これからは、やはり「対コロナ住宅」が主流?(~建物にもある?「住宅・建築デザインのトレンド」その3)



日本の住宅は、時代の変化や自然環境などに応じ、「より安全で暮らしやすい」建物として進化してきました。その中で日本特有の構法や様式が生まれ、江戸時代には渡来人から海外の文明が伝わり、少しずつ影響を与え始めます。さらに明治維新後、政府の欧米化政策をきっかけに、在来工法と西洋の建築技術とが融合。明治時代、特に政治家や上流階級の間では、和洋折衷の住宅が作られるようになりました。

一方、庶民の住まいは、瓦屋根と和室を中心とした木造住宅が一般的でした。今回は、大正時代以降の住宅と共に、これから注目される家作りについて調べていきたいと思います。



大正~昭和初期に登場した家族中心の「文化住宅」


文明開化の風潮も手伝って、明治後期ころから「家の在り方」にも変化が生じます。というのも、それまでの家屋、特に中流階級の住宅は江戸期の武家住宅に近く、「来客本位・接客重視」の間取りになっていました。来客(接客)領域と生活領域が明確に区分されており、客間(座敷)は南向きに置かれ、茶の間や台所と言った家族の部屋は、陽当たりが良くないなど自然的条件の悪い場所に位置していたのです。

しかし、大正時代になると、政治や社会をはじめ、あらゆる分野で「自由主義」「民主主義」を求める機運が高まります。文化面も例外ではなく、来客中心、家長制度や大家族制という封建的な生活から、一家のだんらんを大切にする間取り、使い勝手の良い台所など、家族主体かつ合理的な家作りを唱える者も増えていったのです。

そのひとつが、大正から昭和にかけて建てられた「文化住宅」でした。一般的には、和風住宅に洋風の応接室を備えた、または洋風の外観を持つ和洋折衷住宅で、「茶の間(居間)を南側に置く」「子ども部屋を作る」「イス式の生活をする」「ガス・水道を完備した台所と浴室を設ける」といった特色がありました。また、赤や青の彩色瓦を使用するケースが多くみられたそうです。

時期を同じくして、住宅改良、生活改善運動も盛んになり、諸団体(「住宅改良会」「住宅改善同盟会」など)が相次いで設立されます。これらは大正・昭和初期の住宅に大きな影響を与えたと考えられています。それを裏付けるように、戦前までは一般住宅の間取りに大きな変化はなかったようです。



戦後から現代へ。多様化する住宅


昭和中期、第二次世界大戦によって多くの建物が焼失します。日本各地では、バラックなどの粗末な仮設住宅が立ち並び、特に都市部は被害がひどかったため、地方の実家や親戚のところへ疎開する人も少なくなかったそうです。しかし、その後の高度経済成長期(1950年代後半から1970年代前半にかけての好景気。中でも1962年~1964年の2年間は「オリンピック景気」と呼ばれる)には、住宅不足を補うため、公団住宅、鉄筋コンクリートの団地といった大量供給型の住宅が造られはじめます。さらに昭和40年代になると、マイホームを建てる人が急増。住宅メーカーの一戸建ては品質も高く、安心だということで人々の憧れの対象になりました。



新型コロナウイルス予防を意識した家作り・部屋作り


住居の基本は、風雨などの自然災害、様ざまな外敵から身を守り、安全に暮らすことにあります。昭和後期~平成になると、その傾向は強くなり、地球の温暖化を緩和するため、高断熱・高気密など住宅性能を向上させた「省エネ住宅」が登場。加えて「阪神淡路大震災(1995年・平成7年)」「東日本大震災(2011年・平成23年)」に代表される大型地震の教訓からは、地震に強い「耐震住宅」が誕生します。

2020年、中国・武漢市で発生し、瞬く間に日本のみならず世界中に広まった「新型コロナウイルス」は、未だに猛威を振るっています。ワクチンをはじめ、決定的な治療法が見つからない限り、人類は「マスク着用」「三密回避(三密:密閉空間(換気の悪い密閉空間、密集場所(多くの人が集まっているところ)、密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や共同行為を行う)」といった感染予防策を取らなくてはなりません。

新型コロナウイルスは感染力が高いため、出勤からテレワークに、娯楽施設の予約制、リモート講習会ほか行動に制限が設けられるなど、コロナ以前とは、人々の生活スタイルも大きく変わりました。そこで、しばらく続くであろう感染予防生活に対応する家作りやリフォームが注目されています。

たとえば、自宅で過ごす時間が増える中、ビデオ会議のハウリング現象を防いだり、二重窓や防音ドアで室外の音を聞こえにくくする(逆に言うと、室内の音を外に漏れにくくする)効果をもたせた「テレワーク専用部屋」、手洗いうがいがコロナ予防に効果的ということから、玄関に自動水栓付き手洗い場の設置、また玄関の開け閉めを、手に触れず自動に行うシステムなど、様ざまな工夫を施した設備が登場。感染症リスクの軽減効果が期待されています。

今後も「コロナ対策住宅」「テレワーク専用リフォーム」は増えていくと思われます。次回は、これらの住居をもう少し詳しく調べてみたいと思います。






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