冬場は家や部屋にいるときは暖かくても、トイレやお風呂は寒いので、行くのが億劫になるといいます。また、冬場の入浴時などの急激な温度変化により、脳梗塞や心筋梗塞などの疾患につながる「ヒートショック」も心配です。


ただ、家や部屋と比較すると、浴室・洗面所、トイレを温める人は少ないといいます。ヒートショックを予防し、今年の冬を快適に過ごす工夫や方法を考えてみましょう。

浴室・洗面所、トイレは暖房しにくい？

夏場はそれほど気になりませんが、冬場の浴室や洗面所、トイレはぐっと冷え込みます。家や部屋の室温が快適に保たれているだけに、気温差も大きくなりがちです。ただ、浴室・洗面所、トイレを温めようと思っても、家や部屋用の暖房器具をそのまま使うのは難しいかもしれません。というのも、浴室や洗面所、トイレは基本的にスペースが小さく、暖房機を置くと部屋自体が狭くなってしまうからです。


とはいえ、近年は浴室や洗面所、トイレ用の暖房機器（暖房乾燥機器）が登場し、冬場も快適に利用できるようになっています。また床暖房、便座ヒーターなどもあり、生活のニーズに合った暖房機を選ぶことができます。

持ち家なら、新築でも中古でも床暖房。

床暖房は、床の下を電気ヒーターや温水で暖める暖房方法です。家や部屋はもちろん、最近は浴室や洗面所、トイレ専用の機器も増えており、ユニットバス、在来工法の浴室にも設置することができます。


床暖房を用いることで、お風呂に入る時も出る時も、足元からしっかり身体が温まります。なお、メーカーによっては「暖房乾燥機」を床暖房と連動させることで、足元だけでなく、入浴前に浴室全体も温めておくことができるため、身体を洗うときも体温を奪われることなく、冬場も安心して入浴時できるのです。


床暖房は新築での導入がおすすめですが、中古住宅でも取り付けリフォーム可能となっています。特に中古物件の場合、様ざまな条件が生じることも多く、設置する際は複数のメーカーや施工会社に見積もりを出してもらい、ニーズに合った製品・施工方法を選ぶようにしてください。

浴室・洗面所を温めて、快適に使える「暖房乾燥機」

お風呂場や脱衣所、隣接する洗面所全体を温める器具が「浴室暖房機」です。メーカーによって「脱衣室暖房機」「暖房換気乾燥機」など商品名は異なりますが、基本的に予備暖房機能・入浴暖房機能で浴室や脱衣所を暖めてくれる機器になります。また「暖房換気乾燥機」のように、浴室（＋洗面所）内の予備暖房機能に加え、浴室換気機能（使用後の水滴や湿気を排出、カビや臭いの発生防止）、衣類乾燥機能（冬期や梅雨、花粉飛散時期など、洗たく物を外に干せない時、浴室で衣類などの乾燥ができる）、涼風機能（風で浴室を換気し、夏場の暑さ対策にも最適）といった機能を有し、1台で様ざまな用途に用いることもできる機器もあります。


ほかには壁掛け型のヒーターなどもおすすめです。これは暖房機を設置しにくい、脱衣所、洗面所、玄関、トイレに適したコンパクトな壁掛け型暖房機で、床のスペースを取らず、床暖房に比較すると施工も簡単で、費用を抑えることができます。「暖房乾燥機」と同じく、涼風運転ができる機器もあるので、夏の湯上りを快適にしてくれます。

トイレでも起きる「ヒートショック」を防止するには

トイレは家の中でも頻繁に利用する部屋ですが、それに見合った専用暖房機はそれほど多くありません。しかし、急激な温度変化が血圧の急上昇を招き、脳や心臓などに大きなダメージを与える「ヒートショック」はトイレでも発症する危険性が高く、できれば暖房機器を設置したほうがよいといえます。


トイレには先述の壁掛け型ヒーターなどが適していますが、スペースに余裕があるなら、小さなストーブなども置くことができます。また、近年はトイレ自体に室内暖房機能（温風でトイレを温める）の付いている機種もあるため、特に新築住宅の購入を考えているのであれば、このようなトイレを選ぶといいでしょう。また、冬場は便座ヒーターで常に温めておくことをおすすめします。

賃貸の浴室・洗面所、トイレはどうする？

持ち家の人は、新築購入時に浴室・洗面所、トイレ用の暖房機器を設置、中古住宅でもリフォームが可能です。しかし、賃貸に住んでいる人は、勝手なリフォームや機器設置ができないケースも多く、まずは不動産会社や大家への許可が必要になります。


ただ、室内同様、洗面所やトイレにマットやカーペットを敷く、窓があるなら防水仕様の隙間テープを貼ったり、カーテンをつけたりすることで、浴室・洗面所、トイレの室温低下をおさえることは可能です。また、ヒーターのみの「暖房便座」なら価格は手頃で、大がかりな施工も必要ありません。


寒さ本番となる前に、ヒートショック予防を考えた浴室・洗面所、トイレの暖房準備を整えておきたいものです。