「住みたい物件」や「住みよい街」は再開発エリアで先取り? その3






日本の各地で進行している「再開発計画」。前回は、再開発エリアに住むメリットを調べてみました。


特に大きな長所は、生活利便性を優先した街作りにより、住民の暮らしに役立つ各種施設が充実すること。また、「セキュリティーが確保される」「再開発地域がブランド化して、資産価値が上がる可能性が高い」という点も、再開発エリアを「住みたい・住みやすい街ランキング」の上位に押し上げています。

ただ、再開発エリアにもデメリットは存在します。そこで今回は、再開発地域の短所、家探しを行う際の注意点などを中心に紹介します。




再開発地域はメリットばかりではない?




近年、首都・東京をはじめ、大阪府、福岡県など、日本各地で再開発が行われています。超高層ビル建設や万博誘致(「2025年・万国博覧会」:大阪府)ほか、都市中心部の大規模計画に注目が集まっていますが、駅周辺、市町村主体といった小中規模の再開発も少なくありません。これに伴い、該当地域には新築の戸建てやマンション、アパートが建てられており、また、リフォーム物件も増えているようです。


再開発では、「生活利便性」「安全性」の充実に力を入れていることから、このエリアの物件は、購入・賃貸にかかわらず人気を呼んでいます。「新しく清潔」「明るい」「住みやすい」というイメージが優先しがちですが、様ざまな地域から多くの人が集まり、今までの街の景観や雰囲気が大きく変わるため、問題が生じるケースも考えられます。

再開発エリアでは、どのようなデメリットがあるのでしょうか。主な事例を調べてみました。


再開発地域での生活に起こり得るトラブルやデメリットとは




再開発地区の住民には、大きく分けて「他の地域から引っ越して住む人」「開発以前から住んでおり、そのまま暮らし続ける人」がいます。ここでは、引っ越し先に再開発地を入れている人を対象に問題点を考えていきます。



◇購入費や家賃、維持費が高い

大規模再開発エリアおいて、建設される共同住宅(マンションやアパート)や建物は高価(賃貸は家賃が高い)になる傾向があります。特に都市部のマンションだと、土地有効活用のために「タワーマンション(以後:タワマン)」が建てられています。再開発エリアの新築タワマンは、「コンシェルジュ常駐」「豪華な共用施設」「トランクルーム付き」など、豊富なサービスが魅力ですが、その分、管理費や修繕積立金といった維持費も高くなります。


◇街の雰囲気が大きく変わる

家探しをする時、街の雰囲気や周囲の環境はとても気になるポイントです。たとえば、「昔ながらの商店街が残る、アットホームな感じの街」だと思っていた地域が、再開発で大きく変わってしまうケースがあります。いざ、現地へ行ってみたら、ビルが立ち並び、以前の面影はまったくなかったということも多いようです。希望するエリアに再開発計画がある場合、街がどの程度変わるか、周辺施設は移転するのかなどを確認しておくといいでしょう。



◇街の環境が変化することがある

再開発を行うと、計画によっては新しく商業施設や飲食店が建てられます。大型の人気スーパー、映画やスポーツといった娯楽施設を含むショッピングビルが出来れば、住民が利用するだけでなく、近隣から足を運ぶ人も増えます。街が賑やかになることは、地域全体の活性化に繋がりますが、その反面、夜遅くまで周辺が騒がしくなる可能性も否定できません。



◇交通機関(駅や電車、バス)が混み合う

再開発でタワマンや大規模なマンションが建つと、地域の人口が増加します。そのため、最寄り駅やバス停に住民が殺到、電車やバスの混雑が激しくなることがあります。また、高層階に住んでいる人は、通勤通学の際、エレベーターが混み合い、駅に着くまで時間がかかるケースもあるようです。



◇通信機器に不具合が出る

再開発エリアには多くの住民が流入してくるので、どうしても人が密集します。そのため、携帯電話やインタ-ネット、Wi-Fiなどの通信が繋がりにくいことがあります。特にマンションの高層階では、携帯電話が通じないという住民も少なくないようです。





◇建設計画が遅れている

再開発計画が終了していれば問題ありませんが、計画が遅れていると不便を感じることがあります。たとえば、「新駅がなかなか完成しないので、通勤通学が不便」「病院や学校、商業施設といった暮らしに必要な施設の建設が遅延している」ような場合、再開発地域に住むメリットが感じられなくなります。自分が住みたいエリアが計画途上であるなら、進捗状況を確認しておくのがおすすめです。



デメリットを知ることで、物件探しのポイントが見えてくる




再開発エリアは、「便利」で「きれい」で「住みやすい」反面、デメリットも少なからずあります。再開発地区の物件を希望するのであれば、自分が生活する上で、デメリットがどの程度影響するかを考えて探すといいでしょう。