注目のキーワード「サスティナブル」で変わる住まいとライフスタイル その1







最近「サスティナブル(サステナブル・サステナビリティとも)」という言葉を、耳や目にする機会が多くなっています。たとえば、若い世代の間では「サスティナブルファッション」が注目されているそうです。



サスティナブルとは、もともと「持続可能」を意味する英語ですが、現在は「地球環境を保全しながら、維持・持続できる産業や開発」といった取り組みを表わす言葉として知られています。また、「エシカル」「SDGs」にも通じ、社会や経済も含め、環境に配慮する対策を考える行動ともいえるでしょう。



これをファッションにあてはめると、近年提唱されている、「物を大切に使う」「ごみを減らす」「繰り返し使う」ことを目的とした「3R(スリーアール)(「リデュース(Reduce)」「リユース(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」に適合、また天然素材の利用、製品に見合った対価を払う「フェアトレード」を守っている衣料品となります。

「サスティナブル」はファッションだけでなく、「フード」「コスメ」「家庭用品」など様ざまな業界や業種で取り入れられており、インテリアや建築の世界でも話題を呼んでいます。そこで今回は、サスティナブルにかんする情報を調べてみました。



地球を蝕む環境汚染に対する様ざまな活動



近年、世界的に「地球温暖化」をはじめ、「海洋(水質)汚染」「大気汚染」「森林破壊」などによる「環境汚染」が深刻な問題になっています。それらを解決するため、世界単位、あるいは各国で、様ざまな取り組みが行われているのは周知の通りです。環境問題への対策は決して大がかりなことばかりではありません。たとえば、クーラーの使い過ぎでなどで生じる「ヒートアイランド現象(アスファルトやコンクリートが貯め込んだ熱、自動車や建物などから出される排熱により、気温が上昇すること)」に対して、「グリーンカーテン(緑のカーテンとも。窓際につる性植物をはわせ、日光を遮ることで室温の上昇を抑える)」「打ち水(道や庭に水をまくことで、土埃を防いだり、夏季は涼を得る方法)」といった、昔ながらの方法も積極的に行われています。



また、プラスチックごみの廃棄による、海洋汚染や水質汚染も見逃せません。というのも、プラスチックごみの90%はリサイクルされておらず、そのまま海に投棄されているからです。その量は毎年800万t以上とのこと。さらに一部のプラスチックは、波や風による摩耗や風化、紫外線によって「マイクロプラスチック(5mm未満のプラスチック粒子)」と呼ばれる破片に変化。これには有害物質が付着しやすく、魚など海の生物がえさと間違えて食べてしまい命を落とすほか、生態系への影響が懸念されているのです。そのため、飲食店でのストロー利用中止、ゴミ袋有料化に伴うエコバッグ携帯の推奨など、あらゆるところでプラスチック使用の減量が呼びかけられています。




「サスティナブル」「エシカル」「SDGs」はどこが違う?



このような状況を含め、多様な環境問題に対する取り組みのひとつが「サスティナブル」だといえます。ただ、同じような対策として、「エシカル」や「SDGs」なども目にすることが多いため、その違いがわかにくいとの声も少なくありません。

「サスティナブル」「エシカル」「SDGs」は、どのような違いがあるのでしょうか。一般的には、次のように定義されているようです。



・SDGs(エス・ディー・ジーズ)



SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月、国連サミットで採択されました。2016年から2030年の間に、連加盟193か国が達成するために掲げられ、様ざまな17の目標で構成されています。環境問題はもちろんですが、世界中の人々が抱えている課題を解決することで、より良い世界を目指すというものです。



・エシカル



エシカル・ethicalとは英語で、「倫理的な」という意味を持つ言葉です。主に消費行動と結びつけて使われることが多く、「人や社会、環境などに配慮した、優しく良心的なもの」を購入、利用する生活スタイルを意味しています。何かを購入する時、「リーズナブル」「自分にどれだけ得できるか」といった個人のメリット以前に、他者や自然環境などを考えようとする行動ともいえるでしょう。



・サスティナブル



冒頭でも説明しましたが、環境に負荷をかけない事業や開発により、自然保護、平等な社会生活を維持していこうとする考え方や取り組みを指します。



このように比較すると、SDGsは幅広い問題を解決していくものであり、エシカルはより良い消費を目的とするものづくりやライフスタイルに重点を置いています。サスティナブルとエシカルは近い部分もありますが、現在の暮らしや経済活動はもちろん、自然保護に至るまで、維持・継続しながら地球環境を守っていくという面も持つのがサスティナブルだといえるでしょう。このことを踏まえ、次回はサスティナブルが、どのような形でインテリアや建築物に採り入れられているかを見ていきたいと思います。