「好き」が暮らしに直結する「コンセプト型物件(賃貸)」






「家」といえば、玄関にはじまり、キッチン、洗面所、トイレ、お風呂場、部屋といった間取りが基本です。賃貸物件の中には、「お風呂がない」「トイレとお風呂が一体化している(ユニットバス)」ものもありますが、生活に大きな支障をきたすことはないでしょう。


しかし、近年は人々の暮らしも変化し、個々のライフスタイルも多種多様。戸建ての間取りやデザイン、賃貸の仕様やルールも様変わりしています。たとえば、水まわり設備(主に、キッチン、お風呂、トイレなど)やリビングは1階、寝室や子供部屋が2階という設計が主だった戸建てに逆のケースが現れ、また、かつては賃貸の多くが「ペット禁止」でしたが、昨今は「ペット可」の物件も珍しくありません。


さらに近年はコロナ禍の影響も手伝って、家で過ごす時間が増え、趣味に力を入れる人も増えています。そのため、楽器を弾くための防音室やトレーニングジムを備えた建物が登場、リフォームなども行われ、家の在り方はまさに千差万別だといえます。


このような背景から、注目されているのが「コンセプト型物件(賃貸)」です。一般的な持ち家・賃貸物件とは一線を画し、個々の生活サイクルや趣味嗜好を付加価値として取り入れた住宅のこと。そこで今回は、住む人のこだわりに応える「コンセプト型物件(賃貸)」について調べてみました。





「コンセプト型物件(賃貸)」の基本と具体例




「コンセプト型物件(賃貸)」は、先述の通り、住む人の生活を豊かにする、趣味や嗜好を楽しむための施設や設備を整えた物件です。「コンセプト(concept)」とは、概念・発想・構想など意味する言葉。主に各種ビジネスの現場で、立案やコンテンツを作る際の基準的な理念、企画の骨組みを指し、どのような方向性で進めていくのかを明確にするために必要な考え方をいいます。これを建築に置き換えると、あるコンセプトのもとに設計・建築された住宅ということになります。


「コンセプト型物件(賃貸)」には様ざまな種類がありますが、代表的なものとして「趣味・嗜好をコンセプトにした物件」「生活スタイルをコンセプトにした物件」「デザインをコンセプトにした物件」のように分けられます。主な具体例は下記の通りです。


趣味・嗜好をコンセプトにした物件




特定の趣味や嗜好をコンセプトに、部屋の一部や共用部分を特別な仕様にしたり、テーマに対応した機器や設備を備えるタイプの住居。。



▽主な具体例

・バイク好き・車好き向け:部屋の一部をガレージにすることで、室内から愛車が眺められる。ガレージハウス(駐車スペースが組み込まれた家)とも。
・音楽・映画好き向け:好きな音楽や映画を大音量で楽しむための設備(可動式スクリーンやオーディオ機器)を有する、またこれらの機器がレイアウトしやすい部屋(シアタールーム)がある。
・トレーニング愛好家向け:ランニングマシーンやエアロバイクをはじめとするマシン、スタジオを設置したトレーニングジムを併設した物件。



◇生活スタイルをコンセプトにした物件

仕事を含む、自分のライフスタイルを快適にする、また暮らしを豊かにする住宅。そのための設備が、部屋や共用部分に設けられている。



▽具体例

・ペットと共に暮らす:「ペット可」ではなく、ペットと飼い主が、共に快適に生活できるように設計された物件。キャットタワーやドッグラン、足洗い場など、ペット専用設備が備えられている。「ペット共生型アパート・マンション」ともいう。
・ゲームやITに特化した物件:PCゲームや音楽・動画配信を快適に行うための環境(ゲーミングPCや周辺機器などを設置)が整っている物件。「ゲーミング賃貸物件」「ゲーミングルーム」とも。プロのeスポーツプレイヤー、ITクリエイターが中心だが、趣味としても利用可。




◇デザインをコンセプトにした物件

外観をはじめ、内装や間取りを様ざまなテーマ、デザインで統一した物件。また、建材や素材にこだわったタイプもある。



▽具体例

・デザイナーズマンション:主に建築家や建築デザイナーが設計を担当した賃貸建物。外観・内装、家具調度品、キッチンやトイレなどの設備にこだわり、中には有名ブランドとの提携もあり、一般的な賃貸物件より個性的でスタイリッシュな空間を演出するタイプとなっている。
・外国風の物件:「北欧風」や「西海岸風」など、海外の建築仕様や内装を採り入れた物件。アパートやマンションだけでなく、戸建て住宅(持ち家・賃貸問わず)にも採用されている。また「カフェ風」「ライブハウス風」など、人気施設を模したデザインで統一するタイプもある。





「コンセプト型物件(賃貸)」でコミュニケーションが広がる




「コンセプト型物件(賃貸)」は、住む人が趣味や仕事、日々の暮らしを存分に楽しめる理想の物件だといえます。さらに同じ嗜好やライフスタイルを持つ入居者が集まりやすくなりますから、交流会やイベントなどが行われることもあるそうです。そのような催しをきっかけに、コミュニケーションが広がることがあるかもしれません。

紹介した「コンセプト型物件(賃貸)」は一部で、まだまだたくさんのタイプがあり、これからも多様化すると考えられています。物件を選ぶ場合、立地や環境、賃貸なら家賃などの検討はもちろん大切ですが、自分の「好き」を一番に探してみてはいかがでしょう。