低炭素建築物認定制度



今回は前回ご紹介した長期優良住宅制度と共通点が多い低炭素建築物認定制度について取り上げます。



ターゲットは“都市の低炭素化”


環境問題、とりわけ昨今の地球温暖化や東日本大震災を契機としたエネルギー問題への意識の高まりから、住まいについても二酸化炭素排出量の削減や省エネルギー化が求められています。そうした社会的背景から、平成24年に「都市の低炭素化の促進に関する法律」が公布・施行されました。通称「エコまち法」と呼ばれるこの法律では、「低炭素建築物認定制度」が制定され、都市部で、進んだ低炭素化が講じられた新築住宅について、税制面などで優遇措置を施されるようになりました。

低炭素建築物とは、そこに住みながら発生する二酸化炭素の排出量を抑制するための措置が講じられている建築物で、高い断熱性や省エネ型の給湯器や冷暖房設備といった光熱費などのランニングコストの低い設備を導入しているものをいいます。そして、これらの住宅は市街化区域内などにあることが必要です。市街化区域とは都市計画法で「すでに市街地を形成している区域及び概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする」というように定義付けられている区域です。要するに多くの人々が住んでいる街で、これからも発展していくことが望まれる区域です。ちなみに市街化区域に対するのが市街化調整区域で「市街化を抑制すべき区域とする」とされ、例えば農地や農家の集落で形成されているような区域です。

この法律の通称が「エコまち法」といわれることからも分かるように、都市にある住宅が対象となっています。これは通勤や買い物など日々の生活の中で車の利用距離が多いと省エネルギーの目的にそぐわないため、低炭素建築物としての認定を受けるには市外化区域もしくはそれに準じる区域にあることが対象となっているのです。つまり社会の中で特に多くの二酸化炭素が排出される地域である「都市」で低炭素化を促進するという目的がこの法律の背景にあるのです。



認定基準


低炭素住宅として認定されるためには、必須項目と選択的項目を満たす必要があります。それぞれについて見ていきましょう。

【必須項目(定量的評価項目)】
「外皮の熱性能」と「一次エネルギー消費量」が規定されています。一次エネルギー消費量とは、化石燃料、原子力燃料、水力・太陽光など自然から得られるエネルギーのことをいい、これらを変換・加工して得られるエネルギー(電気、灯油、都市ガスなど)を二次エネルギーといいます。それぞれ異なる計量単位で使用されており、建築物では二次エネルギーが多く使用されています。それを一次エネルギー消費量に換算することにより建築物の総エネルギーを同じ単位で求めるにあたり、省エネ法で定める省エネルギー基準の一次エネルギー消費量△10%を超える省エネ性能を備えることが必要になります。これは必須項目のもうひとつの項目である「外皮の熱性能」に関して、一定以上の厚さの外壁断熱と床断熱といった断熱性能の高い部材を採用することなどで基準を満たすことが可能です。


【選択的項目】
選択的項目としては、以下の(1)〜(7)の中から2つ以上を導入・実施すれば基準をクリアします。

(1)節水に関する機器の設置(節水トイレや節水水栓、食器洗浄機等)
(2)雨水、井戸水、または雑排水設備の導入
(3)HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入
(4)太陽光発電など、再生可能エネルギーを利用した発電設備及びそれと連携した定置型蓄電池の設置
(5)ヒートアイランド対策(敷地や建物屋上、壁面の緑化など)の実施
(6)住宅劣化の軽減に資する措置
(7)木造住宅であること
(8)高炉セメントまたはフライアッシュセメントの一部使用

以上になります。つまり木造戸建住宅であれば、例えば節水トイレを導入するだけでこの選択的項目はクリアできるわけです。



メリット


低炭素住宅の一番のメリットは、住宅ローン控除のローン限度額について、居住年が平成26年4月から平成31年6月までの場合は、一般の控除対象借入限度額が4,000万円であるのに対し5,000万円となり、控除率は1%なので最大で年50万円の所得税減税となります。登録免許税でも優遇措置があり、保存登記が一般で0.15%であるのに対し低炭素住宅では0.1%、移転登記では同じく0.3%であるのに対し0.1%となります。

また、住宅ローン【フラット35】 S(金利Aプラン)の省エネルギー性の基準に「認定低炭素住宅」が該当しますので、フラット35の金利から当初10年間0.3%引き下げられます。

さらに、「容積率の不参入」というメリットもあります。これは、低炭素化に資する設備(再生利用可能エネルギーと連系した蓄電池、コージェネレーション設備等)について、通常の建築物の床面積を超える部分は、容積率算定時の述べ面積に算入されないとするものです(1/20を限度)。



長期優良住宅との比較


前回このコラムでご紹介した長期優良住宅も優遇措置などについてよく似ています。長期優良住宅は長期にわたって良好な状態を保てるような機能を講じられた優良住宅のことで、省エネ性能のほかに、耐震性や劣化対策など他の住宅性能も高めにしなくてはならず、建築コストもかかりハードルが高くなります。低炭素住宅ではクリアすべき基準は省エネ基準だけで良いため、その分コストも抑えられます。そのため、長期優良住宅の性能や仕様は必要ない場合は、低炭素住宅は大きな魅力になるといえるでしょう。もちろん一般の住宅より建築コストはかかりますが、月々の光熱費は下がり税制優遇も受けられるのでコストは回収できるでしょう。



特に低炭素住宅は新築住宅に対するインセンティブが高いため、これから住まいを建てようとお考えの高はぜひご検討ください。






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