気軽な自撮りが原因? SNSから特定される「あなたの自宅情報」その2



前回はSNSから個人情報を割り出し、ターゲットを定める窃盗犯が少なくないことをお話ししました。「まさか」「信じられない」という方もおられるでしょうが、アイドルなどのストーカーだけでなく、様ざまな犯罪の裏でSNSが利用されているのです。

本来なら、世界中の人と繋がり、交流を広げていく、周囲との親交を深めるコミュニケーション・ツールとして使われるべきSNSを悪用するのは許されることではありません。しかし、どこに危険が潜んでいるかわかりませんから、リスク回避は考えておきたいものです。

そこで今回は、空き巣をはじめとする窃盗犯、ひとり暮らしの女性などを襲う犯罪者に狙われないための安全対策を紹介していきたいとおもいます。

画像をあげる頻度の高い、Twitter、Instagram、YouTubeは要注意


前回、SNSには交流系の「Facebook(フェイスブック・交流系)」「Twitter(ツイッター)」、メッセージ系の「LINE(ライン)」、写真中心の「Instagram(インスタグラム)」、動画系「YouTube(ユーチューブ)」といった、様ざまな種類があることをご説明しました。これらは基本的に、「自分の許可した相手だけに視聴(交流)を許す=公開制限」という設定ができます。しかし、そのままにしておくと、フォロワーはフォローした相手の写真や動画を見ることが可能となります。特に画像を上げることの多いTwitter、Instagram、YouTubeは気をつけなければならず、SNSにアップした画像や動画を悪用されるケースが多いようです。

公開範囲を制限する方法としては、たとえばInstagramの場合、「アカウントの非公開」があります。これを設定しておけば、見知らぬ人からのフォローをブロック、投稿を見られることもなく、またハッシュタグ検索にも引っかかりません。ただし、「プロフィールの閲覧」は制限できないので注意が必要。匿名で利用していても、プロフィール欄に個人を特定できるような情報は掲載しないようにしましょう。また、どのSNSでも同様ですが、不用意に知らない人間をフォローするのは避け、明らかにスパム(不特定多数の利用者に対して同一内容のツイートやメッセージを大量に投稿する行為)と思われるフォロワーなどはブロックすることをおすすめします。

SNS画像には、本人特定のヒントがいっぱい?


「TwitterやInstagramで世界と繋がりたい」「趣味の愛好会を見つけたい」とSNSを始めたのに、制限をかけたら情報が手に入らないのでは? そう考える方も多いと思います。自分は投稿を行わず、閲覧しているだけなら、それほど問題はありません。しかし、自ら写真や動画といった情報発信をするのであれば、トラブルに巻き込まれないよう、投稿には気を使いたいもの。というのも、自分が考えている以上に、投稿は拡散されることが多いからです。そこで、写真や動画投稿で気をつけたいことをまとめてみました。

・匿名にする。顔出しはしない

これは当たり前というより、基本中の基本。たまに「匿名だから、顔出ししても大丈夫」というケースを見受けますが、特定してくださいと言っているようなもの。自分や事業をアピールしたいなどの目的があれば別ですが、誰が見ているかわからないSNSに安易な顔出しはNGだといえます。どうしてもという場合は、スタンプで顔を隠す、モザイクなどで顔をぼかすといいでしょう。なお、顔を見せなくても、制服を着ていると個人を特定されやすいことを覚えておいてください。

・見落としがちな写真の背景

顔を出さなければ大丈夫と思いがちですが、背景にも様ざまな特定情報が隠されています。中でも駅やビルといった建物、川や山などのランドマークが写り込んでいると、そこから投稿者が住む、またよく利用するエリアを推測することができるからです。また電柱や電信柱には「街区表示板(所在地を表示するプレート)」が設置されていることも。特に家の近くで写真を撮る場合、無駄に景色が写りこまないよう、可能であれば背景をぼかしてから投稿するのがおすすめです。

・携帯やスマホの「位置情報」は大丈夫?

普段、何気なくスマートフォンやデジタルカメラなどで撮影した写真ファイルには、「Exif(イグジフ)」というデータが付随しています。ここには写真の撮影日時、撮影機器をはじめ、カメラの設定情報、サイズまで、様ざまな情報が含まれており、設定によっては経緯・緯度・方角など、撮影場所の正確な位置情報(GPS情報)も保存することができます。つまり写真をそのままアップすると、Exifを元に被写体のいた(あった)場所が特定できてしまうのです。ただ、近年、主なSNS(LINE、Twitter、Instagram、Facebook)においては、アップロードされた写真のExif情報は自動的に削除されるようになっています。自動削除対応ではないサービスを利用しているなら、撮影時にGPS機能はオフにしておくといいでしょう。

細心の注意を払って、SNSを楽しく活用



企業が自社の情報を拡散したり、またユーザーが趣味や関心の似たユーザーを探すのに便利な「ハッシュタグ(頭にシャープ記号(#)をつけた文字)」も、無暗につけるのは考えものです。たとえば「#旅行」「#(自宅のそばにあるランドマーク)」「#公共交通機関」などのハッシュタグをつけると、「この人(家族)は旅行へ行っているから留守(海外にいるなら長期不在)なのでは?」「〇〇ビルの近くに住んでいるのか」と推測されてしまう可能性も。楽しく便利なはずのSNSが、窃盗、不法侵入といったトラブルの原因にならないよう、最新の注意を払って使うようにしてください。