高層マンションにおける様ざまな防災対策について



建築基準法の改正(1997年)が行われ、容積率規制の合理化、計算方法の変更、日影規制が緩和されたことで、数多くの高層マンションが建てられるようになりました。「景観の良さ」「共用施設が充実している」「生活利便性が高い」といったメリットがある反面、先日、ロンドンで発生したマンション火災を見て、防災面で不安を感じた人もいるようです。

今回は高層マンション~超高層マンションについて調べてみました。



時代は一戸建てから共同住宅、さらに高層マンションが増加中


昭和30年代までの住宅は一戸建てが主流でした。当時は2割に満たなかった共同住宅は、昭和40年代後半から増え始め、最近のデータ(「平成25年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)」を見ると、住宅の割合は一戸建てが約55%、共同住宅は約42%で、共同住宅は今後も増加の一途をたどると考えられています。

なお共同住宅の内訳ですが、3~5階の中層共同住宅はもちろんですが、6階以上の高層共同住宅、さらに11階建て以上の割合が急速に伸びているのです。中でも15階建以上の高層共同住宅は、2008年度と2013年を比較すると約48%増となっています。この背景には建築基準法の改正に加え、建築技術面での大きな進歩もあるといえるでしょう。



高層マンションの定義


通常「高層建築物」とは、どのくらいの高さの建物を指すのでしょうか。消防法、電波法では「高さ31mを超える建築物」を高層建築物と定義していますが、建築基準法に高層建築物についての定義はありません。ただし、建築基準法では「高さ60m以上の建築物」に対し、構造耐力など、それ以下の建築物とは異なる基準を定めています。そのため60m以上の建築物を「超高層建築」と呼ぶことがあり、これが共同住宅になると「超高層マンション」「タワーマンション」と表記されることが多いようです。



高層マンションのメリット


今や、高層マンション~超高層マンションは人気物件だといっても過言ではありません。入居募集、即完売してしまうケースもあるのは、次のようなメリットがあるからでしょう。
●特に高層階からの眺めが素晴らしい。
●周囲の建物より高いので、北側の部屋にも日差しが期待できる。
●エントランスをはじめ、エレベーターなどの共用施設が充実。中には屋上庭園、ラウンジといった施設を設けているところもある。
●24時間有人管理をしている物件も多く、防犯カメラ、監視センターといったセキュリティ面が充実。
●ハエや蚊、ゴキブリといった害虫が入りにくい。
●眺望がよい、共有施設・周辺施設の充実などを含め、資産としての価値が高い。また、建築物自体としての質も高いので、価値が下がりにくい。そのため売却、賃貸する場合も有利。
●普段の買い物が可能な商業施設、図書館や役所の出張所といった公共施設と一体化している物件なども多く、生活利便施設が高い。
●公共交通の駅に近い物件が多いので、通勤通学に便利。
●高層階では近隣の騒音が気にならない。

また、気になる防災面も、厳しい基準に基づいて設計されており、その点も高層マンションが選ばれる要因になっているようです。



防災基準と高層マンションの防災システム


高層マンションの場合、消防法施行令には31m以上の建築物は、はしご車が届かないなど消火活動や避難が難しいため、11階以上の階にはスプリンクラーを設置、階に関係なくカーテンやじゅうたんなどには燃えにくい防炎は防炎品、寝具などには防炎製品を使うことが義務づけられています。さらに高さ100m以上のマンションには、住民が屋上からも避難できるよう、ヘリコプターの「緊急離着陸場」が設置されています。また高さ45m以上100m未満の建築物には、ヘリコプターが空中で救出活動を行える「緊急救助用スペース」を設けることが要請されているそうです。

高層マンションには火災はもちろん、地震に対しても通常より厳しい耐震基準が設けられています。たとえば、大きな地震が起きた際、少しでも建物への損傷を軽減するために「免震構造」や「制振構造」を採用。前者は建物と地盤の間に免震装置(一般的には「積層ゴム支承(鋼板とゴムを何層か重ねあわせた部品)が使われることが多い」を付け、地震エネルギーを直接建物に伝えないようにする構法、後者は建物の骨組みに「制震ダンパー」と呼ばれる振動軽減装置を取り付け、地震のエネルギーを吸収し、揺れを小さくする構造です。

他にも、自家発電装置の付いた非常用エレベーターや中央管理室の設置、有事に備えて、備蓄倉庫や簡易トイレほか、防災設備を導入するマンションも増えています。

高層マンション~超高層マンションは憧れの住居ですが、やはり火事や地震が起きた時の各セキュリティは気になるもの。防災システムは進化しているとはいえ、安心・安全に暮らすためにも、入居・購入の際は防災面を十分チェックすることが必要です。






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