土地建物の“公的名簿” 不動産登記(続)



前回に続いて不動産登記について取り上げます。今回はまず登記に伴う図面から触れたいと思います。



不動産登記簿と地図


不動産登記簿を調査する際に、公図などの地図の確認を行うことも大切です。登記所には以下のような地図が備え付けられています。

・公図
公図とは、土地一筆ごとの位置や形状を示したもので、法務局(登記所)に備えつけられています。公図は、明治時代の地租改正の時に作製された図面をもとにしたもので、地図が備え付けられるまでの間、「地図に準ずる図面」として地図に代わるものとして土地の“大まかな”位置や形状を表すものとして用いられてきました。当時の測量技術の限界などもあり、公図の精度はあまり高いものではなく現況とは大きくことなる場合も見受けられます。

・14条地図
14条地図とは、正確な測量と調査方法に基づいて作成された地図のことで、各筆の区画や地番を明らかにすることを目的に、緯度や経度などを基準として境界を測量しています。そのため、仮に災害などで土地が崩壊したとしても境界を復元することもできます。
2005年の不動産登記法の改正で、地図を書面ではなく、電磁的記録(データ)で対応できるようになったことから、備え付けが可能になりました。平成15年から国土交通省が法務省などと協力して、日本全国の土地を測り直す地籍調査を行うことにより、正確な図面の作製が順次進んでいますが、すべての法務局(登記所)で14条地図が備えられているわけではありません。

・地積測量図
地積測量図とは一筆毎の土地について法的に確定した地積(面積)や地形を表した図面で、閲覧や写しの交付を請求することができます。ただし、すべての土地に備え付けられているわけではありません。

・建物図面
建物図面は、一戸毎の建物または区分建物(マンション)の位置や形状などを示す図面です。これにより建物の形状や面積が分かります。建物を新築したり、増築をした場合には、その登記申請の際に必ず添付しなければなりません。しかし、登記時の添付が義務づけられたのは1965年からで、それ以前に登記された建物では添付されていないことがありますので、必ずしもすべての建物に備えられているわけではありません。



順位に“唾つけ”?仮登記


登記の実務の上でもう一つ大切な事項があります。それは仮登記です。仮登記を行うのは、以下の2つの場合です。ひとつは権利の変動がまだ生じていない場合でこれを請求権保全のための仮登記といいます。また、権利の変動は生じたが、登記申請に必要な書面が揃わない場合にも仮登記を行います。これは条件不備の仮登記と呼ばれます。
所有権移転登記のように実際に権利の移動が行われたときにされる登記を本登記といいますが、仮登記は本登記をするのに必要な形式的要件や実質的な要件が満たされない際、将来要件が揃って本登記した場合の順位を保全するために予め行われます。前回述べたように登記は基本的に登記をした順番によって優先順位が決まる早い者勝ちがルールです。

しかし、必要な書類が揃わないといった理由で登記が遅れてしまい、その結果優先順位も後になってしまうような不利益が生じることもあります。これを防ぐために、「私は○番目だ!」といわば“唾をつけておく”ための登記上の制度が仮登記です。仮登記には順位保全の効力があり、後日本登記をした際には仮登記をした日に遡って、本登記の内容が発生したことになります。これが仮登記の順位保全効力です。逆にいうと、本登記にしなければ第三者には自己の権利を主張することはできません。仮登記には対抗力が認められないのです。

また、仮登記は地上権や地役権など、乙区に記載される所有権以外の権利についても行うことができます。



その他の登記


その他表示に関する登記で主だったものを取り上げます。

・分筆登記
分筆登記とは、一筆の土地を数筆に分ける登記のことをいいます。分筆登記がなされるのは、土地の一部を売買する場合や相続した土地を相続人で分ける場合などです。通常土地には「10番」というような数字が付されていますが、土地を分筆すると、「10番1、10番2・・・」というように登記簿が複数になります。分筆登記は所有者の申請により、自由に行うことができます。また、反対に複数の土地を一筆にまとめる登記を合筆登記といいます。

・地目変更登記
土地の用途や使用目的など地目を変更した場合に行う登記のことを地目変更登記といいます。例えば、農地を宅地に転用した場合などに地目変更登記を行います。この場合、官公署の許可などを証明する書面なども必要となります。

・地積更正登記
登記簿(公簿面積)と現況の地積(実測面積)が異なる場合、登記簿の内容を現況で測定した地積に更正(変更)する登記のことです。古くからの土地などでは、登記された地積と実測面積とが異なることが少なくありません。土地売買において登記簿を現況が表されているものにしたい場合に地積更正登記が行われます。なお、地積更正登記の際には境界確認書などが必要となります。


これまで見てきたように、不動産登記は土地や建物の権利関係や物理的現況を明らかにする大切なもの。これから住まいの購入を検討されている方はもちろん、現在持ち家や実家にお住まいの方も、将来の売買や相続のために一度ご覧になってはいかがでしょうか。







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