不動産の税金の基礎



不動産の取引はその金額も高額で、さまざな法体系がその背景にあり、税金も複雑化しています。今回は不動産取引に関わる税金の基本概要について見てみましょう。



不動産税務の体系


国土の小さな日本において、不動産は希少性が高い資産であり、不動産を取得する段階、保有している段階、譲渡する段階でさまざまな税金が課税されることがあります。
なお、今回はもっとも基本となる体系について取り上げるに留め、各種の特例や時限的措置については割愛します。

●取得段階
相続による取得…相続税など
生前贈与による取得…贈与税、不動産取得税など
購入…不動産取得税など

●保有段階
自宅として保有…固定資産税、都市計画税など
賃貸経営など…所得税(不動産所得)など

●譲渡段階
売却による譲渡…所得税(譲渡所得)など

また、不動産関連の税金を徴収主体別に分けると以下のようになります。

国税:登録免許税、印紙税・(譲渡)所得税、相続税、贈与税
地方税:不動産取得税、固定資産税、都市計画税



不動産取得と税金


不動産を取得すると、印紙税、登録免許税、不動産取得税などが課税されます。また、住宅の取得を促進するために、住宅借入金等特別控除や住宅取得資金贈与の特例などがあります。

(1)印紙税
不動産取引で契約書を取り交わす際になどに払う税金です。印紙税法で定められた課税文書に対して印紙税が課税されます。不動産取引では不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書、土地賃貸借契約書、ローン借入れに関る金銭消費貸借契約書などが課税文書となり、税額はこれらの契約書の記載金額によって決定します。そして印紙税の納付は規定の印紙を契約書に貼りそれを消印することによって終了します。同じ契約書を複数作るときは、1通ごとに印紙を貼らなければなりません。

(2)登録免許税
登録免許税は、不動産を取得して所有権移転登記や保存登記、抵当権設定登記などをするときに課せられる税金です。

課税標準と税率は以下の通りです。

◯所有権保存登記…不動産価格の0.4%

◯所有権移転登記…売買等によるもの→2.0%、相続・法人の合併→0.4%、贈与・遺贈→2.0%
 ※土地売買のみ平成29年3月31日まで1.5%

◯抵当権の設定…債券金額の0.4%

(3)不動産取得税(地方税)
不動産取得税とは、不動産を取得したときに取得した者に課せられる都道府県税で、課税標準は固定資産税評価額に基づいています。土地については、平成30年3月31日までは、宅地の課税標準は2分の1とされています。
ただし、土地については、特例により平成30年3月31日までに宅地評価土地を取得した場合の課税標準が固定資産税評価額の2分の1に軽減されています。不動産取得税が課せられるのは、土地や家屋を、売買、交換、贈与、新築増改築した場合です。なお、相続の場合には相続税が課せられるのでこの不動産取得税は課されません。
税率は4%です。ただし、土地および居住用の建物(住宅)の取得については、平成30年3月31日まで税率3%とされています。



不動産保有と税金


(1)固定資産税(地方税)
不動産を保有している人が不動産の所在地の市町村に支払う賦課課税方式の地方税(市町村税)です。
課税標準は固定資産税評価額に基づきます。土地の評価替えは3年に1度行われます。ただし、評価替えの年の価額を据え置くことが適当でない時は、土地の評価額の修正が行われます(固定資産税額=前年度の課税標準額×負担調整率×税率)。税率は1.4%ですが、地方税法によって各市町村は条例でこれと異なる税率を定めることができるため、全国一律ではありません。納付は毎年1月1日時点で、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人が納税します。
徴収方法は普通徴収で4月・7月・12月・2月が納期ですが、一括で納付することも可能です。

(2)都市計画税(地方税)
市街化区域内の不動産を保有している人が不動産の所在地の市町村に支払う賦課課税方式の地方税(市町村税)です。基本的に固定資産税と同時に納付します。税率は0.3%の制限税率です。制限税率とは、市町村が条例で課することができる最高税率です。



不動産譲渡と税金


(1)譲渡所得
土地建物等を譲渡した場合、譲渡収入金額から取得費、譲渡費用、特別控除額を差し引いた課税譲渡所得に所得税・住民税が課せられます。その際、譲渡資産の所有期間が5年を超える場合を「課税長期譲渡所得」、5年以下の場合を「課税短期譲渡所得」と呼び、それぞれにおいて所得税・住民税の税率が異なります。

 課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

◯取得費
売却した土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料等の資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額のことをいいます。
なお、建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。
また、土地建物等の取得費が分からなかったリ、実際の取得費が譲渡金額の5%よりも少ないときは、譲渡金額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。

◯譲渡費用
土地や建物を売却するために支出した費用のことをいい、仲介手数料、登記費用、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人等に支払った立退料、建物を取り壊して土地を売却するときの取り壊し費用などが該当します。

◯所有期間
①取得日
原則として、譲渡資産の引き渡しを受けた日になります。ただし、契約効力発生の日とすることもできます。相続または贈与で取得した場合は、被相続人または贈与者が取得した日になります。

②譲渡日
原則として、資産を引き渡した日になります。ただし、契約効力発生の日とすることもできます。

税率は、短期譲渡所得の場合は39%(所得税30%、住民税9%)、長期譲渡所得の場合は20%
(所得税15%、住民税5%)です。なお、短期か長期かは、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下か、5年を超えているかで判断します。


今回は不動産取引における税金の基本的な概要に留め、前述のように特例や時限的措置についてはいくつかのものを除いて触れませんでした。税金についてはこれからも変更が見込まれ、一般消費者には難解なことも少なくありません。必要に応じて専門家に尋ねるなどして正確な理解に努めましょう。







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