長期の出張、海外への転勤 その間持ち家はどうする? (2)







転勤や長期出張中の自宅を「貸すか、売るか」は、赴任期間を考えて判断するとよいでしょう。そして期間が短い、または赴任期間が決まっていれば賃貸、かなり長期の滞在、またいつ帰れるかわからない場合は売却がおすすめです。



前回は賃貸した場合の主なメリットやデメリットを考えてみましたが、今回は「売却」を中心に、その他の方法についてもご紹介します。




持ち家を売却する時の注意点やポイント



賃貸とは異なり、転勤・赴任を機に自宅を売却すると、自宅の管理にかかる費用や時間、面倒な事務処理から解放されます。また、帰ってきた時に、「賃借人(借主)に家を汚されているかも……」といった心配もありません。さらに売却によって、一時的にまとまった収入も得ることができます。




◎売却の主なメリット
・自宅を維持する費用が不要
・一時的にまとまった現金を手にすることができる
・転勤・赴任先で住む家は購入しても賃貸でもかまわず、自由な選択が可能になる



一方、売却のデメリットですが、転勤(赴任)先から戻ってきた時には、新たに家を探さなくてはなりません。他には売却時に仲介手数料、新居購入時には不動産取得税といったコストがかかることも頭に入れておく必要があります。また、住宅ローンが残っており、それが売却代金より少ない場合を「オーバーローン」といいますが、そのような物件は売れにくくなることを覚えておきましょう。



◎売却の主なデメリット
・転勤・赴任期間の終了後、再度家を探す必要がある
・売却時に加え、新居を購入したり新たに賃貸したりすると諸費用が発生する
・オーバーローン物件だと売却が難しい



売却も賃貸同様、すぐに購入者が見つからないケースがあります。引越し前に売ることができ、さらに残った住宅ローンよりも高額で取り引きされれば(ローンがない場合は関係なし)新生活に向けての蓄えができるでしょう。ただ、転勤前だと生活しながら内覧が必要になるなどさまざまな手続きが予想されますから、引越し後に売却することも視野に入れておく必要があります。
この点、家を空にしたのち不動産会社に依頼すれば、家の掃除や内覧対応などを任せることができます。



さらに、不動産売却の決済時や引き渡し時には現地で本人の立ち会いが必要になりますが、遠方や海外転勤の場合、容易に戻ることができないこともあるでしょう。
後から「話が違う」といったトラブルを回避するためにも、基本的には本人の立ち会いが望ましいですが、立ち会わずに決済を行うことも可能です。その際は、親戚や友人など信頼のおける人に代理を頼む(代理権委任状が必要)、また司法書士に依頼するといった方法があります。



売却はハードルが高いと感じる場合は無理して売ろうとせず、賃貸物件として貸し出すことも検討しましょう。
転勤や長期出張時の家をどのように貸せばいいのか決めかねている場合は不動産会社に相談すれば賃貸価格の目安がわかるほか、相談者の状況に合わせた最良の方法をアドバイスしてくれます。



賃貸が難しいなら「空き家管理」も選択肢に入れておく




「赴任期間が長くない、または赴任後も住むつもりなので売却する気はない」「賃貸に出しても賃借人(借主)が決まるかどうか不安」「留守中とはいえ、他人が自宅に住むのは抵抗がある」という場合は「空き家管理」を依頼するという選択肢もあります。



これは空き家になった物件を定期的に回り、チェックやメンテナンスを行うもので、専門の業者に依頼する、また親戚や友人に頼むのが一般的です。前者は「空き家管理委託」と呼ばれ、有料で空き家を定期巡回してくれるサービスです。プロが管理してくれるため、安心して家を任せることができます。後者は月一回程度、親族や信頼のおける友人に巡回やメンテナンスを頼む方法で、管理会社に委託するよりは費用を低く抑えることができます。



もちろん、管理を行わず、空き家のままにしておいても問題ありません。
しかし、家というのは人が住まないと劣化しやすくなるといわれています。そのため、可能であれば定期的にチェックしてもらった方がよいでしょう。



◎空き家管理の主なメリット

・他人に自宅を使われなくても済む
・頼める人が近隣にいない場合でも管理してもらえる(管理会社に委託した場合)
・親戚や友人に依頼すれば費用の節約が可能(親族や友人に依頼した場合)
・身内なので頼みやすく、融通が利きやすい(親族や友人に依頼した場合)

気をつけたいのは、空き家管理では賃貸収入などが発生しないため、業者を使うと支出が増えます。サービス内容に比例して価格も上がりますから、管理委託費用がローン返済を圧迫することがないよう注意しましょう。



◎空き家管理の主なデメリット
・業者を頼むと管理委託の費用が発生する(管理会社に委託した場合)
・サービスやプラン内容を充実させるとコストが上がる(管理会社に委託した場合)
・頼める人がいない場合は業者に依頼せざるを得ない
・親や親戚、友人はプロではないため、管理内容に不安が残る(親族や友人に依頼した場合)



空き家管理を選ぶ場合、費用面などを考えれば親族や友人に頼むのがベストです。ただ、そういう相手がいなければ外部に委託するしかありません。この頃は少子高齢化などが原因で空き家が多くなり、「空き家管理」をメインにする業者・管理会社も増えています。依頼するときは複数の業者にプランやサービス内容を確認し、希望や状況に合ったものを選んでください。