建築基準法の基礎ポイント(前編)



今回から2回にわたり、建築基準法の基礎について取り上げます。専門的な領域には踏み入れず、売買にあたって一般の方にも知っておいて頂きたい基本事項について述べます。



用途地域


以前このコラムでも取り上げたように、不動産取引で対象となるほとんどの地域では、都市計画法でその土地の“使いみち”となる「用途地域」が定められています。簡単におさらしますと、用途地域には住居系で3つ、商業系で3つ、工業系で3つの計12種類があり、建築基準法では各用途地域ごとにどのような建築物を建ててよいのか、もしくは建ててはいけないのかが細かく定められています。ちなみに神社、教会、寺院、巡査派出所、診療所、保育所はすべての用途地域で建築可能です。



道路規制


建築基準法では、都市計画区域内にある建築物の敷地は、建築基準法上の道路(幅員4m以上の道路)に2m以上接していなくてはならないと定めています。これを接道義務といいます。ただし、周囲に広い空地がある場合など、特定行政庁が防火上問題ないと認め、建築審査会の同意を得て許可したものについては、道路に2m以上接しなくてもよいものとされています。

○セットバック
上で述べたように、基本的に建物の敷地は幅員4m以上の道路に接していなければなりません。しかし、建築基準法の施行以前(昭和25年)以前から建物が並ぶ地域ではこの条件を満たしていない幅員4m未満の道路があり、そのままでは建築ができず既存の建物も建て替えするがことできません。このような場合、特定行政庁の指定を受けたものは、原則として、道路の中心線から水平距離に2m後退(セットバック)した線が「道路の境界線」とみなされ、建て替えを認めることにしました。これは建築基準法第42条第2項の規定による緩和策で、このような道路は通常「2項」と呼ばれています。道路境界のみなし線と実際の道路との間は、原則として建築物を建築することはできず、建ぺい率および容積率を計算する際も、敷地面積から除外されます。



容積率


容積率は建築物の延べ床面積の敷地面積に対する割合のことで、延べ床面積を敷地面積で割って算出します。例えば100㎡の敷地面積に、一つの階が50㎡の広さで4階建ての建物を建てた場合の容積率は(50+50+50+50)÷100=200%となります。建ぺい率と同じく容積率も原則として各用途地域によって定められています。容積率150%とされている地域にある200㎡の敷地には、延べ面積300㎡(200㎡×150%)までの建物を建てられることになります。

○容積率と前面道路との関係
接道する前面道路の幅員が12m未満の場合、住居系用途地域では道路幅員に4/10、その他用途地域では道路幅員に6/10をそれぞれ掛けて算出された数値と、都市計画で定められた指定容積率の数値と比較して、低い方の数値がその敷地の容積率になります。
例えば、容積率が400%と指定されている地域で前面が8mの道路に接している敷地があったとします。もしここが住居系用途地域であるとしたら、8m×4/10で320%、これは指定の400%よりも小さいので、この敷地の容積率は320%となります。もしここが住居系用途地域でなかったとしたら、8m×6/10で480%、これは指定容積率の400%の方が小さいので400%がこの敷地の容積率となります。なお、建ぺい率と同じく建物の敷地が容積率の異なる地域にわたる場合、加重平均をして容積率を算出します。

○容積率の緩和
容積率にも一定の条件を満たす場合に緩和される措置があります。

・特定道路による容積率制限の緩和
道路の幅員が15m以上の道路を特定道路といいます。このような幅員の広い道路が前面道路から70m以内という近い距離にある建物については、一定の割合で容積率の限度が緩和されます。ただし、前面道路の幅員が6m以上の前面道路に限ります。

・住宅の地階に係る容積率算定上の特例
住宅用の地下室で、地階の天井が地盤面からの高さ1m以下にある場合の地階の床面積は、地上部分の床面積との合計の1/3を限度として、延べ面積に算入されません。

・駐車場・駐輪場の緩和
駐車場や駐輪場などの施設についても緩和措置があります。それらの施設の床面積は、敷地内の建築物の各階の床面積の延べ面積の1/5を限度として延べ面積に算入せず緩和されます。例えば車庫や駐輪場の施設が30㎡、それ以外の建物の延べ床面積が150㎡の場合、合計180㎡となり、その1/5である36㎡分が、合計床面積に算入されないことになります。つまりこの場合30㎡の車庫や駐輪場の床面積は全部除外されることにあります。1/5を超える部分については容積率算出の延床面積に加算されます。






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