まだまだある? 各種住宅補助制度 家賃補助物件「特定優良賃貸住宅」とは







このところ世界情勢の影響もあり、物価の上昇や資源の不足、経済不安などが問題になっています。食品や日用品も御多分に漏れず値上がりしているため、それに伴い、家賃が今まで以上に負担となっている世帯も少なくないといいます。ただ、生活をする上で住居は必要不可欠。生活費に圧迫される家賃を軽減する方法はないのでしょうか?



そこで考えたいのが「家賃補助制度」です。この制度には企業や自治体ほか、補助する団体によってさまざまな形式があり、支給条件をクリアしていれば受け取ることができます。
とはいえ、「家賃補助制度」受給者に該当しているにもかかわらず、制度自体を知らずに申請していない人は多いようです。




前回、前々回で、この「家賃補助制度」を説明してきましたが、今回は簡単なおさらいに加え、良質な物件を軽い負担で借りることができる「特定優良賃貸住宅」をご紹介します。




該当しているなら手続きがおすすめ!企業と自治体「家賃補助制度」のおさらい



「家賃補助制度」として一番身近なものは、企業の住居に関わる福利厚生である「家賃補助」や「住宅手当」でしょう。表記が異なりますが、内容に厳密的な違いはなく、どちらも「従業員の生活負担を軽減するため、企業が住宅費用を補助する手当」をいいます。なお、「家賃補助」や「住宅手当」は、企業が独自で定めることのできる「法定外福利厚生」です。法律的に支給を義務付けされているわけではなく、制度自体設けられていない企業もあるため、転職を考えている賃貸居住者は注意が必要です。



「住宅手当」と「家賃補助」ですが、特に違いはないといえます。ただ、前者は住宅ローンの費用(一部)を補助する、後者は一戸建て、アパートやマンションなどの家賃を補助するという形で使い分けているケースが多いようです。



一方、「居住者の家賃負担を軽減し、定住を促すこと」を主な目的とする、行政主体の家賃補助制度も設けられています。これは全国各地の自治体(都道府県・市区町村)で実施されており、内容や条件は各市区町村によって異なりますが、基本的には「賃貸住宅居住者を対象に、家賃の一部を補助する」仕組みです。



補助を受けるためには、年齢や家族構成、収入、居住年数など、各自治体が独自に設定している条件を見たすことが必要です。中には引っ越し費用をはじめ、敷金・礼金・仲介手数料まで補助する自治体もあり、特に移住者を求めている地方では制度が充実しているようです。



ただ、自治体の「家賃補助制度」は常時募集しているわけではありません。幅広く告知をかけるケースも少なく、住んでいても知らなかったという人も多いようです。また受給条件が細かいため、支給のハードルは高い傾向があります。とはいえ、受給資格を満たしていないとも限りませんから、気になる方は自治体の担当窓口で確認するといいでしょう。



家賃を補助してくれるって本当?「特定優良賃貸住宅」とは




各都道府県(あるいは市町村)には、自治体が家賃を補助してくれる物件があります。これは「特定優良賃貸住宅(略称:特優賃(とくゆうちん)」と呼ばれるもので、「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づき、「中堅所得者等の居住の用に供する居住環境が良好な賃貸住宅の供給を促進するための措置を講ずることにより、優良な賃貸住宅の供給の拡大を図り、もって国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする(第一条)」と定義されています。



特定優良賃貸住宅として賃貸できる物件は、住宅供給公社、民間の不動産会社などが所有するもので、法律で定められた厳しい基準をクリアした住宅です。家賃補助は国からオーナー(大家さん)に支給され、本来の家賃との差額を入居者が負担する仕組みになっています。また、礼金・更新料・仲介手数料もかかりません。



「特定優良賃貸住宅」の入居条件




特定優良賃貸住宅は、基本的に家族のいる方、いわゆるファミリー向けの物件です。ただし、「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃とも呼ばれる)」もあり、こちらは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき建設された、高齢者が安全・安心に生活できる居住環境(全室バリアフリー、居室・浴室・トイレには緊急通報装置などを設置)を備えた良質な賃貸住宅となっています。



特定優良賃貸住宅への入居には、さまざまな条件があります。主なものは次の通りです。



・入居する世帯の合計所得が決められた範囲であること
・日本国籍、または中長期在留者、特別永住者資格を持っている
・単身者または同居者が親族(親子・配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある場合)・婚約者)であること
・現在他の特優賃住宅(または地域特別賃貸住宅)に入居していないこと
・自ら居住するための住宅を必要としていること(原則として持家のある人は入居できない)など



たとえば、大阪府の場合ですと、月額の所得が153,000円から601,000円の間でないと申し込みできません。入居条件に関しては、それぞれの自治体や物件に応じて異なる場合もありますから、特定優良賃貸住宅の管理者に問い合わせるのがおすすめです。



条件は厳しいながらも良物件に住め、さらに家賃を負担してくれるということで、特定優良賃貸住宅は人気物件となっています。たとえば、ある県の場合、年2回、空室の発生を待機する方を募集し、申込期間に受付を行った方の中から、抽選により斡旋順位を決めます。ただ、抽選結果には有効期間があるとのことで、優先順位が上位であっても、空きがなければ入れない可能性もあるようです。