「これはおかしい?」引越しトラブル回避のために知っておきたい具体例と対処法






「引越し料金(基準運賃(基本運賃)・実費・附帯サービス)」やサービス内容は、事業者それぞれ異なるため、その中から予算や用途に合ったものを選択することになります。ただ、どこを選んだとしても、多くの場合、「標準引越運送約款」に則って引越し業務が行われています。

標準引越運送約款とは、さまざまなケースで起こり得る引越しトラブルを未然に防ぐため、国土交通省が定めたルールです。しかし、このような取り決めがあるにもかかわらず、独立行政法人国民生活センターなどには、引越しサービスに関する苦情が数多く寄せられています。
当たり前のことですが、何ごともなく引越しを終え、新しい生活を始めたいものです。


そこで今回は、引越しトラブルがどの程度起きているか、また実際にあった事例、さらにトラブルに巻き込まれたときの対処法などを紹介していきたいと思います。




引越しでは、どのようなトラブルが起きている?




引越しでは、さまざまなトラブルが生じており、主に下記のような事例が多いようです。



・荷物の傷や破損

・作業内容やスタッフへの不満

・日程や時間に対するトラブル

・料金や規約にかんする各種問題



「独立行政法人国民生活センター」の相談事例、「各種相談の件数や傾向」を見ると、引越サービスに関するPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム。消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行うシステム)に登録された相談件数は、2019年が2171件、2020年は1948件、2021年には1866件寄せられており、「荷物を破損・紛失された」「料金に納得できない」といった内容が多くなっています。なお、国民生活センターとは、消費生活センターなどを支援し、相談、あっせん、ADR、研修、商品テストなどを行う、消費者庁が所管する独立行政法人です。



◇PIO-NETに登録された実際の事例


・引越し作業で、たんすや戸棚などの家具に傷をつけられた。修繕してもらいたい。

・搬入の際、家電や家具についた泥で室内が汚れ、家電自体にも泥が入り込んでいた。清掃や清掃費を請求したが事業者は応じない。

・初めの見積りより、後から届いた明細書の金額が高くなっている。見落としていた部分を上乗せしたと言われたが納得できない。


参考:PIO-NETに登録された「引越サービス」相談件数の推移



また、各地の消費生活センターにも次のような相談が見られます。


・引越し後、タンスの建て付けがおかしいのに気付いた。ドア部分にも傷があり、事業者に連絡。「確認する」といいながら、なかなかこちらへ来なかった。ようやく担当者が顔を出し、状況を見たあと「明日連絡する」といったものの、いまだに連絡なし。

・引越し事業者に見積りを依頼した際、手付金を請求され、請求額を支払った。後日解約をしたが、手付金が返金されない。


引越しトラブルを直面した利用者の生の声は、国民生活センターや各都道府県・市町村消費生活センターのホームページなどで聞くことができます。引越しを考えているなら、目を通しておくといいでしょう。


引越しトラブルに遭遇したら、すぐに問い合わせを




引越しに際し、事例や口コミなどと同じような違和感、トラブルに気付いたら、まず事業者に連絡しましょう。たとえば荷物の紛失などの場合、標準引越運送約款では、引渡し日から3カ月以内に申し出なければ、事業者の責任は消滅しますので、迅速な問い合わせが必要です。



その際、「連絡してもつながらない」「苦情を言ってもまともに取り合ってもらえない」など、相手の対応に納得できなければ、都道府県等の「消費生活センター」に相談するのがおすすめです。消費生活センターとは、商品の購入、サービス利用などで生じる契約トラブル(販売方法・契約・品質・価格ほか)に対する苦情や問い合わせに対応する機関で、誰でも(事業者は除く)無料で相談することができます。



センターでは、専門知識と豊富な経験を持つ相談員が内容を詳しく聞き、事業者と交渉し、トラブルを解決するためのアドバイス、情報提供などを行います。また、相談者と事業者の交渉力に大きな差があると判断すれば、相談員が間に立ち調整役を務め、専門家のサポートが必要な時は適切な機関を紹介してくれます。



消費生活センターの利用法ですが、「独立行政法人国民生活センター」のサイトには、全国の「消費者生活センターページ」から、該当する都道府県・市町村を選ぶと、相談窓口の電話番号や受付時間を知ることができます。



また、「消費者ホットライン(通話料有料)」も設けられており、こちらに電話をかけ、必要事項を伝えれば、地方公共団体が設置している消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。土日祝日は、消費生活センターが開設していないため、「国民生活センターの休日相談窓口」に繋がります。ここは即日回答が原則ですが、内容によっては、継続して平日の相談対応、地元の消費生活センターの紹介なども行なっています。



なお、消費者ホットラインに電話してもなかなかつながらない場合は、国民生活センターの「平日バックアップ相談」、各地の消費生活センターの相談窓口が昼休み中の時間を中心に、「国民生活センターお昼の消費生活相談」も受け付けています。



引越しトラブルは、時間が経てば経つほど解決しにくくなります。一人で悩むことなく、早めに消費生活センターなどに連絡するようにしましょう。



◇引越しトラブルの連絡先

・消費者ホットライン

電話番号:188



・平日バックアップ相談(国民生活センター)

相談受付時間/平日:10時~12時 13時~16時

電話番号:03-3446-1623



・国民生活センターお昼の消費生活相談

相談受付時間/平日:11時~13時(年末年始、土曜日曜祝日を除く)

電話番号:03-3446-0999



・国民生活センターの休日相談窓口(休日の消費生活センター補完窓口)

相談受付時間/10時~12時、13時~16時(土日祝日、年末年始を除く)。