防災・減災も踏まえた「再開発エリア」のメリット〜「住みたい物件」や「住みよい街」は再開発エリアで先取り? その2






2021年の「東京オリンピック・パラリンピック」(東京都)、2025年に開催される「日本国際博覧会(大阪・関西万博)」(大阪府)など、様ざまな契機や理由に伴い、日本各地では多くの「再開発」が行われています。前回は、これらを紹介するとともに、再開発の主な種類や施行者について説明しました。



再開発が行われている(行われた)エリアは、地域の課題や希望に即していることに加え、周辺(エリア内)にスーパーや専門店といった商業施設、クリニック、図書館、学校や公園やグラウンドなどの各種施設が集積、さらに最寄りの駅やバス停が近いなど、生活利便性が高いため、「住みたい街」「住みやすい(暮らしやすい)街ランキング」の上位に推されるなど、人気を集めることが少なくありません。

そのため、家を探している(購入・賃貸不問)、これから探そうと思っているのであれば、再開発地域はとても魅力的であるといえます。そこで再開発地域のメリット、そこに住む利点を中心に、最適な候補地を見つけるポイントを考えていきましょう。




大規模イベント開催だけではない。各地で再開発計画が進む理由




再開発の契機となるのは、「オリンピック」「万博」といったイベント開催はのみならず、他にも様ざまな理由で行われています。そのひとつが、建物の耐用年数(建て替え想定年数)を迎えた物件が増えていることです。鉄筋コンクリート造をはじめとする、ビルディングの耐用年数は約40〜50年。1980年半ば、いわゆるバブル期には、数多くのオフィスビル、大型商業施設が建設されましたが、老朽化したこれらの物件(それ以前に建設された建物も含む)に建て替え時期が来ているのです。


また、2011年(平成23年)に発生した「東日本大震災」、2016年(平成28年)の「熊本地震」において、たくさんの建物が倒壊、全壊し、建物の耐震基準が見直されたことも再開発に拍車をかけています。特に1981年以前に建設された、旧耐震基準のビルは老朽化が進んでいると考えられます。日本は古くからの地震大国です。何時なんどき、大きな揺れが来るかはわかりません。さらに台風や集中豪雨なども少なくなく、災害時における安全性の面からも、旧耐震基準の物件を早急に建て替える必要があるといえるでしょう。

再開発は、複数の事業をまとめた「市街地開発事業(都市計画法第12条)」のひとつ、「市街地再開発事業」に基づいて施行されます。すでにある市街地のリニューアルが目的で、都市機能の低下が見られる地域において、細分化された土地の統合、建築物(木造・老朽化など)の撤去と不燃化共同建築物への建て替え、公園、緑地、街路といった公共施設の整備を行い、都市機能や住環境を改善します。また先述のように、防災機能の強化も含まれているのです。


再開発地域に住むことで、期待できるメリット




再開発地域は、「住みたいエリアランキング」で上位に推されることも少なくありません。それは再開発によって作られた、生活利便性の高い街だからです。再開発エリアの主なメリットには、次のようなものがあります。



・交通機関や施設の充実など、街としての生活利便性が向上

住居(戸建て、マンションなど)や商業施設だけではなく、オフィス、学校・保育施設、病院などが建てられ、さらに商業施設内の映画館やスポーツジムが利用できることもあるため、住まいの周辺(エリア内)だけで生活が成り立つ。また、新しい駅ができたり、既存駅の列車種別(特急・快速ほか)が増えたり、同様に新規のバス停(再開発エリア最寄りなど)が設けられるほか、交通インフラが整備され、通勤・通学しやすくなるケースも少なくない。


・緑地や公園などにより、街並みが美しく整う

再開発地は、エリア全体をコンセプトにより統一し、住居を中心に緑地や公園を計画的に作るケースが多い。これにより生まれた美しい景観や憩いの場が生活に潤いを与える



・住居の機能性が充実。暮らしの安全性も高める

再開発地域の新築住居は、ラウンジやゲストルーム、キッズルーム、中庭といった共用施設が充実。さらにコンシェルジュサービス、24時間の常駐警備を設けている物件もある。また、自然災害など供えて、施工の段階から防災や減災を考慮し、耐震性・耐火性を高めるなどの安全性向上に加え、避難者の一時待機場所、被災時の生活維持に必要な設備・施設を設けたマンションも作られている



・再開発エリアがブランド化。地価が上昇、資産価値も上がる可能性も

再開発によって居住者や利用者が増加し、「快適で住みやすい」といったエリア人気が高まると、「ブランド」としての価値が生じる。これが地価の上昇につながれば、将来的に資産価値の向上も見込める。



まとめ




このように再開発が行われたエリアは住みやすく、快適な空間へと生まれ変わる傾向が高くなります。



ただし、「一部の施設、開通予定の交通機関が間に合わず、不便を生じる」などの障害もあるようです。



そこで次回は、再開発地域のデメリットなどを見ていきたいと思います。