意外と知らない引越しや住まいに関する「手当・助成金・補助金」







人間の生活における三大要素「衣食住」。どれも大切なものですが、「家は一生の買い物」といわれる通り、この中で一番大きなお金が動くのは「住」でしょう。衣食はセールやリサイクルを利用したりするなど、生活の中である程度の節約できますが、家賃やローン額を自由に変えることはできません。

「住」が生活の負担になっているのであれば「家賃の安い物件に引っ越す」「マイホームを売却した上で、新しい家を買う、借りる」など、無理のない条件での住み替えを考える必要があるでしょう。
また、条件に応じて自治体から支給される「手当」「助成金」「補助金」、「特定優良賃貸住宅」の家賃補助制度を活用することもできます。これらは意外と知られていないので、該当しているのであれば、受給しないのはもったいない話です。



そこで、住まいに関係する様ざまな「手当・助成金・補助金」について調べてみました。




身近な手当て「住宅手当」と「家賃補助」、どこが違う?



企業の住居に関わる福利厚生としてよく目にするのは「家賃補助」と「住宅手当」でしょう。一見、内容が異なるのではと思われますが、どちらも「従業員の生活負担を軽減するために、企業が住宅費用を補助する手当」であり、厳密的な違いはありません。というのも、「家賃補助」と「住宅手当」は福利厚生の一つ、「法定外福利厚生」に属しているので、法律的に支給を義務付される必要がないからです。


なお、「法定外福利厚生」とは、企業が独自で定めることのできる福利厚生で、住宅手当や家賃補助のほかに、通勤・家族手当、健康診断補助などがあります。また社員食堂の運営、冠婚葬祭・レクリエーションの費用負担も法定外福利厚生です。


家賃補助と住宅手当は法律で定められておらず、導入する際の決まりもないため、導入の有無、支給額や条件、名称、区分は企業(法人)に委ねられます。ですから、「家賃補助と住宅手当を両方採用」しているところもあれば、「片方はある」「まったくない」という企業も存在するわけです。ただ、どちらにしても、支給される手当は課税対象となっています。また、企業が社宅に住んでいる従業員の家賃を一部負担する場合であっても従業員は家賃を支払うわけですから、課税対象にはなりません。



住宅関連の手当ては企業で自由に定めても構わないのですが、厚生労働省の「平成27年(2015年)就労条件総合調査」において、平均的な数字が報告されています。これによると、住宅手当の平均支給額は月に約1万7000円。もちろん手当がまったくない、また5万円以上支給するケース、「一律同額」「家賃の〇%まで(上限あり)支払う」など、内容や条件は企業によって様々です。



住まいに関する手当や補助の支給条件




住宅手当や家賃補助は、従業員であれば誰にでも支給されるものではありません。支給には各種条件があり、こちらも勤める企業(法人)によって異なります。よくある条件は次の通りです。



・正社員か否か
支給条件としてもっとも多いのは、正社員か否かという点です。とはいえ、正社員全員に支給するわけでもありません(この後の条件を参照)。ただ、近年は「働き方改革」の一環として、正社員、非社員(契約社員、派遣社員など)の格差を是正する動き(同一労働同一賃金)が活発で、それに伴い、住宅手当や家賃補助の見直しや廃止が検討されています。



・賃貸暮らしであるか(実家暮らしではない)
基本的には、「賃貸物件を借り、家賃を支払っている」ことが、支給条件になるケースが多い傾向にあります。ただ、実家暮らしであっても、「親とは別の建物の世帯主である」「両親が扶養に入っている」「実家は持ち家だが、自分で生計を立てている」のであれば、支給されることもあるようです。



・扶養家族がいる
配偶者や子どもなどの扶養家族がいれば支給の対象になります。企業によっては、家族の人数などで支給額が変動することもあります。



・家を購入し、ローンを払っている
持ち家が実家だと支給がなく、一戸建てやマンションを購入して、住宅ローンを払っている場合は支給対象になるケースが多いようです。



自分の会社の「住宅手当」「家賃補助」を把握しておこう



住宅手当と家賃補助に明確な違いは設けられていませんが、住宅ローンの一部費用を補助することを「住宅手当」、賃貸の一戸建て、共同住宅(アパートやマンション)の家賃を補助することを「家賃補助」とする企業は多いそうです。

転勤などをきっかけに実家暮らしが賃貸生活なったり、結婚で家族が増えたりなど、ライフスタイルの変化は住まいの変化にもつながります。実際に物件探しが必要になった時、勤めている会社にどのような手当があるかを知っておくと、いろいろ役立ちます。独身や実家暮らしなど、今は支給対象ではない人も、いざという時に供えて把握しておくことをおすすめします。