住んでから気が付く。物件選びの意外な落とし穴?







様ざまな条件を吟味して、さらに不動産会社、賃貸サイトなどで数多くの物件から「自分の城」を見つけ出した時の喜びは大きいものです。特に進学就職で、憧れのひとり暮らしを始める人には格別なものがあるでしょう。

ただ、引っ越しを終え、夢もふくらむ新生活が始まって、数日が経過すると、「最初は気付かなかったのに、何となく違和感を覚えるのはどうして?」という声が少なからず聞こえてきます。

その原因は、部屋探し時に「設備」や「共用スペース」、「周辺環境」などの条件を見落としがちなこと。



今回は、契約・入居するまで気付きにくい「あとから後悔ポイント」を紹介。物件選びをする時にチェックしておいてはいかがでしょう。



意外とある「実際に住んでみるまでわからないこと」



「百聞は一見に如かず」という言葉があります。その意味は、「100回(たくさん)聞くより、一度でも自分の目で見るほうが確かである」で、端的にいえば「何でも自分の目で確かめるのが一番」ということです。物件探しも同様で、たとえば、「繁華街があり、ちょっとうるさそうだけど、大学に通う間、住むだけだから我慢できる」と思っていたら、想像以上に騒音がひどく、睡眠不足になったというケースがあります。また、「最寄り駅から近い便利な物件だと契約。ところが終電時間が早く、通勤通学に不便だった」など、情報や条件だけで選んでしまい、実際に生活してみると、不便や不満が生じてしまうことも多いようです。

住み始めて「こんなはずじゃなかった」と後悔しても、一から物件探し、さらに引っ越し費用がかかりますから、なかなか次の物件に移るわけにはいきません。そうならないためにも、実際の生活をイメージしながら、可能な限り周辺の様子を見ておく必要があるといえるのです。

ただ、引っ越し先が自分の足で下見できるエリアなら問題ありませんが、現在在住地から遠く、物理的に難しいのであれば、賃貸物件紹介、ハウスメーカー系サイトのタウンガイド、市町村などの自治体公式サイト(気候や立地、電車・道路などの交通網など基本的な街のプロフィールを紹介。観光協会サイトにも様ざまな街情報がある)で、周辺情報を複数得ておくのがおすすめです。希望するエリアのデメリットといった辛口情報は、口コミなどで探すことができますが、掲載されている意見は玉石混交なので、すべてを鵜呑みにするのは危険だといえます。ですから、多くの情報を総合して判断するといいでしょう。





共用スペースの設備はどうなっている?




集合住宅の場合、廊下や階段は共用部分です。ここに自転車や子どもに三輪車などを置いているアパートを見かけますが、基本的にルール違反。火災や地震などの災害時、置かれたものが邪魔になり、避難しにくくなる可能性があるためとても危険です。ですから、引っ越し先で自転車を利用するのであれば、駐輪場のある物件を選ぶ必要があります。「気に入った物件だし、みんなも置いているから駐輪場がなくても大丈夫」は絶対にNGです。

共用スペース設備の有無は、意外と見落としてしまうといいます。そのひとつが「宅配ボックス」で、不在時に荷物を受け取れることはもちろん、在宅中でも、入浴中など対応できない時に重宝します。新型コロナウイルスの影響もあり、入居者や宅配業者が非接触・非対面で応対できるため、設置してある物件が望ましいといえるでしょう。

またバイクを利用する予定なら、「バイクの駐車場」の有無もチェックしておく必要があります。駐車場はあっても、すでに埋まっていることも考えられますから、使用状況も調べておきましょう。これは月極駐車場も同様で、「入居してから決める」では、空きがないこともあるため、早めに確保しておくのが望ましいです。




室内の設備がこんなに使いにくいとは……




駅から近く、スーパーや図書館もあって、周辺環境もいうことなし。条件にぴったりの物件を手に入れたはずなのに、後から失敗だったと思うケースが「室内設備の使いづらさ」です。よくある不満は「収納が思った以上に狭くて、服が入りきらない」「台所が小さすぎた」「調理台や流し台が低すぎて(高すぎて)、家事がしにくい」「洗濯機置き場が外にある」など。また、「家具の色や大きさ、形状などが、部屋としっくりしない」「家電(レンジや炊飯器など)のサイズが合わず、調理台からはみ出してしまった」ということもあるそうです。このようなトラブルを避けるために、内覧できるのであればメジャーを持参し、家具や家電が無理なく入るか否かチェックするといいでしょう。

物件探しは冬~春が多いため、「西日がことのほか強く、夏季は暑すぎて困る」といった、その場ではデメリットがわからないケースもあります。窓が西向きに付いている部屋、西向きの物件は夏に西日が入る可能性が高くなるので、入居するなら遮光カーテンを用意するなど、あらかじめ準備をしておくといいでしょう。

なお「ロフト付き」など、付加設備のある部屋は家賃が高い傾向も。憧れて入居したものの、ロフトに上がることが面倒になって、結局使わなくなると宝の持ち腐れ。その分の家賃が無駄になりますから、注意してください。