空き家を放置しておくと、「ゴミの不法投棄」「犯罪の温床」「思わぬ災害の引き金」になるケースが多く、それが近隣との思わぬトラブルを引き起こすことがあります。空き家によって生じるリスクを回避するためにも、普段からの管理はもちろん、売却、リサイクルなどを視野に入れておくことも必要です。


その中で、空き家を更地にするという方法があります。建物がなくなってしまえば、災害による倒壊が招く事故や火災を回避することは可能です。しかし、どの物件でも簡単に解体できるわけではありません。立地条件によっては「解体が難しい」「解体費用が高額になる」ことも少なくないようです。

日本の住宅街において、解体は基本的に難しい？

空き家の解体は、近隣トラブルなど、様ざまな問題回避に効果があります。ただ、いざ解体しようと相談してみたら、意外と面倒だという声も多いそうです。というのも、周囲に何もなく、人も住んでいない大草原にぽつんと立つ家なら解体は難しくありません。しかし、建物が密集している日本では、解体作業に手間ひまがかかり、それに応じて解体費が高額になりやすいのです。


健康被害の原因となる石綿（アスベスト）が使用されている物件も多額の費用がかかります。木造住宅なら危険度の高いアスベストが使用されているケースは少ないですが、特に古い鉄筋コンクリート造の建物には注意が必要になります。なお、地方自治体の中には、アスベスト除去の補助金制度を設けているところもありますから、問い合わせてみるといいでしょう。


また建物の築年数が浅い場合も、建材がまだ丈夫なために解体に時間と手間がかかり、その分費用がアップします。

立地条件によって解体費用が異なる

解体手間や費用は、建物の立地条件によっても変わります。以下のような条件の場合、費用が高額になりやすいといえます。


・狭い道路に面している。要り組んだ敷地に立っている。道路との間に高低差がある：ショベルカーといった重機、ま
輸送用のトラックが入れないため、人が直接解体し、廃材を運ぶ必要があり、その分人件費が上がってしまう。
・敷地いっぱいに家が建っている：「駐車場スペースもなく、重機が敷地内に搬入できない」「庭があっても、そこまで重機を運べない」ケース。また、道路を使用しての解体作業には、警備員の配置、道路使用許可が必要になるため、さらに費用がかかってしまう。

災害を受けた家屋は費用がかさむ

自然災害や事故などで被災・破損した場合も、通常の解体より費用がかかる傾向があります。


地震や台風ほか、自然災害によって家が壊れた場合
台風や地震といった自然災害によって空き家が破損・倒壊すると、広い範囲に廃材が飛散することも少なくありません。これらの廃材は分別処理を行う必要があるため、解体料金に費用が上乗せされることが考えられます。


火事に遭った空き家の場合


火災で燃え落ちた建物は、解体作業中に倒壊する危険性が高くなります。通常の解体より手間がかかることから、解体費用は高くなる傾向があります。ただ、自治体にもよって異なりますが、火災後の廃棄物を処分する補助金・補助制度、廃棄物処理手数料の減免制度、無償引き取りといった制度があるので、解体の際に問い合わせるといいでしょう。

地下室のある、家財道具が残っている空き家の解体

近年、地下室を設ける家が増えています。ただ、そのような家屋の解体には、基本の解体工事・廃材処分費用に加え、地下室部分の埋め戻し費用も必要になります。そのため、地下室分の解体費用を確保しておく必要があります。


また、家具や家電、布団やキッチン用品など、生活に使用していた荷物が残っている空き家も、解体費用がかさみます。解体を行う前には、残置物（家に残っているもの）を処分する必要があり、それらの処分費用は別途必要になるからです。解体費用を少しでも安くするのであれば、解体会社に依頼せず、空き家の持ち主が自分で片づけることをおすすめします。ただ、個人では廃棄しにくいものもあるため、残置物によっては解体会社を利用したほうがいいでしょう。その場合、複数の解体会社に見積もりを出してもらうようにしてください。


その他、解体に費用がかかることが考えられるケース


◾塀や樹木、駐車場がある：家屋自体に加え、庭に樹木や塀、駐車場があると、別途費用がかかる場合がある
◾工期の短縮：解体工期を短くしようとすると、それに対して費用を請求される
◾警備員が必要：空き家の建っている場所、近隣の様子、大きな道路に面しているなど、様ざまな状況に応じて、警備員の配置が必要なケース。


空き家の状態によって、解体費用は上下します。まず、自分の有する家屋はどういう状況かを調べ、自治体や解体会社に相談するといいでしょう。