「音楽」が騒音トラブル?~おうちの防音事情その2







新型コロナウイルス対策として、まだしばらく続きそうな「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」。外出を規制されているため、近年は趣味を持つ人、中でも音楽を始める人が増え、様ざまな楽器が売れています。それに伴い、「防音」に対する意識も高くなっているようで、楽器と共に防音室を購入するケースもあるといいます。



なぜなら自分では楽器を弾いているつもりでも、それが「騒音」だととらえられることがあるからです。

というのも、賃貸において、主なご近所トラブルの原因は「騒音」だといわれています。テレビや楽器演奏はもちろんですが、ドアを閉める、家事をするといった生活音などでさえ、「うるさい」と感じる人がいるのです。

そこで今回は、日常における騒音について調べてみました。




共同住宅(マンション、アパート)のご近所トラブル第一位は「騒音」?



マンションやアパートといった共同住宅では、複数の個人や家族が住むこともあり、どうしても不平不満が生じやすくなります。具体的にどのような不満が多いのかというと、マンション居住者を対象に国土交通省が調査を行っており、その結果は次のとおりです。

〇居住者間のマナーをめぐるトラブルの具体的内容
「平成30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」

1位:生活音 約38%
2位:違法駐車・違法駐輪 約28%
3位:ペット飼育 約18%

以下は「バルコニーの使用方法」「専有部分のリフォーム」「共有部分への私物の放置」となっていますが、かなりの割合を「生活音(騒音)」が占めていることがわかります。ちなみに、建築・不動産系サイトで同様のアンケートを見ても「騒音」が1位、または上位にランクインしています。





音楽? 騒音? 認識は人によって大きく違う



「騒音」とは、基本的に人間にとって不快な音を指します。よくいわれるのは、交通量の多い幹線道路や高速道路、建設工事現場、飛行場の近隣などで生じる大きな音、パチンコ店、カラオケスナックといった遊興店から漏れ聞こえる音です。ただ、何を騒音とするかは人によって異なり、ある人にとっては心地よい音であっても、他の人には騒音と感じられることもあります。たとえば、ピアノやギターなどの生音、室内で聴く音楽(ジャンル問わず)などは、楽器演奏者や音楽好きには好ましい音です。しかし、音楽に興味がない人にしてみれば、音量の大小にかかわらず、雑音か騒音にしか聴こえないケースは少なくありません。中には風鈴の音でさえ、うるさいと感じる人もいるようです。

また、身の回りのものから発生する「生活音」も騒音の原因になります。

〇主な生活騒音
・冷蔵庫や洗濯機、クーラーなど、家庭用機器の動作音
・トイレやお風呂の給排水、ドアの開閉音など、家庭用設備、住宅構造面から生じる音
・ピアノ、ステレオ、テレビといった音響機器からの音
・話し声や泣き声、足音など生活行動に伴う音
・自動車やオートバイの空ぶかし、ペットの鳴き声ほか

共同住宅には、ひとり暮らし、ファミリー、様ざまな世帯が住んでいます。さらにそれぞれ、年齢性別、家族構成、仕事のシフト、休日、行動時間帯なども違うため、住む人の数だけ生活スタイルがあるといっても過言ではないでしょう。

たとえば、小さな子どものはしゃぐ声は、同じような家庭同士であれば「お互いさま」で我慢できるかもしれません。しかし、夫婦だけの世帯や独身者、静かに暮らしたいお年寄りにとってはストレスの原因になることもあるのです。また、帰宅の遅い仕事をしている人が、夜中に洗濯機を使ったり料理をすれば、周囲が静かなだけに家事音が近隣に響きます。さらに部屋を歩き回る足音でさえ、周囲に住む人の睡眠の妨げになってしまうといいます。





近隣の騒音が原因で事件が起こることも?



あってはならないことですが、騒音が原因で事件が起こったケースも。現場は共同住宅ではなく一軒家でしたが、「バーベキューする声がうるさい」とトラブルになり、殺人事件に発展してしまいました。いくら隣人が騒いでいるからといって、暴力で解決しようとするのは絶対に間違っています。ただ、同じ音を騒音と感じるか感じないかには個人差があり、加えてライフスタイルが多様化している現代において、自分の価値観が通じない相手は存在します。

そのため、マンションやアパートなどの共同住宅に住むのであれば、騒音はもちろん、マナーには十分気を配っておくのがおすすめです。館内でクレームやトラブルが起きていないかどうか、定期的にチェックしておくのも必要でしょう。

また、これから戸建てを建てる、マンションを買う、賃貸を探そうとしており、騒音トラブルが気になる人は、その物件で対策がとられているか、周辺の状況はどうなっているかなどを調べておくことです。特に楽器など、音が気になる趣味を持っている、始めたのであれば、防音に優れた物件を選ぶといいでしょう。