住宅とスプリンクラー



1997年(平成9年)、建築基準法が改正(日影規制の緩和、容積率規制の合理化、計算方法の変更など)されたことで、高層マンションが数多く建てられるようになりました。「眺めがいい」「北側の部屋にも日差しが期待できる」「エレベーターなどの共用施設が充実」「資産価値が高い」というメリットから、「高層マンション(超高層マンションを含む)」は、今や人気物件となっています。

また、火災や地震に対する防災面においても厳しい基準に基づいて設計されています。たとえば火災の場合、消防法施行令には31m以上の建築物は、はしご車が届かないなど消火活動や避難が難しいため、11階以上(31m相当)の階にはスプリンクラーを設置するなど、延焼防止の対策が施されています。

なお、スプリンクラーは高層物件だけでなく、一戸建てにも設置することが可能です。ということで、今回は火災から我が家を守るスプリンクラーについて調べてみました。



高層化する共同住宅には様ざまな防災施設がある


先述したように、近年は高層マンションのみならず、20階建て以上の「超高層マンション(タワーマンションとも呼ぶ。なお、高さが60mを超える建築物を「超高層建築物(建築基準法施行令36条3項)」という)も特別なものではなくなりました。2019年以降に完成予定の超高層マンションは約11万4千戸を数え、東京オリンピックに関連した再開発を受け、首都圏を中心に建設は再び活発になっているそうです。

超高層マンションにはスプリンクラーはもちろん、高さ100m以上になると屋上から避難できるよう、ヘリコプターの「緊急離着陸場」も設けられています。また高さ45m以上100m未満の建築物には、ヘリコプターが空中で救出活動を行うための「緊急救助用スペース」があるといいます。

分譲、賃貸にかかわらず、高層マンションを考えているのであれば、その物件にはどのような防災システムが設置されているのかを把握しておく必要があるといえるでしょう。



知ってるようで知らない、スプリンクラーの種類と特長


「スプリンクラー」とは、もともと粉末や液体などを散布する機器のことで、主に「消火・防火用自動散水装置」「散水灌漑装置(農業用など)」などを指します。様ざまな種類があり、立地条件や用途によって使い分けられています。建築物に設けられるスプリンクラー設備は、水による初期消火を目的に、火災感知から消火までをすべて自動で行う消火設備です。なお、消火用スプリンクラーには「閉鎖型(水の出口が常に閉じられている仕様)」と「開放型(水の出口が常に開いている仕様)」があり、一般ビル用の「閉鎖型湿式」、電算機室などに設置する「閉鎖型予作動式」、寒冷地用の「閉鎖型乾式」、さらに舞台などに設置する「開放型」の4種類に分けられます。それぞれの特長は下記の通りです。

・閉鎖型湿式スプリンクラー設備:一般ビル用
配管内に常時水を加圧充満しておく方式で、最も一般的なタイプ。火災時にスプリンクラーヘッドが感熱開放することで、自動的に散水・消火が行われ、放水と同時に火災の報知・警報も行う。

閉鎖型乾式スプリンクラー設備:軒下や屋外、配管内の凍結の恐れがある寒冷地、暖房のない建造物用
閉鎖型スプリンクラーヘッドから乾式流水検知装置までの間に、圧縮空気(加圧空気)を充填。火災発生によりヘッドが開放されると加圧空気が放出されて配管内が減圧することにより、流水検知装置が作動。散水が行われる。

・予作動式スプリンクラー設備:病院、共同住宅、散水した場合に特に水損による被害が大きくなる重要文化財、建造物、電算機室、通信機室向け
ヘッドと火災感知器等の両方が作動しない限り、放水しないのが大きな特長。そのため、非火災時、スプリンクラーヘッドが誤作動しても予作動式流水検知装置は開かず、水損事故が防止できるタイプ。

・開放型スプリンクラー:劇場などの舞台部、化学工場や倉庫といった建造物向け
感熱部のない開放型スプリンクラーヘッドを設け、火災感知器などと連動して放水するタイプ。火災時、火災報知器設備の感知器により、自動的に、または手動で一斉開放弁を開いて、一つの放水区域のヘッド全部から同時に放水させる。

高層マンションなどの共同住宅用スプリンクラー設備は、オフイスや工場、店舗用と同じ「閉鎖型湿式スプリンクラー」に属します。ただし、「総務省令第40号(これを適用するには、主要構造が耐火構造でなくてはならないこと、開口部の規定や区画の規定などさまざまな構造上の条件を満たす必要がある)」により、11階以上の共同住宅であっても、内装制限などを行っている場合は「通常用いられる消防用設備等」に代え、共同住宅用スプリンクラー設備の免除が可能(共同住宅用自動火災報知設備の設置は必要)。開放型特定共同住宅の場合は、11階~14階の部分においてのみ、共同住宅用スプリンクラー設備が免除されますが、15階以上の階には設置が必要です。

このように11回以上の物件であっても、条件によってスプリンクラーが設けられているもの、いないものがあるため、気になる時は事前に設置の有無を確認しておくといいでしょう。






  • 東海住宅開発事業部
  • 未公開物件
  • お客様の声
  • bayfm78
  • 採用情報
  • ブログ
  • 本社建築部ホームページ
  • 仙台建築部ホームページ
  • CM公開中
  • CM公開中
  • CM公開中
  • KENJA GLOBAL(賢者グローバル) 東海住宅株式会社 新部勝子