閑散期にチャンスあり!? 夏の家探しにはお宝が潜んでいる







近年は、夏といえば35℃以上の真夏日、熱帯夜に熱中症を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。夏休み、長期旅行、里帰りといった楽しみもありますが、あまりの暑さに「外出したくない」「動きたくない」と家に閉じこもってしまうこともあるでしょう。



不動産業界も夏場は動きが鈍い時期です。とは言うものの、猛暑が直接の原因ではなく、ゴールデンウィークの声が聞こえてくる頃には家探しや引っ越しのピークも一段落し、6月は結婚式需要(ジューンブライド)が多少あるものの、7月にはオフシーズンに突入するからです。



ただ、閑散期となる7月から8月までの間は、意外なお得物件が潜んでいるのをご存じですか? そこで今回は、夏場の住まい探しについて調べてみました。




家探しの季節サイクルを知っておく



「持ち家、賃貸にかかわらず、物件や空室の情報数は季節によって変わります。中でも物件が動くのは、就学や就職、転職、転勤の多い1月末から3月。この期間は転居先を探す方が増え、不動産業界は最も忙しい時期だといえます。




4月中旬頃になると、家探しも一段落。次に需要があるのは結婚式の増える9月から10月です。この期間は転勤も多く、単身者向きより、やや大きめ、いわゆるファミリー向けの物件が動き、不動産業界にとっては1月末から3月に次いで忙しい時期となります。



以上から1月末~3月、9月~10月は「不動産業界の繁忙期」といわれていますが、一方で「閑散期」も存在します。秋の繁忙期が終わり、来年の声が聞こえてくる年末からお正月、つまり12月~翌年1月初旬がそれにあたります。年末年始はもともと多忙な季節。わざわざ引っ越しをする人もいないことから、不動産業界では仕事の少ないシーズンとされているのです。



そしてもうひとつ大きな「閑散期」があります。それは7月から8月にかけてのサマーシーズンです。4月中旬頃になると、家探し、引っ越しラッシュも沈静化。比較的結婚式の多い5月下旬~6月を過ぎ、夏の日差しが強くなってくると不動産業界はオフシーズンに入ります。



まとめると家探しのサイクルは、以下のようになります。



・1月末~3月:繁忙期
・5月下旬~6月:やや繁忙期
・7月~8月:閑散期
・9月~10月:繁忙期
・12月~翌年1月初旬:閑散期



7月~8月の期間は「不動産業界最大の閑散期」ともいわれていますが、その反面、住まい探しをする方やファミリーには思いがけないチャンスになることがあるのです。


夏の家探しは「売り手市場」?




7月から8月の夏場が最大の閑散期になる理由はさまざまですが、まずいえるのは、やはり「暑い」から。地球温暖化、気候変動の影響で35℃を超える猛暑日も少なくない中で、物件探しをするのは大変だといえます。さらにたくさんの物件が出回る繁忙期とは違い、物件数も乏しく、理想の住まいを見つけるのは難しい時期。新居が決まらなければ引っ越しも行われませんから、閑散期の不動産業界は負のスパイラルに陥ってしまうわけです。




しかし、意外とおいしい物件に出会えるのも閑散期。「気に入った部屋はあっという間に成約済」「家賃が高い」「値下げ、条件交渉しにくい」など、完全な「売り手市場」の繁忙期とは異なる状況が期待できるのです。選べる物件数は少ないものの、オフシーズンだからこそのメリットを見ていきましょう。


閑散期の家探しに期待できること




先述した通り、閑散期は物件が少なく、また夏休みやお盆も重なるために、わざわざ家探しをする人は少なくなります。それに伴い、不動産会社の来客も減少。お茶を挽くことも多いようです。



ただ、逆にいうと「足を運べば、すぐに対応してくれる可能性が高い」ともいえます。これが繁忙期であれば、たくさんのお客様が住まいを求めてくるわけですから、営業担当さんも個々の希望にじっくり耳を傾けることはできません。しかし、それほど来客も多くないシーズンオフなら、時間にも余裕があるため、ひとりひとり、お客様の話を聞くことが可能になります。



また閑散期以外は、たとえば紹介された物件に対し、「もっと駅に近いところはありませんか?」「収納スペースが欲しいのですが」といった要望を出しても、たくさんのお客様をさばかなくてもいけませんから、なかなか動いてもらえません。それが7月~8月の夏場になると、「少しでも契約数を増やしたい」という気持ちも働いて、お客様のリクエストが通るケースも。さらにシーズンオフまでに入居者が見つからず、空室が埋まらない状況が続くと、「家賃、礼金や敷金を下げてでも入ってもらいたい」となる傾向があります。



このように7月から8月の不動産業界は、買い手や借り手にとって、有利な条件や物件が期待できることも少なくないようです。もし、住み替えや引っ越しを考えているなら、夏場に動いてみるのもおすすめといえるでしょう。