「騒音回避」は家作り、住まい選びの重要ファクター~おうちの防音事情その3







新型コロナウイルスにおける行動制限が続いているため、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の発令・解除に関係なく、行動自粛、リモートワークなど、自宅で過ごす人はまだまだ少なくないようです。外出が減り、在宅時間が長くなることで、周囲とのトラブルになりそうなのが「騒音」。前回紹介しましたが、特に賃貸(集合住宅)において、ご近所トラブルの原因ナンバーワンは「騒音」だといわれています。


騒音の原因はと聞かれると、いわゆる「テレビ(ステレオ)の音が大きい」「楽器や歌声がうるさい」「ペットの鳴き声が不快」といった理由が思い浮かぶと思います。しかし、実のところは、「上に住む人の足音や声が響く」「ドアの開け閉めや家事の音が気になる」といった生活音が賃貸住宅に住む人の不満ランキング上位を占めているのです。

賃貸・持ち家、集合住宅・戸建てにかかわらず、騒音トラブルのない快適な生活がしたいもの。

そこで今回は、騒音問題を回避するための対策を考えてみました。




「こんなはずじゃなかった」と後悔しないための部屋選び



賃貸・持ち家に関係なく、特に集合住宅において騒音を避けるには、まず、部屋を決める際に物件を確認することが大切です。新居を見つけようとする場合、通常は、様ざまな条件をリストアップして物件探しをすると思います。主な項目は「家賃や維持費(諸経費)」「間取り」「駅からの距離といった立地条件」などですが、「入居後に考えられるトラブル」は意外と見落とされがち。「騒音」もそのひとつで、中には引っ越したのも束の間、近隣の騒音に悩まされて、転居せざるを得なくなったというケースも少なくありません。

騒音トラブルを回避するには、次のような項目もチェックしておきたいものです。

・近隣に騒音トラブルが起こっていないか
・希望物件の上下左右に子どもがいるか否か、入居者の中に、自分と生活パターンの違う人が多くないかなど、周辺の様子
・ペット可の物件であるかどうか
・建物に防音対策が施されているか
・楽器演奏が許可された物件か否か ほか

ひとり暮らしの人、引越し初心者は、これらの点を軽視しがちなので、快適な暮らしを継続するためにも、必ずチェックすることをおすすめします。入居後に子供のいる家族が越してくる等、後天的な状況変化は避けようがないとしても、起こり得るトラブルを最小におさえることが可能になります。





自分が騒音の原因にならないために~賃貸物件



前述のような項目をチェックすることは、「自分が騒音トラブルの原因」にならないことにもつながります。小さな子どもがいる、仕事で深夜に帰宅することが多い、またペットを飼っている、趣味で楽器を弾く、音楽を聴くことがあるという人は、音や振動に配慮する必要があるといえます。

周囲、および自分の騒音が気になる場合は、防音性の高い物件を選ぶのがおすすめです。まず、構造面では、木造住宅や木造や鉄骨造と比べてみると、RC造(柱や梁といった強度の必要な部分に、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込み、固めた素材を使う構法)やSRC造(鉄骨を支柱とし、コンクリートを打ち込んで施工する構法)といった鉄筋コンクリートの方が遮音性が高いといわれています。

また、防音対策に特化し、楽器演奏を可能にした賃貸物件もあります。物件数は多いとはいえませんが、音楽系の高校や大学のあるエリアには、防音仕様、楽器演奏用防音室などを設けたマンションやアパートが点在しています。ただ、防音性は賃貸物件によって異なるため、契約前に部屋の仕様を良く調べておくといいでしょう。




新築購入なら、あらかじめ防音対策を考えておく



集合住宅、戸建てにかかわらず、新築を購入するのであれば、「防音対策」を考えておくのがおすすめだといえます。賃貸同様、住まい探しの条件に「防音対策が施されている」を加えておくといいでしょう。ただ、こちらも物件によって、それぞれ防音対策の内容は違います。ですから、求める防音レベルを満たす住まいであるかどうか、しっかりチェックしておきましょう。

自由設計の場合は、設計の段階で防音対策ができます。騒音は空気中を伝わってくる「空気音(空気伝播音とも)」と、床や壁を伝わる「固体音(固体伝播音とも)」とに大きく分けられ、前者は話し声やテレビ音、ギターなどの楽器音、後者には足音、ドアの開け閉め、ピアノやドラムといった床に置いた楽器の音などがあります。空気音は対策しやすい騒音で、すき間を塞いだり、防音材を入れることで低減が可能です。対する固体音は、壁や床、天井などに振動が伝わるので、空気音より対策が難しくなります。対策方法としては、音の出やすい場所に、振動を吸収・緩和する素材を用いて、他に伝播しないようにします。このように音の性質によって対処法が異なりますから、十分な防音効果を得るには、両者を採用する方がいいといえます。

建て売り住宅、中古住宅などは、リフォームで防音対策を行うことができます。たとえば、壁をボード2重貼りにする、グラスウールを入れる、床には防音フローリングを用いる、下地を二重床にするといった方法、特にオーディオルームや演奏室の場合は、遮音性能に優れた内装材、建具を使えば、防音効果も高められます。