暮らしや作業に必要な明るさとは?



「照明」は日常生活に不可欠なものです。晴天の屋外なら太陽光で補うことができても、雨の日や夜間、建物の中での仕事(作業)や勉強には、部屋や手元を照らす明かりが必要になります。とはいうものの、単に照明があればいいわけではなく、部屋や用途や応じた明るさを考えなくてはなりません。今回は「照度」を中心に、明るさについて調べてみました。



住宅に必要な明るさの目安となる「JIS照度基準」


一戸建て、共同住宅に限らず、設計時に各部屋、共用部分の明るさを決める場合、目安となるのが「JIS照度基準」です。「照度」というのは、光が当たっている面の明るさの度合い(一定の表面積が一定時間に受ける光量)のことで、単位は「lx:ルクス(またはフォト)」で表わされます。なお、照度(E)は、下記の式から求めることができます。

E=F/S
F:光束:lm(ルーメン)
S:入射面積(㎡)

Fの「光束」は聞き慣れない、見慣れない単語ですが、これは単位時間にある面を通過する光のエネルギーを、標準的な観測者の目に生ずる感覚によって測った量のことです。

JIS(日本工業規格)では建物をはじめ、各部屋、各種作業に応じた照度の基準値を示しています(これが照度基準です)。寝室は10~30lx、リビングは30~75lx、勉強や読書をするには500~1000lxが適しているとされています。もう少し各部屋の基準値(全般照明:住宅においての活動に必要な最低限の明るさ)を見ていきましょう。

○各部屋の照度基準(全般照明)
●子供部屋・勉強部屋:75~150 lx
●食堂・キッチン:50~100 lx
●トイレ:50~100 lx
●浴室:75~150 lx
●廊下・階段:30~75 lx
●玄関(内側):75~150 lx
●車庫:30~75 lx

また部屋に関係なく、作業・行動内容によっても照度基準は変わります。たとえば、同じリビングに居ても、読書をしているのと歓談しているのとでは、推奨照度も異なります。

○仕事や作業・行動による照度基準
●勉強・読書:500~1000lx
●手芸・裁縫・ミシン:750~2000lx
●団欒・娯楽・遊び:150~300lx
●洗濯:150~300lx
●洗面・ひげそり:200~500lx
●化粧:200~750lx
●工作:150~300lx
●食卓・調理台・流し台:200~500lx

上記のような行動をする場合には、基本的に全般照明以上の明るさが必要になります。一戸建てや共同住宅を建てる際、建築士やデザイナー、電気関係者は、これらを参考に照明器具を決定・設置していきます。

なお、子供部屋、勉強部屋の全般照明は75~150 lxとなっていますが、勉強や読書をする際に必要な基準値は500~1000lxです。しかし、この明るさをシーリングライトなどの室内灯だけで満たすのは難しいため、デスクライトなどで補うことになります。これは他の部屋も同様で、リビングで本を読むのであれば、デスクライトやスタンドライトを使うようにします。他には調光可能な室内灯を設置し、団らんや読書など用途に応じて明るさを変えるという方法もあります。



一般的な住宅と事務所、商業施設では明るさの基準が異なる


会社の事務所や商業施設、工業、学校、病院などの施設の照度基準は、一戸建てや集合住宅とは異なります。たとえばオフィスの机上照度は750lx、コンピューターを用いての作業を行うなら照度1000ルクス以上が望ましいといわれています。住宅においても「手芸・裁縫・ミシン」といった作業を行う場合は750~2000lxの明るさが必要ということから考えても、仕事を行う施設では明るさが求められるといえます。

またシニア世代は、若い世代に比較すると明るさを感じにくく、そのため、若い世代の約1.5~2倍の明るさが必要だといわれています。つまり照明器具を購入するのであれば、通常の明るさ約1.5~2倍の製品を選ぶ必要があります。ただ、明るさを感じる力には個人差もありますから、状況に応じて調光のできる器具がおすすめだといえます。

また、強い光が直接見えない、眩しさ(グレア)の少ない照明器具の選択、家全体を平均的な明るさにする(部屋や廊下に極端な明るさの違いを作らないなど)ようにしましょう。



「ルクス」と「ルーメン」の違いとは?


照明器具は、先ほど説明した「ルクス」、または「ルーメン」で明るさを表わしています。ルクスは明るさを表わす単位でしたが、ルーメンは「単位時間にある面を通過する光のエネルギーを、標準的な観測者の目に生ずる感覚によって測った量」と定義されています。そのため「ルクスは理解できても、ルーメンはわかりにくい」という声も少なくないようです。

もう少しわかりやすく言うと、ルクスは「机上や部屋などの光に照らされた場所(面)の明るさ」、ルーメンは「光源が発した光の強さを示す単位」となります。ですからルーメンは「照明器具自体の明るさ」とも考えられます。つまり照明器具に記載されたルーメンの値が大きければ大きいほど、たくさんの光を発することができるというわけです。対する照度は、照明器具などによって照らされた場所の明るさの値を示しています。照明器具を購入する際は、この違いを頭に入れておくといいでしょう。

参考資料:JIS照明基準






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