こんな施設も会場に? 「東京2020 オリンピック パラリンピック」会場案内







梅雨が明ければ、いよいよ東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。本来のスケジュールならば、昨年、盛況のうちに終わっていたのでしょうが、新型コロナウイルスの流行で1年の延期。今年に入っても、新型コロナは依然収束には至らず、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の発令が繰り返されています。



そんな中、オリンピック、パラリンピック代表選考会が行われ、開催の方向で動いていますが、この日のために頑張ってきたアスリートの方々のためにも、無事に開会式が行われることを願うばかりです。



そこで今回は、オリンピック、パラリンピックの舞台となる、主な競技場、珍しい会場などを紹介していきたいと思います。



開催競技がイメージできない会場?



今大会の競技は、日本全国40か所以上の競技場や大型施設で行われる予定となっています。そのほとんどが、「スタジアム」とか「競技場」と名のついた、スポーツと結びつく施設なのですが、思わず目を止めてしまった会場がありました。そのひとつが「東京国際フォーラム」です。東京国際フォーラムといえば、東京の中心・丸の内エリアにある、巨大なガラスのアトリウムが圧巻のコンベンション&アートセンター。大小8つのホール、30を超える会議室などを有し、そこで国際会議をはじめ、式典、学会、展示会はもちろん、ホールではコンサートや演劇といった舞台も催され、総合的な文化情報発信拠点として知られています。そんな「スポーツとは無縁」といった感じの施設で、どの競技が行われると思いますか? 

答えは「ウエイトリフティング」と「パワーリフティング」です。これらの競技には、確かに広い空間も大きな器具(重い器具は使いますが)も必要はありませんから、東京国際フォーラムのホールでも成立するということなのでしょう。ただ、最初に名前を見た時には、さすがに驚いてしまいました。本番で、どんな使われ方をするのか、興味を覚える会場です。



次に「おや?」と思ったのは「陸上自衛隊朝霞訓練場」です。東京都練馬区、埼玉県朝霞市、和光市、新座市にまたがるという広大なエリアですから、「身体を鍛えるための訓練用サッカー場か野球場でもあるのだろうか?」と思っていたのですが……とんでもありませんでした。

陸上自衛隊朝霞訓練場は、今回ライフルとクレー、「射撃競技」の会場となっています。さらにここは、1964年(昭和39年)、東京オリンピックの「ライフル射撃競技」が行われた会場。現在でも、日本ライフル射撃協会や駐屯地内の自衛隊体育学校によって使用され、国体の予選会をはじめ、数多くの大会が催されているそうです。



オリンピック会場紹介で、「富士スピードウェイ」の名前を見た時も、正直なところ開催競技がイメージできませんでした。富士スピードウェイは静岡県駿東郡小山町にあり、世界最高峰を誇るメインストレートを持つ国際格式のサーキット。「SUPER GT」「SUPER FORMULA」「WEC」「スーパー耐久」などの各種自動車レースやイベント、走行体験なども可能なモータースポーツ施設で、どんな競技が行われるのか? 調べてみたところ、ここでは自転車競技の「ロードレース」「個人タイムトライアル」が行われるとのこと。いわれてみればなのですが、個人的にはサーキットのコースは車やオートバイのレース用にレイアウトされているので、そのまま走るのはどうなのだろうと感じました。さすがに自転車競技で「ハングオン」はないと思いますが……やはり競技用のコースを設定するのでしょうか。
ちょっと気になるところではあります。こちらも、ぜひ本番のレースを見たいですね。



半世紀の時を超えたオリンピック会場



先ほど紹介した「陸上自衛隊朝霞訓練場」と同じく、前回の開催に続き、本大会でも会場に使用される施設はいくつかあります。その代表といえば、やはり「国立代々木競技場」でしょう。設計は日本を代表する建築家・都市計画家の丹下健三氏。1913年(大正2年)、大阪に生まれた丹下氏は、1938年(昭和13年)に東京帝国大学工学部建築科を卒業。建築物の設計に加え、1970年代以降、「日本万国博覧会」における会場マスタープラン設計(1970年)など、日本の国家的事業のみならず、世界各国で建築や都市計画に携わりました。丹下氏の主な作品・設計は、広島県の「広島平和会館原爆記念陳列館(現・広島平和記念資料館)」、「東京カテドラル聖マリア大聖堂(東京都)」をはじめ、超高層庁舎として話題を呼んだ「東京都庁舎」、球体にインパクトがあるお台場のランドマーク「フジテレビ本社ビル(東京都)」など。東京オリンピックのために設計された「国立代々木競技場」もそのひとつで、屋根部分に高張力による吊り構造の技術を用い、建物内部には柱がないという特徴的な造りで、世界的にも高い評価を得ています。前大会時には、水泳とバスケットボールの競技会場として使用。本大会では「ハンドボール」「バドミントン」、パラリンピックの「車いすラグビー」会場となっています。