物件探しで譲れないポイントと妥協ポイント~その2







前回は賃貸物件を探す場合、豊富な情報が多く出回る時期とその理由、物件探しの基本条件などをご紹介しました。

条件を決めたら、次は不動産会社やお部屋情報サイトなどを利用しての物件探しが始まります。そこには実にたくさんの情報が掲載されていますが、繁忙期はライバルも多いため、希望の物件を見つけた時には、すでに決まっていることもしばしば。振り出しに戻るというケースも少なくありません。

「条件に合ったところに住みたい」のはやまやまですが、要望を完璧に満たす物件は、なかなか見つからないものです。



そこで考えておきたいのが、「妥協ポイント」。「この希望は譲れないが、ここは我慢できる」といった条件をもうけておけば、たとえばサイトを検索する際、選択肢も広がります。

ということで、今回は「譲れないポイントと妥協ポイント」について考えてみました。




物件探しの第一関門として立ちはだかるのは!?



「条件にぴったりのお部屋を見つけたものの、家賃を確認してびっくり(がっかり)」……このようなケースで、理想の住まいをあきらめざるを得なかった人は、結構多いのではないでしょうか。潤沢な貯金があれば問題ありませんが、家賃支出は毎月発生するもの。「節約すれば、何とかなる」と暮らし始めてみたものの、生活費がひっ迫し、入居間もなく引っ越しを余儀なくされてしまう人もいるようです。

このように「家賃」はお部屋探しの第一関門といっても過言ではありません。よりよい条件の物件は、快適さや暮らしやすさに比例して、どうしても家賃が高くなります。そこで考えたいのが、理想優先の高額物件より、「多少妥協をしても、身の丈に合った家賃で気持ちよく暮らせる物件」なのです。





具体的な条件を複数考えておくのが、よい物件に出会える近道




賃貸物件の探しの基本ポイントは、前回お話ししたように「住みたいエリアや立地」「家賃(初期費用ほか)」「間取りや設備」の3点です。まず最初に家賃を設定(一般的に給料(生活費)の3分の1)しておくと、その価格帯にある物件の平均的な仕様が見えてきます。そこに、自分の希望や条件を照らし合わせていくのがおすすめだといえます。

基本ポイントの二番手は「住みたいエリアや立地」の選定です。そこで重視されるのは、職場や学校など、目的地へのアクセス方法になります。ベースとなる条件には、下記のようなものが考えられます。

・目的地(勤務先や学校ほか)の沿線にある
・できれば乗り換えのない(電車なら一本で通える)エリア
・住まいの最寄り駅に、なるべく複数の列車種別(鉄道事業者の営業制度やサービスなどに基づいた「列車の区分け」を指す。例:特急、急行、快速、各駅停車など)が停車する
・可能なら職住近接(自宅と職場の距離が近いこと)であること(※ただし、近すぎるエリアは避けたいという意見もある)
・複数の電鉄会社が乗り入れている。

また、最寄り駅の周辺環境として、

・利用する駅には、スーパーやショッピングモール、コンビニエンスストアといった商業施設がある
・バスが利用できる(物件の近くにバス停がある)。
・できれば、公共施設(市役所やそれに準ずる施設、図書館ほか)や託児所(子供のいる人の場合)などを有している
・警察署や交番がある

などの条件を書き出しておくといいでしょう。

これに最寄り駅(またはバス停など)から物件までの希望時間(徒歩〇〇分)をプラスすれば、おおよその物件が絞れてきます。





希望のエリアに住みたい物件がない場合はどうする?




希望していた最寄り駅に、条件に近い、住みたい物件があればいいのですが、見つからなかった場合はどうすればよいのでしょう。よくあるケースは、「(家賃、敷金・礼金が)予算オーバー」「駅から住まいまでが遠すぎる」「最寄り駅周辺にスーパーやコンビニ、または公共施設などがなくて不便」「各駅停車しか止まらない」などで、逆に住み始めてから気付いて後悔する人もいるようです。

たとえば、Aさんという人が、最寄り駅から住まいまで10分圏内を希望していたとします。しかし、他の条件は満たしているのですが、どの物件も徒歩15分以上で条件に合う物件が見つからない。このような場合は、「譲れない条件」と「妥協できる条件」、条件の優先順位を決め、それに当てはめていくと、物件選びもしやすくなります。Aさんが「徒歩10分圏内」を譲れない条件とするのであれば、最寄り駅を変更し、再度物件を探せばよいのです。反対に妥協できるのであれば、少しでも駅に近いところを選ぶことになるでしょう。

ただ、最寄り駅が職場や学校など、目的地から遠くなってしまうと、交通費がかさんだり、通勤通学時間が長くなる可能性があります。このように条件にこだわりすぎると、かえってデメリットが生じてしまいます。ですから妥協できるポイントを物件と照らし合わせ、柔軟に選択するのがおすすめです。