2024.12.23
宮城
Column 【仙台市版】不動産売却後の税務処理と申告の注意点
2024年の仙台市の公示地価は、平均で27万8,958円/㎡(坪単価92万2,176円)で、前年比+7.33%の上昇を見せています。宅地の平均価格も、12万5,012円/㎡(坪単価41万3,265円)と前年と比べて+7.07%上昇しており、仙台市の不動産を売却して利益を得た方も多いのではないでしょうか。
不動産売却に関する税務処理では、利益が出た場合はもちろん、損失が出た場合でも確定申告が必要となるケースがあります。本記事では不動産売却後に行うべき税務処理や、申告の注意点について解説します。
不動産売却後に確定申告が必要になるケース
不動産売却で利益が出た場合は、必ず確定申告が必要です。一方で損失が出た場合には、申告の義務はありませんが、申告することで税金を節約できる可能性があります。売却後の状況を確認し、適切な手続きを行いましょう。
不動産売却後の税務処理で必要な計算
1. 譲渡所得の計算方法
譲渡所得は以下の式で計算します。
譲渡所得 = 譲渡価額 -( 取得費 + 譲渡費用 ) |
取得費は、購入代金と購入時の仲介手数料などの費用を合計した額から、建物の減価償却費を引いた額です。購入価格が不明の場合は、売却価格の5%を取得費として計上可能です。譲渡費用には売却時の仲介手数料や測量費、建物取り壊し費用など売却の際にかかった経費が該当します。
2. 譲渡所得税の計算方法
実際に税金が課される対象となる課税譲渡所得は、譲渡所得から特別控除の額を引いて計算します。
譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 税率 |
課税譲渡所得に税率を掛けて譲渡所得税を算出し、不動産の所有期間に応じて異なる税率が適用される仕組みです。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 | |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
所有期間は、譲渡した年の1月1日時点を基準とします。
不動産の売却で適用できる特例
1. 利益が出た場合
不動産売却で利益が出た場合は、以下のような税制の特例が適用される可能性があります。
譲渡益が発生した場合の特例 | 特例の内容 |
3,000万円の特別控除の特例 | 長期譲渡所得・短期譲渡所得のいずれの場合でも、課税譲渡所得の計算時に最大で3,000万円を控除することが可能 |
(所有期間10年超の)軽減税率の特例 | 売却した年の1月1日の時点で、マイホームの所有期間が10年を超えている場合、3,000万円の特別控除を適用した後の課税長期譲渡所得に対して、軽減税率が適用される |
買換え(交換)の特例 | 自宅を売却した前年から翌年までの3年間に、新たなマイホームへの買換え(交換)を行った場合、譲渡価額が1億円以下、売却年の1月1日時点で所有期間が10年超、居住期間が10年以上などの条件を満たすと、譲渡益に対する課税の繰り延べが可能 |
ただし、買換え(交換)の特例は他の特例と併用できません。
2. 損失が出た場合
不動産売却で損失が発生した場合でも、税制の特例を利用することで「損益通算」や「繰越控除」のような節税効果を得られます。
損益通算 | 不動産の譲渡損失を他の所得(給与所得など)と相殺することで、所得税や住民税を軽減 |
繰越控除 | 売却した年に損益通算しきれなかった譲渡損失は、翌年以降最大3年間にわたって繰り越して控除可能 |
売却後に新たなマイホームを購入した場合は「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」、売却時点で住宅ローン残高があり、残高が売却価格より多い場合は「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用できます。
不動産売却後の税務申告で注意すべき2つのポイント
1. 併用できない特例がある
不動産売却時に利用できる特例の中には、併用できないものがあり注意が必要です。例えば「3,000万円の特別控除」と「10年超所有軽減税率の特例」は併用可能ですが「居住用財産の買換えの特例」は他の特例と併用できません。また「居住用財産の買換えの特例」を適用した場合、その期間中は住宅ローン控除の利用は制限されます。
2. 損失が出た場合でも特例を利用するなら確定申告が必要
不動産を売却して損失が発生した場合でも、特例を利用すれば税負担を軽減できることがあります。ただし、特例を利用するには確定申告が必要です。申告を怠ると特例を受けられず、節税の機会を逃してしまいます。自身が特例の対象となる条件を満たしているか、損失が発生した場合は必ず確認しましょう。
仙台市の不動産売却は東海住宅にご相談ください
不動産売却時の確定申告は、譲渡所得税の計算や特例の適用など、複雑な手続きが伴います。東海住宅は、創業53年の実績から税理士や司法書士などとのネットワークがあり、不動産売却から売却後の税務のアドバイスまで丁寧にサポートします。不動産売却をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。