引っ越しトラブルを回避。物件探しの選択肢が広がる「収納スペース」







衣料品や書籍をはじめ、増えすぎた荷物や家財道具が部屋を圧迫している、一時的に荷物預かりが必要な場合、頼りになるのが「トランクルーム」や「レンタル収納スペース」、「宅配型トランクルーム」などです。前回は、各種収納スペースの基本的なサービス、運営会社や契約形態についてご説明しました。


これらは一般的に、「部屋に置ききれないもの」を預けられるスペースだと認識されていますが、引っ越し時の荷物保管ほか、様ざまな用途に利用することが可能です。また、物件・部屋探しの選択肢も増やすことができます。そこで今回は、収納サービスを効果的に使う方法をご紹介したいと思います。




引っ越しやリフォーム時のあらゆる場面に力を発揮する収納サービス



「トランクルーム」や「レンタル収納スペース」などの各種収納サービスは、いろいろな用途に使えますが、特に「引っ越し」「リフォーム(建て替え)」では多いに役立ちます。ここで、サービスの基本を簡単におさらいしておきましょう。

◇「トランクルーム」の主な特徴
・一般的に国土交通大臣の登録を受けた倉庫業者が運営
・倉庫業者の管理により、セキュリティが行き届いている
・管理義務が倉庫業者にあるので、倉庫業法に基づいた補償が受けられる。
・時間制限、業者立ち合いなど、荷物の出し入れは厳しい

◇「レンタル収納スペース」の主な特徴
・不動産賃貸業者が運営している
・保管責任は利用者側にある(ただし、業者によっては保険・保障に加入できる)
・24時間利用、利用者の都合で荷物の出し入れができる

◇「宅配型トランクルーム」の主な特徴
・宅配便で荷物を集荷・配送。利用者が荷物の収納・引き取りを行う必要がない
・倉庫業法の基準に沿ったサービスが求められるため、保管責任は業者にある
・荷物が業者管理であり、取り出しと配送手配に時間がかかるため、すぐに取り出すことはできない
・大きい、重い荷物には保管に追加料金がかかり、また配送料も高くなる

基本的に、貴重品や高額品を預けるなら、セキュリティの高い「トランクルーム」、短期間の利用、好きな時に出し入れしたい場合は「レンタル収納スペース」を選択するのがおすすめだといえます。「宅配型トランクルーム」は自宅に居ながら荷物を出し入れできて便利ですが、大きく重い荷物は別料金が生じ、配送料がかさむ場合があるので注意が必要です。

◇こんな場面で使える「収納サービス」

「トランクルーム」「レンタル収納スペース」「宅配型トランクルーム」といったサービスは、引っ越しをはじめ、建て替えやリフォーム時に生じる様ざまな収納不足を解消してくれます。主な利用方法は次の通りです。

・ひとり暮らしをしていたが、一時的に実家に戻ることになった場合、使っていた家電や家具を預けることができる。
・引っ越しの荷物がとにかく多く、1日で運びきれなかった場合など、残りの荷物を収納しておける。
・建て替えや大がかりなリフォームの間、仮住まい宅には収まりきれない家財を保管できる。
・一戸建てからマンションに移る際など、入りきらなかった家電や家具を一時的に預けられる。
・引っ越しの際、捨てるか残すか決めかねている荷物を預けておき、後で仕分けできる。
・長期出張・海外出張で持っていけない荷物を預かってもらうことができる。
・結婚や出産などで家族構成が変わり、ベビーベッドなど新たに荷物が増える場合、それまで使っていたものや捨てられないものを保管しておける。

このように引っ越しや仮住まい生活の際、収納スペースを利用すると、余裕をもって荷物の仕分けができ、新居には入りきらないが取っておきたいものなどを保管しておけます。新しい住居に移った後、落ち着いて荷物整理ができるのもメリットだといえるでしょう。



引っ越し時のトラブルを解消してくれる収納サービス




各種収納サービスは、引っ越し時に起こり得るトラブルの回避にも役立ちます。たとえば、物件探しの末、ようやく気に入った部屋を見つけたとします。その場合、賃貸借契約を終了する必要があり、大家さん、または管理会社、物件を管理している不動産会社に「退去連絡」をしなくてはなりません。一般的に連絡は退去の1ヶ月前が多いようです。

その後、退去者は賃貸借契約終了日までに引っ越しを行い、新居に移ればよいのですが、転居先の入居者が出ていかないケースがあります。そのままだと行き場を失ってしまいますから、まずは旧居の解約延長を問い合わせる(家賃が発生するので注意)、実家に身を寄せる、ホテル、ウィークリーマンションを仮住まいにするなど、住処を確保する必要があります。自分の後の入居者が決まっているなら、家財も運び出さなくてはなりません。そこで頼りになるのが収納サービスで、先住者が退去するまで荷物を保管してもらうようにします。

できれば遭遇したくないトラブルですが、荷物の行き場がなくなることは回避できます。仮住まいと収納サービスを確保したら、できるだけ早く退去してもらえるよう交渉するようにしましょう。



収納サービスで物件探しの選択肢が広がる




間取りや立地はぴったりの物件だけど、「駐輪場がない」「駐輪場はあるが満車状態」がネックという場合、バイクや自転車の収納が可能な収納サービスで代用することができます。費用は発生しますが、せっかく見つけた良物件を手放さなくても済むのはメリットだといえます。空きがでたら解約して、物件の駐輪場を使うといいでしょう。

また、「収納豊富な部屋」を条件に物件を探すと、どうしても選択肢は狭くなります。収納サービスを利用すれば、収納にこだわる必要はありません。ですから、より多くの物件から自分に合った部屋を選ぶことができるといえます。