もしも家や土地にお宝が眠っていたら? その2



リフォームや建て直しの際、家財整理で発見するのは書画骨董品の類いが中心で、「もしかしたらお宝……」という可能性もあるといいます。中には思わぬ大金を手にする人もいるようですが、これが「土地からお宝?」となると話は変わってきます。

家(集合住宅含む)を建てるとき、購入した土地から「土器などの遺物」や「遺跡」が発見された場合、家財整理のように「自分の買った土地から出たのだから、うちのもの」とはならないのです。逆にしかるべき機関への届け出が求められています。

そのため新築購入(注文建築・建て売り購入)、土地取得を考えている人は、この点をチェックしておく必要がありそうです。



手に入れた土地から「土器」「遺跡」が出てきた!?


たとえば京都府や奈良県など、古代から都が置かれ、人が集まっていた土地に家や建物を建てる際、建築予定地から「遺跡」や「遺物」といった「埋蔵文化財(土地に埋蔵されている文化財〜主に遺跡といわれている場所)」が出てくる可能性は高いといえます。そのため「建築現場から歴史的な大発見!!」とニュースで紹介されることも少なくありません。このように建築現場から「土器」をはじめ遺跡や遺物が出土した場合、都道府県・政令指定都市の教育委員会に届けを出し、出土品は所有者が明らかな場合を除いて、発見者が所管の警察署長へ提出することが「文化財保護法」に定められています。なお、これが都道府県・政令指定都市及び中核市の教育委員会の鑑査で文化財と認められ、所有者が判明しないものは、原則として都道府県に帰属されます。つまり現在の土地所有者が出土品所有者にはならないのです。

さらに、本格的な遺跡発掘が必要になると、調査費用は事業者が負担します。ただし、個人専用住宅(個人事業に伴う建設工事などを含む)であれば、公費で負担してくれるケースが多いようです。とはいえ調査発掘の間は、年数にかかわらず工事を進めることができません。加えて「重要な遺跡」だと認定、保存されることになると、家自体を建てられなくなってしまう可能性もでてきます。



もしも自分の家、土地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」だったら?


家を買う人・建てる人、土地購入者がこのようなアクシデントに陥らないように、「周知の埋蔵文化財包蔵地(埋蔵文化財の存在が知られている土地のこと)」がどこに存在するかは、各市町村の担当部署にて確認することができます(市町村の中には包蔵地を周知させるよう、HPなどで公表している自治体もある)。現在(2018年5月現在)、周知の埋蔵文化財包蔵地は全国で約46万ヶ所あり、毎年9千件程度の発掘調査が行われているそうです。このようなことから、不動産会社、建築会社、設計事務所、ハウスメーカーなどの宅建業者は建築予定地や売買予定地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」であるかどうかを調査し、事前に知ることが可能です。つまり購入前のお客様に、埋蔵文化財調査が必要か否かの説明を行えることになります。また「宅地建物取引法」では、「周知の埋蔵文化財包蔵地」を「告知事項(不動産取り引きの際に告げなければいけないこと)」に指定しています。ですから「重要事項説明書」に埋蔵文化財包蔵地についての記述があるかどうか、しっかり確認しておくことが大切だといえるでしょう。

ところが、宅建業者の中には、後から「埋蔵文化財包蔵地」だったことがわかっても「知らなかった」とい言い訳するところがあるようです。たとえば設計者(建築士など)は図面を描く前、関係官庁に赴いて、建設予定地の条件を調査するのが一般的だといわれています。それなのに、「埋蔵文化財包蔵地であること」を把握していなかったとなると、宅建業者の調査能力や誠意が欠けていたといわざるを得ません。

なお「周知の埋蔵文化財包蔵地」である場所に建築物を建てる場合、以下のような手続きが必要になります(参考:小田原市埋蔵文化財の取り扱いについて)。

○遺跡周辺や範囲外で埋蔵文化財の存在がが考えられるケース
事前に試掘調査(費用は市で負担)を実施。工事に立会い、写真撮影や図面の実測などを行うことがある。

○遺跡の範囲内にあるケース
文化財保護法に基づき、書面に必要図面を添付して工事開始予定日の60日前までに2部提出。

届け出をもとに、市の教育委員会と県教育委員会が協議を行い、工事が遺跡に影響を与える可能性があるかどうかを検討。その結果、「試掘調査を行う」または「工事に際して立会う」場合に分かれます。ただし明らかに遺跡に影響がないと判断された場合は、そのまま工事を始めることができます。

その後、本格調査が必要であると判断されると、調査費用は事業者の負担となります。ただし、個人住宅や個人事業に伴う工事(営利目的ではない)の場合には市で費用を負担してもらえます。基本的には建築中に突然、埋蔵文化財が発見された場合も同様の手続きを行えば、個人住宅は費用負担などがあります。

一戸建てや土地を購入するなら、できれば「埋蔵文化財包蔵地」以外がおすすめだといえます。ですから取引時、「重要事項」に埋蔵文化財包蔵地について書かれていないかどうかの確認は忘れずにしてください。また、工事途中で遺跡や遺物が発見された時は、早めに市町村の担当部署に相談しましょう。

参考サイト

文化庁 埋蔵文化財
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/maizo.html

小田原市 埋蔵文化財の取り扱いについて
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/lifelong/property/maizoubunkazai/maibuntoriatsukai.html






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