怪音・怪現象? 家に起こった不思議な出来事
3ヵ月予報によると、今年の夏は猛暑日が多くなる可能性があるとのこと。
しばらくは、エアコンや扇風機の手放せない日が続きそうです。
また、打ち水をしたり、よしずを立てかけたり、日本ならではの暑気払いをするお宅も多いことでしょう。
若い人なら、肝試しや怪談で暑さを乗り切る人も少なくないとか。確かに有名な怪談師の話を聞くと背筋がゾッとして、夜中トイレに行けなくなることもありますね。
そこで今回は、家にまつわるちょっと涼しくなる(?)お話をしましょう。
新築の家なのに変な音がする……
新築で待望の一軒家を手に入れ、無事に引っ越しも済んだある日、その家の住人は妙なことに気がつきました。
真夜中になると、どこからか「パキッ」「ピシッ」という音がするのです。
最初は「外に猫でもいるのかな」「風で物が飛んで、外壁に当たった音か何かだろう」と気にならなかったのですが、どうやら家の中から聞こえてくるような感じを覚えるようになったといいます。
しんと静まり返った夜中、どこからか聞こえてくる不可解な物音……。
一度、気になり始めてからというもの、家にいると落ち着きません。
さらに子供たちは「これはラップ音だ。心霊現象が起きているんじゃないか」「自分の部屋で寝るのが怖い」と言い出す始末。
建てたばかりのマイホームに起こった思わぬトラブルに、夫婦は頭を抱えてしまいます。
「家から音がする」「ラップ音」で検索すると、「家に何かあるのでは?」「因縁のある土地に住んでいるとか?」「お祓いをした方がいいと思う」など、おどろおどろしい内容が引っかかるばかり。
「こんなことが続くなら、買ったばかりの家だけど手放すしかないか……」そう考えた矢先、怪現象の原因が判明したのです。
夜中の音は、新築の家にありがちな「ある現象」
夜中の「怪音」が続く中、夫婦は施工を担当した工務店を訪ねました。
「バカバカしい」「オカルト映画の見過ぎじゃないですか?」といわれるのは覚悟の上です。
もしかしたら、「新築の家にケチをつけるクレーマー」だと思われるかもしれません。
それでも「原因がわかるのなら……」と話をすると、建築士さんはにこりと笑い「別に心配いりませんよ」のひと言。
「それは家鳴り(鳴屋ともいう)というもので、新築には起こりやすい現象です」と続ける建築士さんに、夫婦はすっかり毒気を抜かれてしまいました。
「新築して間もない家は建材同士がなじんでいないので、木材が収縮や移動してしまい、その時に音を立てることがあります。
ゆっくりと乾燥させた建材は収縮率も低く、あまり音はしないのですが、急激に乾燥させた、また乾燥が十分でない場合は収縮率が大きくなるため、家の鳴る確率が高ってしまうのです。
家鳴りは築年数に比例して、だんだんと少なくなっていきます。ですから心配することはありませんよ」
建築士さんいわく「家鳴りは建築学的な見地から証明されていること」で、夫婦が危惧していた「怪奇現象」ではなかったわけです。
ただ、昔の人は音のする原因がわからないこともあり、これらの現象を怪異や妖怪と結びつけて恐れていました。
まさに「幽霊の正体見たり枯れ尾花」。夫婦は安心して家に帰ったそうです。
なお、家鳴りは木造建築だけでなく、鉄筋、鉄筋コンクリート造の建物でも起こり得ます。
というのも、木材同様、鉄筋は気温によって膨張収縮を繰り返します。
また、コンクリートは水分と砂、砂利をセメントで固めたものですから、水分が含まれており、これが完全に乾燥するまでには時間がかかります。
そのため木造建築と同じように、家鳴りが発生することがあるのです。
鉄筋、鉄筋コンクリート造はアパートやマンションといった集合住宅に多く採用され、単身者の利用も少なくありません。
深夜一人で帰宅した際、寝ている時などに「パキッ」という音がすれば驚く人もいるかと思います。
「かなり大きな音がする」など、よほどひどい場合は別ですが、家鳴りがしても闇雲に怖がらないほうがいいでしょう。
天井裏から聞こえる物音の正体は?
ある一軒家に住む老夫婦は、ある日、天井からの物音に気がつきました。
近所で猫を飼っていたので、最初は「ご近所の猫がベランダか屋根をうろついているのだろう」と思っていたそうです。
しかし、その物音は屋根裏から聞こえるようになり、バタバタと大きな音がするようになります。
「これは猫じゃない」「もしかしたら人間が入り込んでいる?」と心配していた矢先、老夫婦はタヌキやイタチに似た動物が、家の周りをうろうろしているのに気づきました。
物音の正体はハクビシン。彼らは家のわずかな隙間から入り込み、天井裏に住み着いていたのです。
近年は野生動物が家に巣を作るケースが増えており、ハクビシンのみならずアライグマ、ネズミ、イタチといった動物による被害が多数報告されています。
このような動物は、人間や家、ペットなどに悪影響を与えます。
ただ、一般人が自然動物を捕獲することは法律で禁じられています(ネズミは捕獲・駆除可能)。
もし、野生動物が住み着いてしまったら、都道府県や害獣駆除業者などの専門家に相談することをおすすめします。
また、築年数の長い家には傷みが生じていることも多く、そこから動物が入り込むため、公務店やリフォーム会社に定期的な検査やメンテナンスをお願いするようにするといいでしょう。