住まいを守る 火災保険の基礎(後編)



前回に続いて火災保険の基礎について見てみましょう。なお、火災保険の対象は「住宅物件」「一般物件」「工場物件」「倉庫物件」と大きく4つに分類できますが、ここでは主に「住宅物件」「一般物件」の2つについて取り上げます。



火災保険の区分


火災保険にはいくつかの分け方があります。

・「住宅火災保険」と「住宅総合保険」
住まいとして使用される建物とそれに収容される家財を対象とする保険には「住宅火災保険」と「住宅総合保険」があります。住宅総合保険は住宅火災保険より充実した補償内容となります。また、「交通傷害担保特約」、「個人賠償責任担保特約」、「借家人賠償責任担保特約」といった特約をつけることで、補償をさらに充実させることができます。

・「普通火災保険」と「店舗総合保険」
「普通火災保険」と「店舗総合保険」は、事故によって併用住宅、事務所・店舗、倉庫、工場などの建物と家財、設備什器、商品・製品などに生じた損害を補償します。普通火災保険には一般物件用、工場物件用、倉庫物件用があり、目的となる物件(一般・工場・倉庫)によって補償内容が異なります。

・「住宅総合保険」と「店舗総合保険」の特徴
「住宅総合保険」の対象は住宅専用建物と家財、「店舗総合保険」の対象は店舗併用住宅と事務所と家財・備品・商品などであり、対象は異なりますが補償内容は概ね同じになります。具体的にいうと、住宅総合保険と店舗総合保険は、住宅火災保険や普通火災保険(の一般物件用)の担保内容に加えて建物外部からの物体の落下・衝突、給排水設備に生じた事故などによる損害も補償されます。



火災保険の保険金額と保険料


火災保険の保険金額(契約金額)は、再調達価格(保険契約の対象である物と同等の物を新たに建築または購入するために必要な金額)をもとにするか、保険価額(通常は時価額。同等の物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、使用による消耗分を差し引いた金額)をもとにするかどちらかの方法で設定します。

保険料は、物件の用途や面積、構造などをもとにして算出されます。また、火災保険には掛け捨て型と積立型があり、一般的には一年ごとに入る掛け捨て型が多いですが、積立型は満期時に一定の満期返戻金が支払われ、貯蓄性を持ちます。「長期総合保険」がこれにあたります。

また、前回触れたように火災保険の契約者には告知義務や通知義務があり、違反した場合には保険会社から保険金が支払われないことがありますので注意しましょう。まず、告知義務では契約する際、契約者は「危険測定上重要な事柄(申込書記載事項)」を正しく告げなければなりません。また、他人のために契約する場合には、そのことを申込書に明記して告知する必要があります。そして、契約中に次のようなことが生じた際には契約者は保険会社に伝える通知義務があります。

・保険の目的を譲渡する場合(保険のついている建物を他人に売却する場合など)
・建物の構造・用途を変更する場合(住居を店舗に改造する場合など)
・保険の目的を移転する場合(家財に保険をつけていて転勤に伴い転居する場合など)
・同一の建物や家財について、他の保険会社と同一の内容の保険契約を結ぶときなど



地震保険


東日本大震災など近年大規模な地震災害が発生したことを背景に、地震保険に対する関心が高まっています。火災保険では地震による火災などの損害に対しては保険金が支払われませんので、地震に備えるためには地震保険に加入します。地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき、損害保険会社の保険責任を政府が引き受ける形で運営されている制度です。

・地震保険の加入方法
現状では、地震保険だけを単独で契約することはできず、火災保険への加入が前提となりますので、地震保険は火災保険とセットで契約する必要があります。地震保険の制度は、居住用建物(住居のみに使用される建物及び店舗併用住宅と家財を保険の目的としています。また、地震保険の契約金額の上限は、建物5,000万円、家財1,000万円までであり、火災保険の契約金額の30%~50%の範囲内と定められています。なお、火災保険を契約している方も、契約期間の途中から地震保険に加入することができます。

・保険料
地震保険の保険料は、建物の所在地(4つの等地区分があります)と建物の構造によって異なります。また、割引制度があります。

・補償内容
地震保険は、地震・噴火・津波の結果生じた火災損壊・埋没・流失などの損害に対して補償をします。また、保険金は全損・半損・一部損と3つに区分された損害の程度に応じて支払われます。支払われる保険金はそれぞれ、全損で契約金額の100%、半損50%、一部損の場合5%となります。




さまざまな災害が生じる昨今の日常を背景に、火災保険の必要性が見直されています。住まいの環境や生じうるリスク、そして補償の範囲などを考慮して、適切な保険契約を選択するようにしましょう。








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