2017年もあとわずか。年末年始の休暇に、帰郷、旅行を計画している人も少なくないことでしょう。その反面、長期で家を空ける人たちを狙った窃盗犯が増えるのも、この時期。特に、わずかの時間で貴重品を盗んでいく空き巣には注意が必要です。今回は、年末年始に増加する窃盗に遭わないよう、防犯について調べてみました。

秋から始まっている「空き巣の活動」

防犯強化する時期といえば年末年始を思い浮かべますが、実のところ、窃盗犯は秋ごろから活動を始めています。気候の良い９～10月は、いわゆる旅行シーズンの最盛期。また、運動会や文化祭など、子供の学校行事で家を空けることも多くなります。「長期不在ならまだしも、一泊程度の旅行、日帰り旅行や行事を狙うなんて……」と考えがちですが、空き巣が家屋に侵入する時間はわずか数分、物色にかかる時間も５分以内、５～15分以内がほとんど。「ちょっと買い物に行っている間に空き巣に入られた」、中には「自宅に人が居たのに、空き巣に入られたことに気がつかなかった」という被害者も多いのです。

警視庁発表の侵入窃盗データによると、侵入窃盗は平成８年から平成14年にかけて増加し、平成14年には約285万件に達しています。ただ、平成15年からは減少しており、平成28年のデータは99万6120件。これは戦後最少の数字で、住宅侵入窃盗も減っているとはいえ、約４万件も起きています。未だに一日当たり100件を超える侵入窃盗が発生しているため、防犯意識は欠かせないといえるでしょう。なお、侵入窃盗の手口別認知件数をみると、空き巣が約1／3を占めています。

空き巣に狙われやすい状況

立地や建て方などによって、どうしても空き巣に狙われやすいタイプの物件はあります。また、普段の生活にも注意が必要です。

（空き巣の被害に遇いやすい例）

●勝手口など、通りから見えにくい窓や出入口がある
●ご近所にいく場合、すぐ戻るからと施錠を怠ってしまう
●物置や梯子など、ベランダや窓の近くに足場になるような物がある
●庭が広い
●建物のそばに大きな樹木を植えている
●周囲に街灯がないなど、夜になるとかなり暗い
●周囲に家が少ない
●ご近所との交流があまりない
●コンビニエンスストアや公園の正面にある
●外壁リフォーム中の建物

空き巣はもしものこと（発見、通報など）を考え、あらかじめ逃亡経路を用意している傾向があります。表から見えにくい出入口から、庭のある家だと樹木の影に隠れるなどしながら逃げてしまうわけです。また建物のそばに、物置や大きな樹木があると、二階からの侵入が可能になります。夕飯の買い物など、ちょっと出かける際、面倒だからと二階の窓に施錠しない人もいるようですが、様ざまなケースを考え、戸締まりは忘れないようにしましょう。

立地的には、新興住宅地といった家の少ない場所は、逃げ場所が多いので要注意といえます。周囲が暗い、街灯が少ないところも身を隠しやすいので、空き巣が好む条件です。また空き巣の多く物件の下見をしています。コンビニエンスストア、公園は人の集まる場所ですから、客などを装って下見をしている可能性があります。ほかには外壁リフォーム中の集合住宅も、足場を利用して空き巣が侵入しやすい状況にあるといえます。

なお、一人暮らしの人は、ご近所付き合いが稀薄になりやすく、「近くで空き巣があった」「不審な人が徘徊していた」といった情報も入りにくいようです。防犯のためにも、面倒がらずに多少のお付き合いはしておく方がいいでしょう。

日頃から防犯意識を高めておく

「空き巣に狙われやすい家、入りやすいエリア」に当てはまらないからといっても油断は禁物です。言ってしまえば、あちらは一般人の知らないノウハウを持っている窃盗のプロ。狙った物件を執拗に調査し、侵入のチャンスをうかがっています。空き巣を未然に防ぐためには、日頃から防犯意識を持っておくようにしてください。

防犯対策には、様ざまな方法があります。その中でも、徹底したいのが「戸締り」です。というのも先述した通り、空き巣が家や部屋に侵入してから室内を物色し、逃走までにかかる時間は約15～30分。住人が近所のコンビニやスーパーマーケットで買い物をしている間に、すべて終わらせてしまうことができるわけです。「ちょっとそこまでだから」と、窓はおろか、玄関も開けっぱなしで出かけるのは、「空き巣に入ってください」と、言っているようなもの。たとえ家を空ける時間が短くても、窓や出入口の施錠は怠らないようにしましょう。

また、近年は少なくなりましたが、屋外に犬のいる家は、空き巣も敬遠するようです。もしペットを飼う予定があるなら、空き巣防止に効果があることを覚えておいてください。