知らないと損をする!? 自治体の「手当・助成金・補助金」制度







前回は、所属する企業や団体における「家賃補助制度」を調べてみました。
一般的には「家賃補助」、または「住宅手当」と呼ばれる補助金があり、支給条件を満たしている従業員であれば受け取ることができます。なお、独身や実家住まいなど、現状は支給対象外であっても、ライフスタイルが変われば補助金は支払われます。

また、行政が主体となって行っている家賃補助制度もあります。これは居住者の家賃負担を軽減し、定住を促すことを主な目的として全国各地の自治体が実施するもので、各市区町村によって内容や条件は異なります。特に地方では、制度が充実している自治体も少なくないそうです。
ところが、自治体の「家賃補助制度」は常時募集をかけているものではありません。ですから、「自分が居住地の補助対象になっているか」「引越しや転勤を予定するエリアに補助制度があるか」は、自治体の担当窓口で確認するのがおすすめです。



今回は、この自治体の家賃補助制度の内容や条件をもう少し詳しく見ていきたいと思います。




自治体の「家賃補助制度」ってどんなもの?



市区町村をはじめとする自治体には、様々な「手当・助成金・補助金」制度が設けられています。「家賃補助制度」もその一つで、基本的に「賃貸住宅に住む人を対象に、家賃の一部を補助する」仕組みをいいます。補助を受ける条件は、年齢や家族構成、収入、居住年数など、各自治体が独自に設定。中には引越し費用、敷金・礼金・仲介手数料まで支給してくれる自治体もあります。



「自治体が家賃を補助するなんて知らなかった」「まさか、敷金礼金を支援してもらえるとは」と思われるかもしれません。しかし、国や自治体における新型コロナウイルス禍の生活支援が増えたことから、市区町村の各種取り組みも周知されつつあります。新型コロナウイルスの「特別定額給付金」のように広く告知されないだけで、自治体は様々な補助制度を実施しているため、実は受給資格を満たしている可能性もあるのです。



もしかしたら支給される? 「家賃補助制度」の受給条件




「家賃を補助する制度」と聞くと、まず、地方出身者が都会の学校に入学、卒業後に地元で就職する「Uターン」、都会で生まれ育ち、就職した後、地方に移住して働く「Iターン」などが受給対象者で、主に地方で適用されていると考えられがちです。確かに「家賃補助制度」自体には、「地方の少子化」「住民を増やし、税金徴収対象者を確保する」「地方創生の推進」といった側面がありますから、それも当然だといえるでしょう。
ただ、自治体によって家賃補助の条件や負担費用は異なります。Uターン、Iターンをすれば、必ずしも希望する額がもらえるとは限りません。また、決められた期間、その自治体に住まなければならないといった条件もありますから、特に転勤の多い仕事に就いている場合は注意が必要です。


家賃補助制度の受給対象に多く見られるのは、先述の「地方移住者」をはじめ、「義務教育中の子どものいる子育てファミリー」「その土地で新たに生活を始める新婚夫婦」「同じ市区町村内で転居する者」などです。また、該当地区の保育所に雇用された保育士などの家賃を支援する制度を設けている市区町村もあります。



なお、おおまかな受給対象に当てはまっていても、家族構成、家族の年齢、所得、賃貸の家賃(たとえば〇円以下など)、生活保護受給者か否か、家賃や住民税を滞納していない、〇年以上住む予定があるなど、指定された条件をクリアしなければなりません。



たとえば、東京都千代田区では区内の民間賃貸住宅、またはマイホームへの住み替えをする世帯を対象に、「次世代育成住宅助成」を行っています。「親元近居助成」と「区内転居助成」が設けられており、前者は、区内に引き続き5年以上居住する親がいる新婚世帯、または子育て世帯、後者は区内に引き続き1年以上居住している子育て世帯が該当します。



また、助成を受けるには条件があり、該当世帯の年間所得をはじめ、部屋の専有面積、町内会への加入、住民税や家賃の滞納履歴などを総合して支給を判断します。提示条件をすべてクリアしなければ助成は受けられませんから、申請の際にはきちんと確認しておく必要があります。



子育て世代はもちろん、高齢者向けの家賃補助制度もある




一方で、高齢者世帯向けの家賃補助制度も設けられています。東京都北区の「高齢者世帯住み替え支援助成」は、65歳以上の高齢者のみの世帯が、区内の民間賃貸住宅に住み替えた場合に必要な費用の一部を助成してくれる制度です。
また東京都目黒区では、65歳以上の一人暮らし、もしくは60歳以上だけの世帯で65歳以上の人のいる世帯を対象に家賃の一部(2割まで)を負担する「高齢者世帯等居住継続家賃助成」が行われています。高齢者向け制度にも受給条件がありますので、利用希望者は申請前に詳細を調べておくといいでしょう。


なお、家賃補助制度の募集期間は各自治体によって異なり、申請方法などの告知があるわけではありません。申請も自分で行わなければならないため、家賃補助を必要としている場合はご自身が住む自治体に、どのような制度があるのかを調べておくのがおすすめです。


最大8万円の助成を行う千代田区の「次世代育成住宅助成」などの補助制度を使えば、家計の助けにもなります。また家賃負担により、住みたい物件の候補も広がるでしょう。