地球に地域に、そして人間に。それぞれの環境に優しい「サステナブル住宅」
(注目のキーワード「サスティナブル」で変わる住まいとライフスタイル その2)







無観客開催となった、今回のオリンピック。コロナの流行さえなければと思うと残念ですが、世界的アスリートの方々の活躍はテレビで観戦できます。世界記録が出るのか、どんなドラマが待っているのか、楽しみにしたいと思います。



前回は、近年、「地球や地域環境に優しい経済活動」を表わす言葉として注目されている「サスティナブル」と、その取り組みについてを紹介しました。「ファッション」「食品」「化粧品」「家庭用品」ほか、あらゆるカテゴリーで活用されている「サスティナブル」ですが、建築やインテリアの世界でも、先進的な技術を用いた「サスティナブル建築」、今ある建物を長く大切に利用するための「リフォーム」や「リノベーション」が推奨されています。



現在、世界が抱える環境汚染やエネルギー問題などを考えると、これからの住宅をはじめとする建築物は、地球と人間が末永く共存していけるものが基調になるといえます。
ということで、今回は「サスティナブル」を意識した住まい(インテリアを含む)作りについて調べてみました。



基本的な「サスティナブル住宅」の定義



「サスティナブル」の意味や意義は分かるけれど、住まい作りに生かすとなると、あれこれとお金もかかりそうだし、実行するのは難しそう」と考えている人は多いと思います。このところ増えている「サスティナブル住宅」も、建築・施工にかかる費用だけを見ると、確かに通常より高めであることは否めません。その理由として、「サスティナブル住宅」は「地球温暖化や環境汚染などを抑制し、長く快適に住むことのできる家」を目指しており、次のようなポイントが重視されているからです。



「サスティナブル住宅」の主なポイント



◇住宅性能の向上により、建築物の寿命を延ばし、住みやすさを実現
・木造建築の場合、適材適所で頑丈な骨組みが組まれ、耐力壁なども採用し、安全性が確保できること
・「スケルトン・インフィル(構造駆体と内装の間取りや内装・設備を分離して設計する手法)」の採用などで、後から間取りを変え、リフォームやリノベーションを行い、長く住み続けられるようにする
・シンプルで可変性のある間取りにすること
・外壁や屋根の断熱に加え、断熱ドアや複層ガラス、断熱サッシなどの建材を用いる。また、太陽光発電、給湯・床暖房に太陽熱を利用した「創エネ」システムの導入

◇自然の力を用いた省エネ生活
・たとえば、家の南に落葉樹を植えることにより、夏は日差しを遮り涼しく、葉の落ちた冬は部屋に採光することができる。また、家の北側は常緑樹を植えることで、冬は北風の侵入を防ぐなど、自然エネルギーの活用で、冷暖房(電気やガス)の多用を抑えることが、光熱費の削減にもつながる
・外壁などを緑化し、緑のカーテンでヒートアイランド対策を行う
・光や風力で生活に必要なエネルギーを補完し、自然環境の保全につとめる

◇自然(天然)素材の使用
・木材を使うことで、低炭素化(地球温暖化に対し、二酸化炭素の排出を抑えること)社会を実現する
・住宅を長く使うためには木材などの自然素材が最適。また無添加のものを利用することで、住人の安心・安全性が高まる。
・たとえば寺社仏閣のように、自然素材を用いた木造建築は、時間が経つほどに味わいや深みが増す。それらを楽しむことで、長く豊かな暮らしができる

◇地産地消~地元の木材を利用する
・地元の国産材を消費することにより、地域の産業、経済の活性化を促す
・地域の気候や風土、習慣などに応じた家作り、さらには街作りができる
・その地域ならではの文化や伝統を継承することにつながる
・木材の地産地消(国産材を含む)は、木材価格の安定、流通改善、森林荒廃の抑制などにつながり、それらは日本の林業を支え、環境保護にも好影響を与える

このようにサスティナブル住宅は、長い目で見れば、決して「高価」な買い物ではありません。多少費用がかかったとしても、環境に優しく、長く安全・安心に暮らせる価値を有する家だといえるでしょう。




サスティナブルにつながる住宅の新基準「ZEH」




サスティナブル以前から、太陽光発電などの「省エネ」機能を有する住宅は存在していましたが、ここ数年、さらに厳しい基準を設けた「ZEH(ゼッチ)住宅」が注目されつつあります。「ZEH」とは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「購入エネルギー(電気やガスなど)と太陽光発電などで創られたエネルギーの収支をゼロとすることを目指す家」という意味。つまり、断熱性能を高め、太陽光発電、高効率設備システム(省エネ設備)などを導入することで創ったエネルギーが、1年間で消費するエネルギーよりも多くなる、または同等となるような住宅だと定義されています。

ZEH採用の家には、次のようなメリットがあります。

・優秀な断熱材や高効率設備の使用により、光熱費の負担を抑えることが可能
・太陽光発電等で売電した場合は収入を得られる
・台風や地震といった、災害による停電などの非常時において、太陽光発電や蓄電池を利用することができる
・室温を一定に保ちやすい高断熱機能により、夏は涼しく、冬は暖かい

サスティナブル住宅と同じく、ZEHは一般的な住宅と比較すると割高になります。ただ、上記のような利点があり、また、国や自治体の補助金制度が設けられ、初期費用の負担を減らすことが可能です。戸建を新築、新築戸建て建売の購入、自己所有戸建住宅の改修を考えているのであれば、「ZEH」を検討するのもおすすめといえます。