分 として負担します。これをセットバックといいます。道路の中心線が確定している場合にあっては中心線から2m、道路の反対側が崖または川などの場合は4m後退しないとなりません。
〔地目〕
地目とは、不動産登記法に定められた土地の用途のことをいいます。現況の用途、利用目的などによって23種に分類されることになっています。
【地目の種類】
田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼(ちしょう)、山林、牧場、原野、墓地、境内地(けいだいち)、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝(せいこう、いこう)、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
〔現況〕
登記簿に記載された地目でなく、現在の使われ方から見た地目のことで、現況地目といいます。
〔古家有〕
販売する土地に建物が残っているが、価値がないと判断した場合に使います。販売される場合には、「古家有」などと表示され、更地にするのに費用がかかるのかなど、事前に確認したほうがよいでしょう。
〔更地〕
建物が存在しない土地のこと。基本的にはすぐにでも建物の建築ができる土地をいいます。
〔用途地域〕
建築できる建物の種類を定めた地域のことで、都市計画法による最も基本的な地域地区で12種類有ります。
【用途地域の種類】
「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地 域」「第2種中高層住居専用地域」「第1種住居地域」「第2種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」「工業専 用地域」
建築基準法の規定によって、各用途地域内では建築物の用途、建ぺい率、容積率、建築物の高さ等の形態規制が行われていて、周辺環境を推測することができます。
〔市街化調整区域〕
都市計画によって定められた、都市施設計画や土地利用の規制の対象とされる区域。原則として、建物を建てることも、開発をすることもできません。
〔防火地域〕
都市計画によって定められた、火災を防止するために比較的厳しい建築制限が行なわれる地域です。
〔高さ制限〕
建物の高さの限度をいいます。建築基準法によって定められた、地区や地域の建築物の高さの限度です。建物全体の高さと、相隣関係などによる斜めの線による制限(斜線制限)に分かれています。
〔建ペイ率〕
敷地面積に対する建築面積の割合です。
〔容積率〕
建物の延べ床面積の敷地面積に対する割合です。
〔角地〕
角地とは、その区画の隣接する2つ以上の辺が、道路に接する土地のことです。
日当りや風通しが良かったり、建ぺい率が緩和されているケースもあり、環境の良い土地といえます。
〔建築条件付き売地〕
特定の建設会社と一定期間内に建築請負契約を結ぶことを条件にしている宅地分譲のことです。
〔定期借地権〕
借地契約満了後に土地を所有者に返還する制度です。借地契約の更新はできません。
建物に関する用語
〔建築確認番号〕
建物を着工する前に行われる建築確認を終えた際に発行される番号のことです。
建築主は建物を建築する場合、建物の敷地、構造、設備、用途などが建築基準法や消防法などの法令に適合しているかどうかについて、建築主事、または民間の指定確認検査機関にて建築確認の審査を受けなければなりません。この結果、適合していると判断された場合に建築確認通知書とともに発行されるのが建築確認番号です。
〔在来工法〕
日本の伝統的な工法で、木造軸組工法とも呼ばれ、木材を使用した土台と柱と梁などで建物を組み立てる工法のことです。
〔2×4工法〕
19世紀の北米で生まれた木造建築の伝統的な工法で、2インチ×4インチ(ツーバイフォー)の角材による枠と、構造用合板を組み合わせたパネルを「面」として、床・壁・天井の6面体を構成する工法です。枠組壁工法とも呼ばれます。
〔RC造〕
鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete)の略で、柱や梁などの主要構造部に鉄筋の入ったコンクリートを用います。
〔SRC造〕
鉄骨鉄筋コンクリート造(Steel Reinforced Concrete)の略で、鉄筋コンクリートの中に鉄骨使った建築構造のことです。
RC造より強度が高いので、柱や梁を細くすることができ、全体の重量を抑えることができます。
〔バリアフリー〕
室内の段差をなくしたり、廊下や階段に十分な幅をもたせて手すりをつけるなど、高齢者や身体障害者などが生活するうえで障壁(バリア)となる部分を取り除くことをいいます。住宅などの建築物の場合は、物理的な障壁を解消するということになります。
マンションに関する用語
〔専有部分〕
分譲マンションなどの区分所有権建物において、単独で所有している部分のことです。
〔専用庭〕
分譲マンションなどの区分所有権建物において、個人的に使用できる庭のことです。主にマンションの1階にあります。
〔共用部分〕
分譲マンションなどの区分所有権建物において、区分所有者全員で共有している部分を「共用部分」という。
〔管理費〕
マンションなど集合住宅で、共用部分を管理するための費用です。
〔修繕積立金〕
将来の大規模修繕に備えるための積立金で、マンションを長期間維持・保全するため必要となります。