不動産広告の読み方(前編)
住まいを購入したい、借りたいと思ったら、いろいろな広告から情報を得ると思います。不動産会社が配布している広告を見ることで、物件や取り扱う不動産会社を見極めるひとつの目安にもなります。今回は不動産広告を読むときのポイントについて考えてみましょう。
基礎チェックポイント
新聞広告や折り込み広告、住宅情報誌やインターネットなど、不動産に関する情報はたくさんありますが、そのほとんどは広告です。不動産業界の専門用語があったり、あまりなじみのない言葉がでてきたりと、わかりずらい部分がります。また不動産広告は、消費者保護を目的として、宅地建物取引業法や不動産公正取引協議会によって、その表示方法や基準について定められています。以下、基本的な用語の解説と表記について見てみましょう。
所在地
不動産の所在地を表すものに地番と住居表示があります。地番は登記簿で土地の一筆ごとに付けられた番号で、基本的に広告には地番を用います。中古物件や小規模な新築分譲物件では地番は省略され、町名や○丁目までの表示される場合もあります。
駅等までの距離
徒歩による所要時間は、最寄駅から物件まで80m を1 分の速さで歩いたものとして計算されます。信号待ちの時間や坂道や歩道橋の上り下りなどは考慮されません。また、駅といっても改札口やホームではなく、物件ともっとも近い地上の出口が起算になります。分速80m というとなかなかの早足ですので、「駅から5 分」と表記されていても、実際に現地に出向いてご自分で歩いて検証されることをお奨めします。
面積
土地の面積はその水平投影面積、つまりその土地を真上から見た場合の面積を平方メートルで表示します。その土地の中に凸凹や斜面があっても考慮されませんが、概ね30%以上の法地(斜面等)がある場合はその旨が表示されます。また、マンションの場合は、壁の中心から測った部分の面積(壁心面積)を専有面積として表示します。登記簿上ではそれより5%ほど狭い壁の内側部分の面積(内法面積)が記載されています。
間取り
「3LDK」といった表示で、数字は居室の数を表し、L はリビング、D はダイニング、K はキッチンを表します。また、S(サービスルーム)やN(納戸)といった表記は建築基準法の採光や換気のための一定の間口の要件を満たさない部屋のことをいいます。部屋の広さを畳数で表す場合は、1 畳は、1.62 平方メートルで換算した数値を表示します。
構造と階数数
建物の構造は、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)、RC(鉄筋コンクリート造)、S(鉄骨造)、などのマンション、軽量鉄骨造で、木造の集合住宅はアパートと呼ばれます。階数は建物全体の階数と対象となる住戸が存在する階数が記載されています。
建築年月
「築○年という表示ではなく、「平成○年○月築」のように竣工した年月が表示されます。なお、完成後未入居物件でも建築後1 年以上経過していると、不動産広告では「中古」(もしくは築後未使用)と表示されます。また、建築後1 年未満の間に一度入居してどんなに短期間に退去した場合であっても中古物件になります。
賃料、礼金、敷金など
賃貸物件で家賃のほか、契約時の初期費用として、礼金、敷金などが必要な場合に記載されます。敷金などについて、退去時に一部または全部が返還されないことが契約の条件である場合には、その旨と額・割合も記載されます。
管理費(共益費)
賃貸物件やマンションで管理費(共益費)が必要な場合には、その額が記載されます
駐車場の利用条件
駐車場を利用する場合、月額の駐車場利用料などが記載されます。
定期建物賃貸借契約かどうか
定期建物賃貸借(定期借家)契約である場合には、その旨と契約期間が記載されます。
取引態様
広告を掲載している不動産会社がその物件の売主(貸主)なのか、売主(貸主)の代理なのか、仲介(媒介)なのかの立場なのか必ず明示されます。
●売主(貸主)
広告主である不動産会社が、自ら所有する物件を直接販売(賃貸)します。
●代理
広告主である不動産会社が、売主(貸主)の代理人として契約します。
●仲介(媒介)
広告主である不動産会社が、売主(貸主)と買主(借主)との間に立って契約を仲介します。
免許番号
不動産業者の商号、所在地、免許番号、所属団体が表示されますので、不動産取引(宅地建物取引業)に必要な免許を受けているかどうかの確認します。ただし、物件一覧のような一部広告媒体の形式によっては、所在地や免許番号について省略されている場合もあります。必要な場合は問い合わせるなどして免許業者であることを確認しましょう。無免許業者であれば取引をすべきではありません
取引の条件の有効期限や情報更新日など
入学や転勤などの季節には、特に賃貸物件は条件の良い物件から早く入居者が決まるものです。取引条件についてチラシに記載されている有効期限やインターネットの情報更新日についても注意しましょう。