将来おこりうる?!マンションの建て替え



建設から相当の年数が経ったマンションの建て替えが社会問題となっています。現在マンションにお住まいの方だけでなく、これからマンションの購入をお考えの方にも意識して頂きたい問題です。



マンションも高齢化


日本で民間初の分譲マンション「四谷コーポラス」が売り出されたのが1956年。それから60年代の第一次マンションブームを皮切りに日本の居住形態として主要な位置を占めるマンションですが、現存する中でも少なからぬ割合のマンションが老朽化し、建て替えが望ましい状態にあるといわれています。

記憶に新しいところでは、阪神淡路大震災で被害を受けた都心部のマンションで、建て替えが必要なほどの被害が生じながらも居住者(区分所有者)の間で建て替えについての賛否が分かれ問題解決に至らないというケースが続出したことがありました。

マンションの建て替えはもともと難しい要因があります。賃貸ではなく持ち家としてのマンションの場合、複数の人が所有する住宅の集合体です。専有部分については基本的に自分の意思でリフォームなどはできますが、エントランスや屋根、エレベーターや階段などの共有部分は文字通り区分所有者全員が共有している財産であり、改修や修繕、そしていわばその究極の形である建て替えは区分所有者の全員で決める必要があります。さらにそれを実行するには区分所有者の一定割合以上の「合意」が必要なのですが、この合意に至るのが極めて難しいというのが現状なのです。

ひとつのマンションであっても、家族構成やライフスタイル、経済的状況などさまざまな面で異なった家族や個人が住んでおり、全体として合意を得ることは難しく、実際に建て替えが実現したマンションの例は極めて少ないのが実情です。

合意に至らない最大の理由が経済的負担といわれています。一定の改修や修繕と違い、マンション一棟丸まる建て替えるとあっては、もともと負担額も大きくなるのに加え、築年数の経ったマンションでは区分所有者自身も高齢化している場合が多く、金額的にも労力的にも負担が多い建て替えに賛成しない場合が多いのです。



国の政策


こうした情勢を背景に、国は対策に乗り出しました。

・区分所有法の改正
まず平成14年に「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」を改正しました。
改正前はマンションを建て替える場合、決議の要件として区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数決に加え、建物が老朽等している「老朽要件」や建物の効用の維持回復に建物価額等の建物の状況に照らして過分の費用を要する「費用の過分性要件」等が必要とされていました。しかしこの改正でこの要件は撤廃され、4/5以上の決議のみで建替えができるようになりました。

・建替え円滑化法の創設
もう一つ、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下、建替え円滑化法)」が創設されました。
これにより、建て替え事業の主体となるマンション建替組合を設立してこれに法人格が与えられ、建て替え工事の契約等の手続きが合理的に行えるようになりました。従来、建て替え工事の請負契約では建て替えの参加者全員が、個別に施工業者と契約する必要がありましたが、法人格が与えられることで建替組合として一括して契約できるようになりました。請負業者が「参加組合員」という立場で組合に参加するのが一般的です。これを組合施行といい、組合設立や事業計画等について行政の認可を受ける必要があります。



等価交換方式


また、マンションやビルなどの建設で以前からも比較的広範囲に行われてきた方法に等価交換方式があります。これは土地所有者が土地を提供し、デベロッパーが建物の建設費を負担する共同建設方式です。区分所有マンションの場合、区分所有者は敷地も応分で所有しているからです。建物が完成すると、出資比率に応じてそれぞれ区分所有権を分け合うという形をとります。
建替え円滑化法が各都道府県知事の認可事業として行うのに対し、デベロッパーとの民事契約(等価交換契約)により行われるのが等価交換事業です。通常土地建物に関する権利をすべていったんデベロッパーに処分し、そのデベロッパーが事業主体となって法的責任やリスクを負って新しいマンションを建設します。



それでも難しい建て替え


平成26年の建替え円滑化法の一部改正時でも「我が国のマンションのストック総数は約590万戸、そのうち旧耐震基準で建設されたものが約106万戸存在し、それらの多くは耐震性不足であると考えられる。マンションの建て替えはこれまで183件、約14,000戸の実施にとどまっており、巨大地震発生に備えるために、耐震性不足のマンションの耐震化の促進が喫緊の課題となっている。」との国土交通省の見解が発表されました。

実際、東日本大震災など大規模な地震を近年経験し、老朽化した住まい、ことに相当の築年数を経たマンションの建て替えの必要性がさらに意識されるようになりましたが、上で述べたような法律や方法が導入されるようになってもマンションの建て替えは進まないのが現状です。

実際には区分所有者の合意で行える範囲の改修・修繕にとどめていたり、個々人が区分所有内でできる地震対策をしているのが現状です。

建て替えの実施を考えると同時に、今できる対策を当面講じるのが現実的な対策かもしれません。また、これからマンションを購入しようとお考えの方も、その後のライフスタイルも考慮しながら検討するようにしてください。







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