理想の物件探しは難しい? 譲れないポイントと妥協ポイント~その1







進学や就職、転勤といった、人生のターニングポイントを迎える人にとって、1月~3月は賃貸物件探しのピークとなります。ただ、新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやオンライン授業が増加。また転勤が減ったこともあり、引っ越し件数は減少しましたが、やはり年明けから3月くらいまでは、賃貸物件が多く出回る時期に変わりはなさそうです。


一方、在宅勤務・授業、ネットショッピングが主流となり、人びとのライフスタイルが変化したことから、賃貸物件の仕様にも新たな要素が加わっています。


とはいえ、「住みたい条件を考え、理想に近い部屋を見つける」という、物件探しの基本は変わりません。そこで今回は、少しでも自分の要望を叶えるための、大切なポイントを考えてみました。




1月~3月が「賃貸探しに適している」理由



先述の通り、賃貸探しの「おすすめの時期」は1~3月です。その理由は、進学・就職・転勤などで、多くの人が動くため。賃貸の場合、退去するときは引越しの1ヵ月前までに「解約予告(家主または管理会社への連絡する)」を行い、「退去届(解約届とも。移転先や精算口座などを書いた書類)」を提出します。その際、多数の空き部屋が生じ、物件情報は早ければ1月頃から出回ります。そのため、1月以降は物件数が多くなり、選択肢も増えるというわけです。

ただ、貸したい人も多ければ、借りたい人も多いわけですから、物件情報は出回ると同時に埋まっていきます。特に2月は入居希望者が増えますから、目をつけた物件があっという間に契約済みというケースも少なくありません。ですから3月に入ると、2月に比較して空き物件の募集は減る傾向にあります。

1~3月はライバルこそ多いですが、その分、物件の数も種類も豊富です。そのため、希望の地域や駅、間取りや部屋数、ペット同居可といった条件を満たす物件が見つかる可能性も高くなります。理想の物件を手に入れたいのであれば、この時期を狙うと複数の情報を得ることができるでしょう。

気をつけたいのは繁忙期ですから、不動産会社、賃貸物件を扱う建築会社などの営業は、ひとりで多数のお客様を担当しています。ですから、「なかなか物件を紹介してもらえない」といったケースは日常茶飯事。インターネットの物件サイト、不動産会社の貼り紙などをこまめに閲覧し、自ら物件情報を見つけるのがおすすめです。




掘り出し物もあるが、「不人気売れ残り」に注意



なお、4月以降は物件探しも一段落。ライバルは少なく、営業さんとのコンタクトも取りやすくなりますが、比例して物件数も減少します。そのため、イメージしている物件がなかなか見つからないことも多いでしょう。その反面、4月は「掘り出し物物件」に出会える可能性が期待できる時期だともいわれています。というのも、店子の決まらない物件は、最悪の場合、1年間収入になりません。そこで大家や不動産会社は、「家賃値下げ」「敷金礼金なし」「フリーレント(入居後、一定期間の家賃が無料)物件」といった好条件を提示し、なんとか販売しようと考えるからです。

ただ、「不人気の売れ残り物件」には注意が必要。「契約条件が良いのに借り手がつかない」のには、何か理由があるかもしれません。気になる場合、内見や周辺環境チェックを行い、確認してみるといいでしょう。






スムーズな物件探しのために「希望する条件をまとめておく」




賃貸物件探しにおいて、出会いは「一期一会」といえます。情報を見逃すことなく、希望の物件に入居するためにも、引っ越し予定のある人は準備をしておく必要があります。その中でも、「希望条件を書き出し、まとめておく」ことは必須。具体的な希望条件を決めておけば、物件を見つけた時も柔軟に対応することができます。

◇押さえておきたい基本条件

希望条件は、部屋を借りる人の「単身か家族か」「長く住むのか、短期在住か」「家賃はどのくらいまで出せるのか」といった現状によって様ざま。そこで、まず「賃貸探しの基本」となる条件「住みたいエリアや立地」「家賃(初期費用ほか)」「間取りや設備」から考えていくのがおすすめだといえます。

・住みたいエリアや立地
まず基本は住みたいエリアを決めることでしょう。特に学校や職場へのアクセスがメインとなる場合、この条件を軸にすると探しやすくなります。

・家賃(初期費用ほか)
家賃は毎月必要となりますから、やはりいちばん重視したい条件だといえます。給料(生活費)の3分の1が一般的だといわれていますが、状況に応じて、無理なく払える物件を探すようにしましょう。物件探しの際、「敷金」「礼金」を忘れがち。後から意外な出費になることもありますから、こちらも必ず確認しておくようにしてください。

・間取りと設備
実際に住んでから、「なんとなく居心地が悪い」と感じることがある場合、その原因の一部は「間取りや設備」にあります。部屋自体のレイアウトもですが、「キッチンの高さが合わない」「窓がちょっと小さい」など、後から気が付くことも少なくありません。一度契約を結び、生活が始まると、簡単に引っ越しはできません。ですから平面図を見る時は、設備の面も含めてチェックしておくといいでしょう。