やっぱり気になる「引っ越しや家作りにまつわる言い伝え」





新学期、新入社、年度初めとなる春は引っ越しの季節です。特に賃貸の場合、進学や就職、転勤などで移動する人の多い3月は、新築・中古にかかわらず、数多の物件情報が出回ります。空室物件数がたくさんあれば選択肢が増え、自分が理想とする家や部屋に巡り合う確率も高くなるわけです。


良い物件に出会ったら、当然「引っ越し」を行います。通常、専門業者に依頼して、引っ越し日を決めるわけですが、それを両親や祖父母らに伝えると「待った」がかかることがあります。


その理由は「日が悪い」から。日本には「引っ越しに適した日」「適さない日」というのが伝えられており、年代が上がれば上がるほど、気にする人が多いそうです。


若い世代は「迷信だ」と思うかもしれませんが、建築・不動産業界では意外と意識されている「暦柱」や「雑歴」について調べてみました。



様ざまなしきたりに縛られていた平安貴族



古代から日本人は、「森羅万象すべてのものに神が宿っている」と考えてきました。また、台風や地震といった自然災害は神の怒り、怨霊の祟りだと信じ、それを鎮めるために祈祷や供養を行っていたのです。その際、用いられていたのが「陰陽道」。これは「陰陽五行説(古代中国で生まれた自然哲学思想)」を元に、天文、暦数、卜筮などを用いて吉凶や禍福を占う方術で、6世紀頃、日本に伝来しました。朝廷は陰陽寮を設け、陰陽師(陰陽道に基づき、卜筮、天文や暦数を司り、また加持祈祷などを行った者。よく知られているのは、平安時代に活躍した安倍晴明)を置き、彼らに吉凶を占わせ、それに対処するための呪術なども命じました。


陰陽師は「暦」、今でいうカレンダーを製作しており、そこには、注意する日、方角なども記されていたといいます。平安貴族たちはこれを信じ、どうしても悪い方角へ出かけなくてはならない時は「方違え(別の方角に行って、そこから改めて出発すること)」を行うなど、災厄を避けるようにしたそうです。


11世紀以降、公的には衰退していきますが、冠婚葬祭、戦、方角の吉凶判断、加持祈祷といった習慣や風習は貴族から武士に伝わり、やがて民衆にも広がっていきます。



今も残る不動産・建築にまつわる「吉凶判断」



不動産・建築にも、昔からの習慣やしきたりが伝わっています。よく知られているのは、陰陽五行説に基づく「家相」、気脈や地勢を観察し、それに陰陽五行や方位を加えた「風水」でしょう。どちらも、たとえば「トイレは鬼門に作らない」「突き当りに家を建てない」など、家の向きや形、位置、構造などで吉凶を判断しますが、風水の場合はベッドの位置や家具の色といったインテリアにいたるまで、様ざまな決まり事が設けられています。


建て方や間取りに加え、家や部屋、住む人の吉凶を左右するのが「歴注
や「選日(雑注)」です。前者は「六曜」「七曜」「十二直」「二十八宿」「九星」「暦注下段」をいい、後者は「暦注」に含まれなかった日をまとめたものをいい、これらは冠婚葬祭をはじめ、起業や移動するといった際にも用いられています。


中でも人口に膾炙しているのは「六曜」でしょう。しきたりにあまり詳しくない人でも、「結婚式は大安。仏滅は避ける」ということは知っていると思います。これは引っ越しの際にも用いられ、次のようにいわれています。


先勝:午前は吉で午後は凶とされる日。引越しをするなら、午前中がよいとされる。
友引:朝晩は吉、昼は凶といわれており、昼間の引越しは避けた方がいいという。
先負:午前は凶、午後は吉ということで、午後からの引越しは避けた方がいい。
仏滅:結婚式や祝い事はもちろん、引越しも避ける。
大安:結婚式はもちろん、引っ越しなど万事が吉とされる日。
赤口:正午のみ吉ということで、引越しは避けたほうがよい。


六曜では、「仏滅」と「赤口」が引っ越しの要注意日となっており、残りは時間によって吉凶が定められています。何事もうまくいく「大安」は引っ越しのみならず、地鎮祭や棟上げ式など、新しい家を建てる際の吉日としても人気。お年寄りの中には、六曜を気にする人も少なくありませんから、家を建てる、契約を結ぶ、引っ越しをする際には、なるべく吉日を選ぶようにするといいでしょう。



大工さんなら絶対に避けたい?「三隣亡」



スピリチュアル・ブームも手伝ってか、近年は「選日(雑注)」を意識する人も多いそうです。そのきっかけは、この日に一粒の米を撒くと、万倍の稲穂となって返ってくるという「一粒万倍日」で、新しいことをスタートするのに最もよい日とされています。それにあやかって、「この日に財布を使い始めると、多くの富を得られる」という人も少なくありません。そのため、地鎮祭や引っ越しにも適しているとされます。ただ、大安など、ほかの暦注の吉日に重なれば効果は倍増しますが、凶日に重なると効果が半減するので注意が必要です。そのほかの主な選日の意味は、次のようになります。


・八専:八専の入り日からの8日間で1年間に6回めぐってくる。もとは軍事上の忌日で、江戸時代は鍼灸の忌日として庶民に広まった。一般的に法事や婚礼には厄日とされている。
・十方暮:暦で、甲申の日から癸巳の日までの10日間。婚姻、遠出、移転、建築は凶とされている。間日以外を凶日とする説、10日間ずっとうまくいかないという二つの説がある。
・天一天上:天一神が天に上っている、癸巳の日から戊申の日までの16日間。この間は、どこへ出かけるにも吉とされ、特に相場師が縁起を担いでこの日を用いたという。
・三伏:「初伏」「中伏」「末伏」の総称。いずれも凶日となっており、一般的には、夏至後の第三庚を初伏、第四の庚を中伏、立秋後初めての庚を末伏とする。旅行、婚姻、事業開始、移転などはすべて忌むべき日とされている。
・不成就日:一ヶ月に4回めぐってくる。文字通り、万事成就しないとして忌む日で、結婚、開店、移転、契約などは避ける。不成日。不浄日とも。


最後の「三隣亡」ですが、この日は建築関係者にとっては「最凶の日」とされています。三隣亡の日に普請始め,柱立て、棟上げなどをすると、三軒隣まで焼き滅ぼすと伝えられ、またこの日に高いところに上ると大工さんが怪我をするともいいます。


ただ、「三隣亡」が民間に広まったのは明治時代以降のことで、江戸時代の書物には「三輪宝」とあり、棟上げや建築に良い日と書かれているそうです。そのため、吉日がいつしか凶日に転じてしまったと思われます。


「歴注」や「選日(雑注)」を信じるか信じないかは、その人の考えによりますが、その一方で、年配者やベテランの大工さんの中には、縁起を担ぐ人も少なくありません。円滑な家作り、部屋選び、引っ越しをするためにも、暦の吉凶を知っておくといいでしょう。









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