マイホームの買い替えの特例について、税金のメリットはいつまで延長?
不動産を買い替える場合には、いつまでに売却するのがよいのでしょうか?
マイホームを買い替える際には「特定居住用財産の買い替え特例」を使って譲渡益にかかる税金を一時的に軽減できます。同じように、事業用財産の買い換えにおいても特例を使うことができます。
そこで今回は、売却時にかかる税金の繰り延べができる「買い替えの特例」について、適用されるための要件や売却の時期などについて解説します。
買い替えの特例とは
「居住用財産の買い替えの特例」とは、マイホームを売却した利益よりも買い換えた家の費用が大きくなる場合に、支払う税金を繰り延べられる制度です。
この制度によりマイホームが買い替えやすくなります。
たとえば10年前に購入したマイホームを売却したら1,000万円の利益が出たという場合、譲渡益に対して納税する義務が発生しますが、売却益以上の価格の家を購入することで買い替えの特例が適用されれば、納税を繰り延べることができます。
これは住んでいなければ居住用とはみなされないので、住居用としてマイホームの売却と購入を同時にする場合に適用されます。
居住用不動産の買い換え特例が適用される要件
買い替えの特例を受けるには以下にあてはまることが必要です。
要件に当てはまれば税金が一時的に軽減されるので、対象となる不動産であるかがポイントです。売却する不動産と購入する不動産の両方に要件があるので確認しておきましょう。
◆売却する側のマイホーム
・売却した年の1月1日時点で敷地と建物の両方が10年の所有期間を超えていること
・住まなくなった期間がある場合、合算して10年以上の居住期間があること
・売却価格は1億円以下であること
◆購入する側のマイホーム
・売却する前年1月1日から、当年、翌年12月31日までの3年間に購入すること
・購入した翌年末までに居住すること
・敷地面積が500㎡以下であること
・居住用部分の床面積が50㎡以上であること
・建築後25年以内または新耐震基準を満たしていること
◆その他
・前年度、前々年度に3,000万円特別控除を受けていないこと
・前年度、前々年度に分離課税の特例を受けていないこと
・親子や夫婦などに対する売却でないこと
他の留意点としては、日本国内の不動産が対象かつ自分で居住することが要件で、他人に貸す場合には適用されません。また他の特例との併用ができず、マイホーム以外の用途で使われている期間がある場合には認められないこともあります。売却予定の不動産が対象になるのかご不明な場合にはお気軽にご相談ください。
特例を受けるための手続き
上述した条件を満たして居住用不動産の買い替えの特例の適用を受けるには、2月16日〜3月15日までの間に確定申告が必要です。そのためには、税務署に提出する必要書類を揃えなければなりません。
◆特例に必要な主な書類
・売買契約書の写し→1億円以下であることを証明するため(売却する家)
・譲渡所得の計算書(内訳書)→譲渡価格や購入価格など
・登記事項証明書→10年以上所有していることを証明するため(売却する家)
・登記事項証明書→新たに購入したことを証明するため(購入した家)
・住民票→居住していることを証明するため
上記のほか、住民票が必要です。また購入したマイホームが建築後25年以内であることが要件になっているため、登記事項証明書に築年数が記載されていない場合には、耐震基準適合証明書などの提出が必要になることもあります。
いつまでに売却すればいいの?
では、いつまでに売却すれば適用されるのでしょうか。実は、マイホームの買い替えの特例は2023年12月31日まで延長されることになりました。本来は2021年の12月31日までが期限でしたが、閣議決定によって追加されました。
マイホームの売却では買い替えの特例を使って税金を繰り延べることができるので、住み替え時の税金の負担を減らすことができます。
ただし、不動産の売買では他の特例もあるのでメリットのある特例を利用することが大切です。焦らずにどのような特例があるのか、またいくらで売れそうなのかを確認して不動産売買を成功させてください。
事業用不動産の買い換えの特例
事業用不動産の売却においても買い換えの特例で、税金を繰り延べることができます。老朽化したアパートや貸宅地などを買い替えることで収益を上げることが期待できます。
マイホームの「居住用財産の買い換えの特例」とは要件が違いますが、事業用不動産をお持ちの方は特例の要件などを確認しておくとよいでしょう。
買い換えの特例まとめ
買い換えの特例は、別の不動産に買い換えた時に、売却益に対する税金の繰延ができる制度です。
特例によって支払時期を先延ばしできるので税負担を軽減できますが、住宅ローン控除などとの併用ができないので、他の特例と比較をしながら、メリットになる買い替えをしましょう。