空き家問題、待ったなし!



全国的な懸案事項となっている空き家問題。今回はその対策にむけて昨年施行された空き家対策法について取り上げます。



空き家問題の現状


少子高齢化や人口減少で増加傾向にある空き家。その数は今や全国で820万戸になるといわれています(平成25年 国土交通省)。適切な管理が行われていない空き家が防災や衛生、景観などの点で地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしています。地域住民の生命や身体、財産の保護、生活環境の保全のため、昨年「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家対策法」と略記)」が全国施行されました。
これにより著しく有害となる恐れがあるといった「特定空き家」の持ち主に、自治体が改善を求める仕組みが始動することになりましたが、既に平成26年度10月の段階で401の自治体が空家条例を制定しました。それだけ差し迫っている問題であることが垣間見られます。

空き家とは「建築物又はこれに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)」と定義されていますが、実際には建物や管理の状況、人の出入りの有無、電気やガス、水道の利用具合など年間を通してのその家の使用状況から判断されます。



特定空き家とは?


空き家対策法でもっとも注目されるのは、「特定空き家」についての取り扱いです。特定空き家とは、下記のような定義と事例が提示されています。

① そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
・建物の基礎が沈んでいる
・建物の基礎が破損したり、変形している
・柱が傾いている
・土台が腐朽したり、破損している
・屋根が変形している
・壁に穴が空いている

② そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・吹き付け石綿などが飛散し曝露している
・排水、ゴミ、不法投棄により臭気が発生している
・多数のネズミ、ハエ、蚊などが発生している

③ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・屋根、外壁が汚物や落書きなどでひどく汚れたままになっている
・窓ガラスが割れたまま放置されている
・木々が建物を覆う程生い茂っている
・敷地内にゴミが散乱、山積したままになっている


④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
・木々が腐朽したり、倒壊していて近隣の道路や敷地に枝などが大量に散らばっている
・動物の鳴き声やふん尿、毛などで近隣住民の日常生活に支障をおよぼしている
・シロアリが大量発生している
・門扉が施錠されていなかったり窓ガラスが割れているなどして、不特定の者が用意に進入できる状態でる
・周辺の道路、家屋の敷地などに土砂などが大量に流出している

以上は例示であり、これらにはあてはまらない場合も適切に判断されますが、特定空き家とは簡単にいえば廃墟状態の家のことです。

空き家対策法では、市町村長は特定空き家の所有者に対して、除去や修繕の始動や命令を出すことができます。それでも改善が見られなかったり、所有者が分からない場合は、行政代執行で強制的に撤去することができます。



空き家の原因は固定資産税?


それでも空き家が増える要因のひとつとして、固定資産税が取り上げられています。宅地は住宅が建っていれば居住しているかどうかにかかわらず、固定資産税評価額が6分の1(200平方メートルを超える部分は3分の1)に減額されます。そのため家を相続した人が、そこに居住していなくても建物を解体しないでそのままにしておくことが多いのです。

こうしたジレンマを解消すべく、空き家を解体した場合に固定資産税の増額を免除したり、逆に放置されている空き家に税負担を大きくする措置などが考えられますが、具体的な施策は未定です。



空き家を有効活用


問題となっている空き家。しかし、空き家を有効活用しようとする動きも徐々に活発化しつつあります。

以前このコラムでもご紹介した50歳以上の住宅所有者の自宅を借り上げて賃料収入を保証する「マイホーム借上げ制度」もそのひとつとしてとらえることができます。また、全国の空き家をデータベース化し、購入や賃貸を検討している人に情報を提供し、例えば借主が費用を負担して修繕や模様替えをする「借主負担DIY型」によって空き家を活用する動きも見られます。市町村も空き家を修繕して地域の交流の場に利用するといった事例もあります。例えば千葉市では、空き家の活用・流通の促進のための相談窓口「すまいアップコーナー」が設けられています。



活用の仕方によっては新しく街の宝の山になる可能性も秘めている全国の空き家。国道交通省のガイドラインでは、国が基本方針を策定し都道府県が支援、そして市町村が実施することが示されています。各地域の実情を把握している市町村が独自の判断基準を定め実行していくとともに、空き家の有効活用について不動産会社など民間の活力に期待が寄せられるところです。







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