江戸時代、すでに「相撲番付」「芝居番付」、「温泉番付」などが人気だったように、日本人にはランキングが気になる気質があるようです。その影響なのか、現在も格付け、ランキング番組は話題になり、上位に推された人やスポットは注目されています。「住みたい街」ランキングもそのひとつで、住まい探しをしている人もそうでない人も興味があるといい、前者は「住まい作りの参考にしたい」、後者は「自分の住むエリアの評価が知りたい」といった理由が多いそうです。

そこで前回、「住みたい街」ランキングについて調べてみましたが、やはり上位に来るのは東京都・神奈川県を中心とした首都圏。「恵比寿」「吉祥寺」「横浜」といったエリアが注目されていました。ただ、その反面、東京「赤羽」、神奈川県「川崎」、埼玉県「川口」ほか、今までランキングとは縁のなかった地域がクローズアップされています。理由は様ざまですが、「不動産の購入価格がおさえられる」「家賃や物価が安い」など、より「無理なく生活しやすいエリア「住み心地のよいエリア」が求められているようです。

その傾向は、ますます顕著になっており、最近は「都市圏から通える郊外エリア」「リモートワークを機に田舎暮らし」を考える人も増えています。そこで今回は関西圏の人気エリアを紹介したいと思います。

関西圏の「住みたい街」ランキング。人気のエリアは？

関西では、どのようなエリアが注目されているのでしょう。いろいろなランキングを紐解いてみると、「西宮北口」「梅田」「三宮」の駅周辺が人気を集めているようです。特に、「西宮（北口）」は常にトップクラスのエリア。近年は「ニシキタ」の愛称で親しまれ、他の地域から関西へ移住する人が必ずチェックしているといいます。

西宮北口エリアが支持される理由には、主に次のようなものがあります。
・阪急神戸線と阪急今津線が交わっており、交通アクセス至便
・大阪（梅田）、神戸（三宮）、宝塚方面へも10数分で行ける
・駅周辺には駅直結の阪急西宮ガーデンズをはじめ、商業施設が充実している
・駅のある西宮市は、大正時代から高級住宅街として開発されており、落ち着いた住環境が魅力
・関西学院や神戸女学院など評判の良い大学や高校なども多く、「文教地区」としても知られている。

交通アクセスが良く、便利なショッピング施設があり、住環境にも優れているという条件を満たしていることは、「住みやすい街」にもつながります。そのため、「西宮北口」エリアは何年も続けて高い人気を得ているのでしょう。

残りの上位エリアは「梅田」「三宮」ですが、「こんなところ知らない（聞いたことがない）」、中でも関西圏以外に住む人は「大坂駅や神戸駅が入っていないのはおかしい？」と感じるかもしれません。実はこれ、「梅田」が大阪エリアの、「三宮」は神戸エリアの主要駅だからなのです。JR西日本の「大阪駅」のある梅田地区は、有名商業施設、ホテル、オフィスビルなどが林立する、西日本有数の繁華街でありオフィス街。また駅周辺には、大阪駅周辺には阪神電鉄・阪急電鉄の「大阪梅田駅」、御堂筋線の「梅田駅」などが乗り入れており、西日本の玄関口となっています。そのため、住みたい街の最寄り駅を「大阪駅」ではなく「梅田駅」と答える人が多いのは、大阪を代表する街「梅田地区」と同じというのも理由のひとつではないかと思われます。関西に住んでいた人に聞いたところ、大坂へ買い物に出る際、「梅田に行く」と言っていたそうです。

同じように、関西では神戸エリアに出かける時、「神戸へ行く」ではなく、「三宮へ買い物・遊びに行く」という人が多いといいます。というのも、神戸市の商業・ビジネスの中心は「三宮駅」にあるからです。そこには「神戸新交通　ポートアイランド線」「神戸市交通局（神戸市営地下鉄）山手線 」の「三宮駅」、JR西日本「三ノ宮駅」、阪神電鉄、阪急電鉄の「神戸三宮駅」が置かれ、交通の要衝になっています。なお、「JR神戸駅」も存在しますが、「三宮駅」とは隣接せず、離れたところにあるため、余計に「神戸」より「三宮」という地名・駅名がポピュラーになったのかもしれません。

馴染みのない地名や駅名は、事前に調べておくのがおすすめ

自分の住むエリア以外に住もうとした場合、「梅田」「三宮」のようなケースに遭遇することがあります。たとえば、「同じ名前なのに、駅は隣接していなかった（乗り入れしていなかった）」「地名と駅名がまったくちがう」ということも多く、都道府県・市町村内での住まい探しでも生じているようです。

「住みたい街」「住みやすい街」ランキングを参考に、引っ越し、さらには移住を考える人もいると思いますが、特に関東圏から関西圏、東北から九州など、遠く離れた場所へ移動する際は、エリア情報をしっかり調べておくことをおすすめします。