家探し、家作りで、意外と気になる「家相」



賃貸、購入にかかわらず、「新しい家(部屋)を見つけ、親や祖父母に話をしたところ「家相がよくない」とダメだしされた」という話を聞くことがあります。さらに年配の方だと「その家相だと、家に災いがある」など、ぞっとするようなことを口にするケースもあるとか……。とはいえ、若い人だと「家相や間取りが悪い」と言われても「何のことだか?」と思う人は少なくないと思います。今回は「家相」について考えてみましょう。



「家相」のルーツと日本人とのかかわり


普段の生活で話題になることはほとんどありませんが、いざ「賃貸住宅を探す」「家を建てる」ことになると、俄然クローズアップされるのが「家相」です。これは屋敷、家屋の地勢や位置、また間取りや方位、構造などが人の生活や運命に影響すると考え、それらの吉凶を判断する方法で、中国の「陰陽五行説(思想)」をもとにして成立したといわれています。7世紀ごろ(奈良中期)日本に伝わり、平安京や貴族の住居、寺社仏閣などの築造に影響を与えました。最初は貴族や武士など、上流階級の間で信じられていましたが、江戸時代になると一般庶民にも広まっていったのです。

「家相」では、「鬼門(北東・南西)に玄関、トイレ、台所を作ってはいけない」「いびつな家は運気を下げる」「人の集まる部屋(リビングなど)は、南東や南の明るい場所がよい」といった考えがよく知られています。多分、これらを見てピンと来る人、多いように思います。「な~んだ、風水じゃないか」と思うのではないでしょうか。どちらも発祥は中国ですので、確かに「家相」と「風水」には相似点があります。しかし、似て異なるところもあるため、厳密にいえば切り離して考えた方が良いといえます。



日本の気候風土や文化によって形成された「家相」


基本的に「風水」とは、家の周囲の土地の地脈や地勢、気候から得られる「気の流れ」、いわゆる自然エネルギーを上手く活用して、良い運を得ようとする思想をいいます。これに対して「家相」とは、風水や気学を取り入れながらも、長い歴史の中で日本の気候や文化、習慣などに沿った形で、独自の発展を遂げた理論です。

大きな違いは、「鬼門」のとらえ方でしょう。鬼門には「表鬼門」と「裏鬼門」があり、前者は北東(艮)の方位を指し、鬼の入ってくる方角だといわれています。一方、後者は鬼門の南西(坤)にあたり、こちらも忌むべき方角とされています。家相では、これらの方角に玄関をはじめ、トイレや台所、浴室といった水回りのものを作ると「住む人に災いが起こる」、「裏鬼門に台所があると妻(女性)に難がおよぶ」とあります。また、「天子、皇帝は南面して天下を治める(北は天子が位置する方位)」の故事から、トイレといった不浄物を置くことを避けたようです。

「災い」とか「危難」とは、何とも物騒な物言いですが、鬼門と裏鬼門を避ける裏には、それなりの理由があったのです。というのも北東は陽が当たりにくく、雨などが降ればいつもまでもジメジメ。さらに冬は寒い場所です。そういうところにトイレや浴室を作ると、身体が冷えますし、衛生的にも良いとはいえません。対する南西は、夏になると強い日差しによって、部屋が暑くなります。ここに台所を作れば、どうしても食物が腐りやすくなってしまいます。つまり、家相における鬼門は、季節によって住環境に不具合が生じることを示唆する面も持っているのです。

鬼門は家相の中でも最も知られている話ですが、風水では北東や南西を必ずしも凶とはしていません。そのため日本で風水を用いる際は、日本独自の鬼門思想が取り入れられることも多いようです。



家探し、家作りに、どこまで「家相」が必要?


「家相」は先述のように、日本の冬と夏の厳しい気候に応じた間取りを提案するなど、まったく根拠のない説ではありません。しかし、一方では首をひねるような考え、迷信のような話も存在しますから、家探し、家作りをするときには、取捨選択が必要だといえます。ただ、最近の傾向として、以前ほど家相を気にする人はいないようです。どちらかというと、物件や間取りを見た施主の親や祖父母世代の人が、「子供(孫)が決めた家(土地)だが、家相が良くないのでは?」と不動産会社やハウスメーカー、工務店へ相談に来ることが多いと聞きます。

とはいえ、「完璧な家相の家」を望んだとしても、それを実現する物件を見つけるのは難しいといえます。たとえば自由設計で一戸建てを建てる場合、家相を考えるなら、まず好条件の土地を選ばなくてはなりません。さらに家自体の方角、間取りまで、条件を満たす家作りは不可能に近いでしょう。さらにマンションやアパートといった集合住宅になると、良い家相の部屋はひと握り。それを見つけることは至難の技だからです。

逆にいえば、たとえ「北東に浴室がある」部屋であっても、今は空調設備が整っていますから、冬は暖かく夏は涼しく、快適に過ごすことができます。そのため、あまり家相を気にする必要がなくなったといえるでしょう。

とはいうものの、周囲が家相を心配するケースはありますから、たとえば「インテリア風水」などを取り入れて、欠けている部分を補うのもひとつの方法です。もちろん、不動産会社やハウスメーカー、工務店では、家相についてのアドバイスもしてくれますから、わからないことは相談してみることをおすすめします。







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