移住ライフに欠かせない住まい探し







新型コロナウイルスの行動制限によって、出社しない「リモートワーク(テレワークとも)」が普及しました。それに伴い、「通勤しなくても、自宅に居ても仕事はできる」ことが一般に普及したため、「地方移住」がクローズアップされています。


ただ、ひと口に「地方移住」といっても、かつてのような「仕事も住居も地方に拠点を置く」というスタイルだけではないようです。たとえば、「リモートワークを利用して、今の仕事を続けながら移住する」「地方と都会に拠点を持ち、行き来する」人も増えています。

今回は地方移住においての家探しなどについてご紹介したいと思います。





リタイア後だけじゃない。現役世代にも広がる「地方移住」



地方移住というと、かつては「都会で働いていた地方出身者が、退職後、故郷に帰る」、また「退職後、憧れていた土地に住む」といったイメージが強く、現役ワーカーには無縁なものだとされていました。その理由のひとつが、新卒で入社したら、定年まで雇用が約束される「終身雇用制度」だといえます。勤め先に倒産などの大きなトラブルがない限り、従業員は定年まで働くことができるわけですから、転職はもちろん、地方移住を考える必要もなかったのです。そのため一時期は、退職後に日本国内のみならず、オーストラリアや東南アジアなど、海外へ移住する人も少なくありませんでした。

リタイア後の地方移住は、変わらず行われているそうですが、一方で現役ワーカーの間でも関心が高まっています。前回も説明したように、その理由には「リモートワークの普及」「終身雇用制度の揺らぎ」「転職の一般化」「勤労意識の多様化」「地方創生の推進」などがあげられ、その中で「自分が考える働き方の実現」「ワーク・ライフ・バランス(生活と仕事の調和)の充実」を目指す人が増えていると考えられます。





地方移住をするための住まい探し



「働きながらの地方移住」には、主に次のようなタイプが知られ、家探しにそれぞれ必要な条件があります。

・今の仕事は辞めずに、地方に住んでリモートワークを行う
この場合は、一戸建てでも集合住宅でも、移住者が希望するタイプの物件を選んで問題はありません。ただ、家族と一緒に移住するのであれば、部屋数の多い物件がおすすめだといえるでしょう。すべてリモートなら問題ありませんが、月に何度か出社が必要なら、会社までの交通アクセスを考えておいたほうがいいでしょう。可能であれば、最寄り駅からそれほど離れていない物件を選びたいものです。賃貸か購入かというと、これも移住者の生活設計に拠ります。いつか都会へ帰る可能性があるなら賃貸。ただ、移住後にその土地での暮らしが快適になるケースもあります。ですから現地へ足を運び、多くの物件を見学し、長く滞在することになりそうなら購入も視野に入れておくといいでしょう。

・今の家を残して、地方で仕事をし、両方を行き来する
移住したものの、土地に馴染めない、生活スタイルが合わない可能性を考え、都会に家を残しておく方法です。物件選択は、移住者の生活設計や家族構成に拠ります。生活基盤は地方になることが多いですが、出社する、都会へ帰る場合があるため、こちらも交通アクセスのよい物件を選んでおくといいでしょう。都会の家が賃貸の場合、誰かに貸せば負担は少ないですが、どちらも自分の生活に使うと、地方の家賃と出費が重なることになります。
地方の家賃と出費が重なることになりますので注意が必要です。

・地方で暮らし、地元の仕事に就く
移住先を完全に生活基盤にするわけですから、一戸建て、集合住宅、購入、賃貸にかかわらず、長く快適に住めるような物件を選ぶことが大切です。ただ、物件はもちろんですが、都会に住む以上に環境や立地のチェックが必要になります。

〇地方で生活する前に注意しておきたいこと

・大型スーパー、ショッピングセンターが少ないので、食品や日用品の購入などが不便な場合がある
→インターネットショッピングで補うことはできますが、すべてをカバーするのは難しいといえます。周囲に商業施設があるかないかを確かめておきましょう。
・学校の数が少ない。小学生や中学生でも、通学に時間のかかるケースも
→義務教育中は、通学に時間のかからない立地がベストだといえます。ただ、小中学校は徒歩や自転車で通えても、高校は遠方に進学する人が多いようです。
・近隣に大きな病院がない可能性がある
→地方、特に人口の少ないエリアになると、大きな病院のないケースがあります。病院はあっても単科のみ、また診療科目が少ないと、緊急の場合、改めて医療施設を探さなくてはならないことも。もしものことを考えて、近くにある程度の規模の病院があるところを選ぶといいでしょう。

駅周辺にはスーパーがあり、小学生は徒歩で通学など、都会では当たり前の条件が、地方ではクリアしにくいことは少なくありません。決めてから後悔しないように、周辺の環境はしっかり調べておくことが大切です。




地方移住で家を探すなら、地元をよく知る業者がおすすめ




地方での物件探しは、移住するエリアをよく知る建設会社や不動産会社を選ぶのがおすすめです。大きく分けて、「移住先専門の地元業者」「広域に地方物件を持つ業者が」があり、それぞれ特長があります。前者はエリアに精通していますから、物件情報に加え、業者によっては移住先での生活などの相談にも乗ってくれます。

後者は、幅広い物件情報を持っていますから、移住先が決まっている人だけでなく、どのエリアに移住するか迷っている人へのサポートも期待できます。物件数も多いため、比較して詮索することが可能です。

どちらが良いとはいえませんが、まず問い合わせをしてみて、対応が丁寧で、地方移住の長所も短所も伝えてくれる業者であるかどうかを確かめてみるのがいいでしょう。