夏場は引越し費用もお得? 不動産閑散期を上手に利用するには







前回は、「意外な掘り出し物」が期待できる、夏の不動産事情について紹介しました。不動産業界には「繁忙期」と「閑散期」があり、後者の期間は物件数こそ少なくなりますが、その分、家探しをする人も減ります。そこで不動産会社は少しでも契約数を増やそうと、家賃や礼金・敷金を下げたり、お客さんのリクエストに応える物件を探したりするなど、繁忙期とは異なるサービスを行う傾向があります。


住まい探しが減る夏場は、引越し業界もオフシーズン。不動産会社同様、料金が安くなったり、予約が取りやすくなったりするメリットがあります。


そこで今回は、夏場の引越し事情を中心に、不動産閑散期の活用法を調べていこうと思います。




年間の引越し状況と料金



「借り手が見つかりにくく、空室が生じやすい夏の閑散期。家賃、敷金・礼金が安くなるのと同時に引越し費用も下がる傾向があります。家探しをする人が減少すれば、需要も減るわけですから少しでも集客数を増やすため、引越し料金の値下げや各種サービスを行うという仕組みです。



一年間における引越し状況は、次のとおりです。



・3月~4月:繁忙期



・5月~6月:通常期



・7月~8月:閑散期



・9月~11月:通常期



・12月~1月:閑散期



・2月:通常期



引越し費用が一番高くなる繁忙期(3月~4月)は、閑散期の1.5~2倍の費用がかかるとされています。9月は通常期に含まれますが、秋に転勤や結婚シーズンが増えることから、引越し費用が高めになることもあるようです。



おおよその料金を見ていくと、繁忙期は下記のような金額になります。



◇単身者


・3月:約58000~67000円(荷物小)、約79000~87000円(荷物大)
・4月:約48000~55000円(荷物小)、約53000~約82000円(荷物大)



◇2人家族


3月は約119000~128000円、4月は約102000~110000円



◇3人家族

3月は約150000~153000円、4月は約112000~128000円



◇4人家族

・3月:約170000~190000円、4月:120000~160000円



対する閑散期(7月~8月)の料金は次の通り。



◇単身者

・7月:約39000~48000円(荷物小)、約45000~68000円(荷物小)

・8月:約39000~45000円(荷物小)、41000~約58000円(荷物大)



◇2人家族

・7月は約78000~84000円、8月は約80000~82000円



◇3人家族

・7月は約88000~104000円、8月は約93000~96000円



◇4人家族

・7月:約100500~135000円、8月:約86000~134000円



数字を見ると、やはり3月の料金はかなり高く、どの条件においても7・8月を大きく上回っていることがわかります。単身者の場合、荷物の多い人は、特に費用がかさむようです。



同じシーズンでも、カレンダーによって費用は異なる




引越し費用はシーズンにかかわらず、カレンダーや時間帯によっても変わるので注意が必要です。



◇費用の高くなる日(曜日など)・条件
・土・日・祝日
・午前中
・縁起のいい日(大安、一粒万倍、天赦日など)



◇費用の安くなる日(曜日など)・条件
・平日(特に午後)
・時間指定なし
・お盆期間
・縁起の悪い日(仏滅、赤口、不成就日、三隣亡など)



上記の補足として、土日は仕事が休みの人が多いため引越しが集中するものの、翌日が出勤ということもあり、依頼が少ないせいか、日曜の午後や夕方は費用が安め。対して土曜日は日曜日に家の整理ができるので需要も多く、割高になります。平日で費用が安めな曜日は週前半、特に月曜日や火曜日となっています。



また、同じ月の中でも、月前半の方が費用は割安。というのも、賃貸契約が切り替わるケースが多いため、引越しも増え、月後半には料金が高めの傾向があるからです。



このような条件をまとめていくと、引越し費用を抑えるのであれば、「閑散期」の平日で週前半(可能であれば月曜日や火曜日)、時間帯は午後がよいといえます。さらに六曜の「仏滅」「赤口」、雑歴の「不成就日」「三隣亡」など、またはお盆時期なら、繁忙期よりもかなりお得な料金が期待できるでしょう。



ただ、六曜や雑歴にかんしては、縁起を担ぐ人には敬遠されがちです。たとえば、親や親戚(特に年配の方)に引越し日が「仏滅」「三隣亡」だというと、反対される可能性もあるでしょう。



お盆時期も、古くから引越しを避けた方がいいといわれています。その理由は、お盆に家を動かす(引越しをする)と、ご先祖様が帰ることができなくなるからだそうです。こちらについても、しきたりを大切にする人がいる場合、何かと心配されたり、日取りを変えるように言われたりするかもしれません。



縁起が悪いとされる日、お盆を避けるか否かは、引越しをする人の考え次第です。習慣や周りの目が気になるようであれば、日にちを移すことも視野に入れた方がいいでしょう。




引越し費用を「見積もり」でさらに節約




新しい住まいと転居時期が決まったら、引越し会社探しが始まります。とはいえ、大手チェーンから地元の小さな会社まで、さまざまな引越し会社が存在するため、どこを選んでいいのか迷ってしまうことも少なくありません。



引越し会社を決める場合、まず、会社のサイトや見積もり(比較)サイトをチェックし、いくつかをピックアップします。次にあたりをつけたところに見積もりを依頼。送られてきた内容を比較して会社を絞り込みます。その後、会社の担当(スタッフ)が、依頼者の家を実際に下見する「訪問見積もり」が行われます。面倒にも感じますが、正確な作業内容や日程、金額を確認するにはおすすめです。訪問見積もりを比べて、最適な会社を選ぶといいでしょう。ただ、単身者の場合、下見は行われないこともあります。