寮やシェアハウスも視野に入れた部屋探しのすすめ







ひとり暮らしを始める際、まず候補にあがるのはワンルーム、単身用の物件ではないでしょうか。需要が多いので物件数はもちろん、種類も豊富。洋室、和室をはじめ、広さ、設備など、様ざまなタイプの中から部屋を選ぶことができます。

ワンルームや単身者用マンションを希望する場合、まずは学生・社会人、職業などを問わず、幅広く賃貸されている住宅を探す人が多いと思われます。当たり前のことですが、このような賃貸物件だと、勉強や仕事に加え、料理や掃除といった家事を自分でしなくてはなりません。家賃に加え、水道代やガス代、電気代などの光熱費も必要です。

近年、新型コロナウイルスの影響で収入が減り、食料品や日用品など、様ざまな物品の値上げで家計が苦しくなっています。そのため、ひとり暮らしを始める、引っ越しを予定している人にとって、通常の物件では家賃や生活費が負担になるケースが増えているといいます。




そこで候補に加えたいのが「寮」や「下宿」です。特に学生向けの物件が多いため、親元を離れて学生生活を送る(送っている)人は選択肢が増え、生活費の節約も期待できます。




理想の物件を見つけるために、「寮」や「下宿」も視野にいれてみる



進学した学校が通学圏内にない生徒や学生は、親元から離れて住むことになります。その場合、賃貸物件が必要になるわけですが、一般の賃貸(マンション、アパート)を探す人が多いようです。特に引っ越しシーズン(1~3月)になると、条件のいい部屋は空いてもすぐ埋まるので、いくつかの物件を回ることになります。

それでも、なかなか良い部屋が見つからない時は、学生向け物件を候補に入れるのがおすすめです。これには「学生向けマンション・アパート」「学生会館」「学生寮」などの種類があり、物件によって入居条件や施設内容、利用ルールは異なりますが、学生(社会人兼学生可能の物件もあり)であれば利用することができます。






学生向けの主な物件




・一般の賃貸マンション、アパート:学生と社会人(一般人)がいっしょに住んでいる点が、大きな違い。物件数は豊富で選択肢は多いといえるが、人気の部屋には希望者が集中する。
・学生マンション・アパート:基本的に部屋のレイアウトや設備などは一般の賃貸マンションやアパートと変わらないが、入居者は学生に限られる。中には食事を提供する物件も。
・学生会館:大きく分けて、学校と企業が運営する施設がある。企業が運営する物件には、様ざまな学校の学生が入居可能。どちらも食事などのサービスを行っている。食堂や浴室などは共有のケースが多い。
・学生寮:大学・学校が運用している、通学生専用の物件。そのため、学校の敷地内、または近隣に建てられることが多く、通学に便利。学生会館同様、食事が提供され、食堂や浴室などは共有という物件が中心。
・下宿:もともとは、一般人(管理人)の家に間借りして住むことで、明治~昭和初期には多くあったが、近年はあまり見られない。親戚などの部屋を借りることも下宿とされる。台所や浴室、トイレなどは共用利用。
・シェアハウス:一軒家など、ひとつの家を複数の他人と共用(シェア)して暮らす賃貸物件。一般的に台所やトイレ、リビング、浴室などは共有。

なお、日本学生支援機構(平成24年度)の学生生活調査によると、自宅以外に居住する大学生は約43%。そのうち、学生寮を選んだ人は約6%でした。社会人も殺到する単身者向けの一般賃貸だけでなく、ライバルの少ない学生向け物件にも目を向けると、よい条件の部屋が見つかる可能性も上がるといえます。




学生向け物件のメリットとデメリット




一般の賃貸物件と「学生向けマンション・アパート」「学生寮・学生会館」「下宿」には、それぞれメリットとデメリットがあります。特筆すべき点は下記の通りです。

・一般の賃貸物件
メリット:物件数が豊富・親や友人を呼べるなど、生活の自由度が高い・トイレや風呂は各部屋に設置
デメリット:不特定多数の人が住むので、注意が必要・食事や掃除などの家事は自分で行う・家具の購入や光熱費はすべて自分で負担
・学生向けマンション・アパート
メリット:学生専用なので、治安はいい・一般の賃貸に比べると家賃は低め・生活の自由度は基本的に高いが、人を呼ぶ場合、制限があるケースも・トイレや風呂は各部屋に設置・管理人が常駐する物件もある
デメリット:食事や掃除といった家事は自分で行い・光熱費は自分で負担・家具は自分で用意する
・学生会館
メリット:食事を提供してくれる・賃料は様ざまだが、家賃に食費や光熱費が含まれていることも多く、リーズナブル・管理員が常駐しているので安心・家具は備え付けが主流
デメリット:食堂や風呂、トイレなどが共有というケースが多い・門限や食事時間、入居者以外の出入り禁止などの生活ルールがあるため、生活の自由度は少ない
・学生寮
メリット:家賃は様ざまだが、食費や光熱費が含むケースも・食事を提供してくれる・家具はほとんどが備え付け・管理員が常駐しているため安全度が高い・寮内でのイベント開催
デメリット:食堂や浴室、トイレは共有という物件が多い・外部者の出入り禁止、門限や食事時間などが定められているので、自由な暮らしは難しい・相部屋になる可能性もあり
・下宿
メリット:親戚の場合は家賃が安くて済む(または無料)ことが多い・親戚家だといっしょに食事がいただける
デメリット:家屋の構造にもよるが、プライバシーが保ちにくい・食堂や浴室、トイレはほぼ共有・他人を呼ぶことは難しい・家族以外との同居になるので、気をつかうことも多い
・シェアハウス
メリット:幅広い人とコミュニケーションできる・イベントを行うこともある
デメリット:基本的に部屋は個室であっても、リビングや台所、トイレや風呂場は共有・入居者は学生以外の他人も多いので不安も・室内のレイアウトによっては、プライバシーが保ちにくい

一般的に学生会館・学生寮、下宿は門限などの規則が定められているため、一般の賃貸、学生向けマンション・アパートに比較すると生活は制限されます。ただ、家賃に食費や光熱費が含まれていたり、管理人が荷物を預かったり、勧誘などに対応してくれるなどのメリットもあります。それぞれの長所・短所を比較しながら、寮や下宿も選択肢に入れてみてはいかがでしょう。